「無駄な出費を控える」これはお金を貯めるうえでの大原則です。収入と支出の差額が貯蓄可能額となるため、お金を貯めるためにはできるだけ支出は抑えたいところです。ただし、節約には限界がありますよね。光熱費や食費など完全にゼロにすることはできません。

  • 自分を成長させれば、収入に上限はない

収入に上限はない

一方、収入はどうでしょうか? 収入に上限はありません。努力や工夫をしてどんどん収入が上がっていけば、それに伴いお金を貯めることができます。ただし、簡単に収入アップできれば、誰も苦労していません。そこで今回は収入アップにつながる「背伸び支出」について紹介します。その前に、主に考えられる収入アップは以下となります。

・昇給、昇進する。資格取得などで手当をもらう
・副業をする
・より条件の良い会社に転職する
・独立開業する
・資産運用を行う

勤務先の状況にもよりますが、最初の2つはそれほどリスクもなく収入アップが期待できます。一方、転職や独立、そして資産運用となるとそれなりのリスクと向き合わなければならず、必ず収入が増えるわけではありません。また転職や独立となると、大きな決断も必要となります。

もちろん、リスクとリターンは背中合わせのため、1つの決断が良い方向に導いてくれるかもしれません。そう考えるとドキドキしますね。また、転職や独立のみならず、収入が増えるためのチャンスをつかみ取るためにも、適切な判断や振る舞いが求められます。そして、それらを得るために日頃から意識して欲しいことが「背伸び支出」です。

背伸び支出とは、月に1度でも2度でもいいので、少し身の丈に合わない支出をすることを意味します。例えば、日頃行けないような高級料理店に行く、いつもよりも高い靴を買う、飛行機の席をアップグレードするなどが該当します。

「ただおいしいものを食べたいから」という理由で頻繁に通っては散財になってしまいます。ここでは意識的に、今月はどんな背伸び支出をしようか? と考えながら行ってください。一流の料理人と接し、一流の料理を食す。また一流のモノを身に付けることで自分自身を高める。どうでしょうか? 何か収入を増やすための足場づくりをしている気がしませんか?

元国際線キャビンアテンダントの美月あきこ氏は著書『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣 3%のビジネスエリートが実践していること』(祥伝社)において、ファーストクラスに乗る人は必ずペンとメモを持っていると紹介しています。一方、エコノミーなどでは、「ペンを貸してください」と乗客から要望があるそうです。

これはファーストクラスに座った人や業務に従事した人しか分からない、ビジネスエグゼクティブの習慣の1つだと思います。

私もFPとして会社の経営者はじめ収入の多い人と会う機会がありますが、そのほとんどの方がペンとメモを持ち歩いています。少しでも私の話で参考になることがあれば、すぐにメモを取りますし、忘れてはいけない業務的な内容もすぐに書き留めています。成功するための秘訣だと思います。

もちろん、私もペンとメモを持ち歩くようになりました。仕事柄このような人達と会う機会があるので気付きましたが、そうじゃなければ知らないままだったでしょう。積極的にこのような人達と会うためにも背伸び支出は効果的です。

自分に落胆するのも成長のための一歩

背伸びをしたために、自分の足りない部分や未熟な点に落胆することもあるかもしれません。高級料理店で周りの人と明らかに振る舞いが違う、高価なものを身に付けていても何かしっくりこない。でも、そんな経験も1つひとつ成長につながります。数年後、それらに違和感なく接している自分を想像してみてください。

背伸び支出は決して見栄を張るためでもなく、自慢をするためでもありません。自分自身の気持ちを高めることができる「生きたお金」を使うことなのです。もちろん、そのために友人や消費者金融などからお金を借りていてはいけませんよね。「今月の背伸び支出はあのお店に行こう。そのために日々しっかり節約してお金を貯めないと」こんな意識になることも狙っているのです。

早速、何か1つ自分を高めることができる消費・支出を検討してみてください。そしてそのために日頃の節約にも励んでください。一時的な大きな支出の先には、きっと大きな収入アップが待っていますよ。