テレビ大分の時代劇ドラマ『はぐれ鴉』(7月放送予定)に出演する神尾楓珠、山本千尋、森田甘路と山下智彦監督が11日、ロケ地の大分にある竹田市総合文化ホールグランツたけた大ホールで行われたトークイベントに登場した。
山本千尋、中国武術仕込みの木刀シーンも
テレビ大分開局55周年記念として制作される同作は、同局が初めて制作する時代劇。第25回大藪春彦賞受賞作品の『はぐれ鴉』(赤神諒原作)を、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『大奥』シリーズなどを手がける山下監督によって映像化する。
初めての時代劇にして主演の神尾は「右も左も分からないような状況で昨日から演じているのですが、まだ探り探りでこれでいいのかな?という思いが毎カットあります」と不安を吐露。それでも、「まずは僕が思うようにやってみて、違った時は監督が“違う”とおっしゃってくださるので、監督にすべてを預けてる感じです」と話すと、山下監督は「ほんまですか?(笑)」と確認し、会場を笑わせた。
現代劇と比べて「完全に違うものだなと思っています」という神尾。「経験がないからですが、どうしても自分から型にハマりにいっちゃってるところがあるなと思っているんです。その殻を破った時に、時代劇の登場人物としての魅力が出てくるのかなと思っています」と自己分析した。
幼い頃から中国武術を習い、世界ジュニア武術選手権大会で2度の金メダルという実績を持つ山本。今作では木刀を使ったシーンに挑むが、「初めて手合わせをする方は緊張します。デビュー作以来、太秦のスタッフの方に立ち回りを見てもらうのはプレッシャーなのですが、頑張りたいと思います」と緊張感を持って臨んでいる。
森田は、自身のプロフィールの特技に「殺陣」と明記。その理由について、「10年前から世界で時代劇ブームが起きるんじゃないかと思って、殺陣を習いに行ってたんです」と説明。その予測通り、『SHOGUN 将軍』がエミー賞で過去最多の18冠、ゴールデングローブ賞でノミネート4部門すべてで受賞する快挙となり、先見の明を発揮したが、「あとは英語の勉強しなきゃと思って、今は剣よりペンを持って勉強してます」と、自身のグローバルな活躍を目指しているそうだ。
大分の良さを再認識できるドラマに
前日から大分でのロケが始まったが、まさかの寒波で積雪の中での撮影に。山本は「初日の撮影が本当に寒くて、撮影終わりに自分の足の指を数えるくらいちぎれそうだったんです。でも、私のイメージで時代劇って雪がしんしんと降っていたり、役者さんが発するセリフから白い息が出ているのが素敵だなと思っているので、ある意味ポジティブに捉えると、私たちは時代劇の撮影の空気を引き寄せたと思っております」と前向きに捉えている。
そんな大分でのロケは、地元を盛り上げる狙いもあるのだそう。テレビ大分の藤田早織プロデューサーは「監督にはロケハンから大分にお越しいただきまして、県内いろいろなところを巡っていただいて、イメージを働かせてもらい、今回のロケが行われています。私たちもお連れした先で皆さんに“ここいいね”とか“素敵な景色だね”と言っていただいて、改めて大分の魅力を再発見するきっかけにもなっていまして、大分の良さを再認識できるドラマに仕上がるのは間違いないと確信しております」と力を込めた。
山下監督は、物語の描き方について、「楓珠さんと(はぐれ鴉役の椎名)桔平さんが縦糸になって、山本さんが横糸になって、森田さんやその他の藩士などいろんなゲストが脇糸で絡んだ物語をどう料理していくかを、今考えています」と構想。その上で、「いらんことをすることが大好きなので、そこを話し合いながらやっていきたいな」と意欲を示すと、神尾は「いらんこと要求された時にテンパらないように頑張ります(笑)」と身構えていた。
『はぐれ鴉』あらすじ
一人逃げのびる幼き次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き山川才次郎(神尾楓珠)と名を変え、叔父である現城代・玉田巧佐衛門(椎名桔平)がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。
長い時を経て再会した巧佐衛門は、兇行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で、高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者“はぐれ鴉”と周囲から噂されていた。そして才次郎は竹田小町と評判の巧佐衛門の娘・英里(山本千尋)と出会い、予期せず惹かれていく。
恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが……。