大正製薬が「お腹の不調の原因と対策」について紹介している。

受験シーズン、お腹の不調に悩む学生も

まもなく受験シーズンが始まる。ストレスや緊張などでお腹の調子が悪くなることは、よく聞くトラブルの1つ。

学生516名を対象に実施されたアンケート調査(2019年12月19日~12月20日)によると、約4割が受験シーズンにお腹の不調を経験しており、その原因としてストレス、緊張などが上位の回答であったことが報告されている。

  • 受験シーズンの自身のお腹の調子はいかがでしたか?

  • お腹の調子が悪くなった原因は、何だと思いますか?

また、入学試験中に最も遭遇したくない症状として、尿意・便意を催す、腹痛が収まらないが上位に挙がり、約6割強の学生がお腹に関する悩みを避けたいと考えているようだ。

  • 大学入試試験中に最も遭遇したくない症状をお答えください

せっかく受験勉強を頑張ってきたのに、お腹の不調で実力を発揮できないのは避けたいもの。脳と腸は密に関連することから、腸内フローラを整えることはストレスなどによるお腹の不調の改善につながると考えられる。

お腹の不調の原因と対策

下痢や便秘などのお腹の不調の原因としては、以下の点などが考えられる。

原因1.食習慣や食事内容の影響

朝食は、栄養を摂ること以外に、胃を刺激することで胃・結腸反射が起こり排便を促進することにもつながっている。したがって、朝食を抜くと排便リズムの乱れを招いてしまう。また、水分摂取や食事量、食物繊維の摂取量などが減少すると便秘になりやすくなり、逆に香辛料などの摂取で下痢になりやすくなる。そのため、朝食を抜かずにバランスの良い食事とこまめな水分摂取を心がけ、食物繊維を積極的に摂ることが推奨される。

原因2.生活時間の影響

腸にも体内時計があるため、睡眠不足は腸の活動リズムを崩す。また、忙しさなどからトイレの時間を取れず、便意を我慢し続けていると便秘になりやすくなる。そのため、十分な睡眠をとることや朝食後のトイレ時間を確保することを心がけ、規則正しい排便習慣を身につけたい。

原因3.ストレスの影響

ストレスは腸管運動異常における大きな原因の1つ。脳と腸には脳腸相関と呼ばれる密接な関連があるため、ストレスは腸管運動に異常を引き起こし便通異常につながる。ストレスによる便通異常が続くと、排便自体もストレスになり症状をより悪化させる悪循環を招くこともある。そのため、独自のストレス解消法を見つけるとともに、ストレスをもたらさない環境作りが重要となる。例えば、短時間の運動はストレスの軽減や集中力の向上にもつながると言われているため、受験勉強の合間に取り入れてみることができる。

原因4.腸内フローラの影響

腸内フローラは食事やストレスなどの影響で変化するが、ビフィズス菌などの善玉菌が優勢な状態が理想的と言われている。腸内フローラが乱れると、下痢や便秘などのお腹の不調が現れることがある。そのため、善玉菌のエサとなる食物繊維を摂取したり、ビフィズス菌や乳酸菌が配合された整腸薬などのプロバイオティクスを取り入れたりすることで、腸内フローラを整えることができる。

脳腸相関と腸内フローラ

近年では、脳と腸が神経系や内分泌系を介して互いに影響を及ぼし合う、脳腸相関に腸内フローラが関与することが分かってきている。通常のマウスに比べて、腸内フローラを持たない無菌マウスは、ストレスに対して過敏に反応してしまうことや、通常の腸内フローラを移植すると不安行動などが改善されることなどが報告されている。

このように、腸内フローラの乱れはストレスなどによる下痢や便秘などの症状を悪化させる可能性があるため、しっかりと対処することが重要となる。また、腸内フローラを整えることは、脳腸相関を介して中枢に作用し、ストレス過敏性などの改善につながる可能性も考えられる。

ビフィズス菌G9-1の効果

脳腸相関が関係する疾患として、過敏性腸症候群(IBS)が知られている。IBSは腸に異常がないにも関わらず、腹痛を伴う下痢または便秘などの便通異常を繰り返す疾患だという。IBSにおいては、ストレスによって腸管運動が過剰になることに加え、腸管バリア機能の低下などが中枢神経系に影響を及ぼすと考えられている。近年、ビフィズス菌の摂取が、IBS患者の腹部症状や抑うつ症状などを改善することが報告されている。今回は、ストレスによるIBS様症状に対するビフィズス菌G9-1の作用に関する論文について、内容を一部抜粋して紹介する。

腸内フローラ及び腸管粘膜透過性に対する作用

腸内フローラをその類似度からプロットしたところ、長期的な精神的ストレスを受けたIBSモデル動物(ストレス群、赤色)は、正常動物(青色)からプロットが離れており、腸内フローラが乱れていた。一方で、ビフィズス菌G9-1を摂取していると、正常動物にプロットが近づき、腸内フローラが改善した。また、腸内フローラの異常によって増加する腸管粘膜透過性が改善(=腸管バリア機能が改善)した。

  • 腸内フローラの改善

  • 腸管粘膜透過性の改善

ストレス過敏性に対する作用

IBSモデル動物では、長期的な精神的ストレスを受けた数週間後においても、一時的なストレスによりストレスホルモンであるコルチコステロンの過剰産生と排便頻度の増加(便通異常)が見られた。一方で、ビフィズス菌G9-1を摂取していたIBSモデル動物では、それらが改善した。このことから、ビフィズス菌G9-1の摂取により腸内フローラを整えることが、脳腸相関を介してストレス過敏性を改善する可能性がある。

  • コルチコステロンの減少

  • 排便頻度の改善