分散型SNSプラットフォーム「Mastodon」は1月13日、運営構造を抜本的に見直し、非営利組織へ移行させる計画を発表した。これは、創業・開発者であるオイゲン・ロッコ氏による単独管理から脱却し、より透明性が高く、持続可能なガバナンス体制を構築することを目指している。

Mastodonは、これまでロッコ氏が個人で所有していたプラットフォームのエコシステムと主要な構成要素(名前と著作権、その他の資産を含む)の所有権を新しい非営利団体に移す。この変更により、プラットフォームが特定の個人や企業のコントロール下に置かれることを防ぎ、より民主的な運営が実現される。ロッコ氏は新組織において、主に製品戦略に専念する役割を担う予定だ。

発表によると、この移行の目的は「Mastodonが誰か一人の所有物ではなく、公共の利益を追求する場として発展すること」にある。設立当初から「売却不可」との理念を掲げ、個人管理のもとで効率的に運営してきたが、コミュニティの拡大に伴い、持続可能な運営体制への移行が不可欠となった。

現在Mastodonの運営拠点であるドイツを含め、欧州内で適切な法的基盤を選定する準備が進められており、今後6カ月以内に初期の一個人による所有から脱却し、非営利団体による透明性の高いガバナンスを確立する予定だ。

Mastodonは引き続き「mastodon.social」および「mastodon.online」といった公開インスタンスを運営し、広告やデータ収集がない安全なデジタル空間で、ユーザーがコミュニティを築ける場を提供するというミッションを推進する。 昨年、同社は資金調達と助成金の確保を目的に、米国を拠点とする非営利団体を設立した。この団体では、Twitterの共同設立者であるビズ・ストーン氏が役員に就任しており、今後も資金調達の拠点として機能し続ける。

ユーザー体験やサービスには当面の変化はないものの、今後、コード開発や新機能の追加が予定されている。Mastodonチームは、ユーザーの安全性向上のため、信頼と安全に関する機能の強化や、管理者向け教育リソースの拡充も進める計画である。さらに非営利組織への移管プロセスで、2025年の年間予算が500万ユーロに増加することから、寄付やスポンサーシップへの協力を呼びかけている。

分散型SNSの代名詞として注目されるMastodonだが、競合するBlueskyが7億ドルの評価額で新たな資金調達を進める中、今回の構造改革が市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目される。