2025年も、LGエレクトロニクスはCESに大規模なブースを出展しています。メインのテーマは、独自の生成AIモデルを搭載する生活家電の近未来ですが、間もなく発売を迎える軽量ノートPC「LG gram」の2025年モデルや、XBOOMシリーズのワイヤレスオーディオの新製品群も一堂に集まり、賑やかなブースでした。

  • 毎年大勢の来場者で賑わうCESのブース。今年は、正面入り口にアーチ型の透過OLEDによるモニュメントを設置していました

北米にも発売された透過型4K OLED

LGは、CES 2024で“透明な4K有機ELテレビ”「LG SIGNATURE OLED T」シリーズを発表しました。ブースの中央には、複数台のTシリーズを並べた円柱状のモニュメントが鎮座し、来場者を惹きつけています。

  • ブースの中にも、透過OLEDを複数台並べた美しい円柱型のモニュメントを設置

4K OLEDのTシリーズは、昨年に北米で商品として発売されています。北米で展開するモデルのサイズは77型の1種類で、価格は6000ドル(約94万円)という高級テレビです。ファブリック素材の「コントラストスクリーン」が立ち上がると非透過表示に切り替わり、明るい場所でも映像がより見やすくなります。

チューナーなどを搭載するメディアボックスは別筐体になり、モニターとワイヤレスでつながる仕様です。ただ、モニターが専用スタンド込みでもかなり大型な製品になるため、日本の住環境に適しているかは分かりません。高級ホテルや商業施設などに限定した展開があれば、話題をさらいそうなLGらしさ満点のテレビです。

  • 高精細な映像を表示する透過型の4K OLED Tシリーズ。北米での販売もスタートしています

AI PCとして進化したLG gramの2025年モデルを発表

LGが日本でも展開するWindows搭載モバイルノートPC「LG gram」の2025年モデルがCESで発表されました。北米では17インチと16インチの超軽量モデルと、16インチの2in1モデルを合わせた計5モデルが発売されます。

  • 16インチのLG gram Proの2in1モデル

いずれも、インテルのCore Ultraデスクトッププロセッサーを搭載する、WindowsのCopilot+ PCに準拠するAIパソコンです。パソコンの設定や使い方のガイダンスなど、クラウドに頼らないオンデバイスのAI機能は、LGが独自に開発する大規模言語モデル(LLM)をベースにした「gram AI」が担います。2025年モデルのLG gramも、日本での発売を予定しています。詳細な情報は日本の公式サイトにも決定次第順次アップデートされる予定です。

ワイヤレスオーディオはラッパーのウィル・アイ・アムとコラボ

ワイヤレスオーディオの「XBOOM」シリーズは、アメリカの人気ラッパーであるウィル・アイ・アムとのコラボレーションという新しい展開があります。プレスカンファレンスのステージにはウィル・アイ・アムがゲストスピーカーとして登壇し、今後もXBOOMシリーズとの継続的なパートナーシップに力を入れながら、「すべての音楽ファンが仲間たちと音楽への情熱を共有しながら、次世代の音楽カルチャーを育める環境を一緒に作りたい」と意気込みを語りました。

  • XBOOMシリーズの肩掛けストラップ付きスピーカー「Bounce」

  • 日本では展開していないワイヤレスイヤホンもあります

Bluetoothスピーカーのラインナップは、大型スピーカーの「Stage」、肩掛けストラップを搭載する「Bounce」、ポータブルサイズの「Grab」とマイクロサイズの「Rock」。LE Audioのブロードキャスト機能である「Auracast」に対応していることから、1台のスマホで再生中の音楽を複数のXBOOMで同期しながら一斉に鳴らすパーティーリスニングが簡単に楽しめます。このほか、日本では展開していないワイヤレスイヤホン「XBOOM Buds」も発表されています。

  • プレスカンファレンスには、ラッパーのウィル・アイ・アムも駆け付けました

家電の生成AI対応にも積極姿勢

LGは、スマートホーム家電の「生成AI対応」も着実に進めています。2024年9月に、筆者はベルリンで開催されたエレクトロニクスショー「IFA」に出展したLGのブースを詳しく取材しています。当時発表されたLG独自の大規模言語モデル(LLM)による新しいAIエージェント「FURON」(フューロン)を、LGはいま積極的に同社のスマート家電に組み込もうとしています。

  • FURONを搭載するAIスマートホームハブ「ThinQ ON」。韓国で商品として発売されています

CES 2025のブースでは、韓国で先行販売しているFURONを載せたAIスマートホームハブ「ThinQ ON」を展示していました。本機があれば、LGのThinQ、またはLGが2024年に買収したオランダAthomのHomey、そしてMatterの規格に対応するスマート家電やIoTデバイスがThinQ ONから一括してコントロールできるようになります。その数は、2025年1月時点で200ブランド/5万製品を超えるそうです。

  • ThinQ ONと同じことができるスマートロボットの試作機もCESの会場に展示していました。商品化の予定はないそうです

今後は、マイクロソフトと協業しながら、AIに自然な言葉で話しかけて家電を操作するユーザーインターフェースを作り込んでいくことも、LGのプレスカンファレンスで発表されました。

  • LGのスマートテレビにFURONを内蔵。生成AIエージェントがユーザーと会話を交わしながら映像の視聴や検索をサポートする、未来の生活のデモンストレーションが人気でした

LGのスマートテレビに将来はFURONを組み込んで、番組のレコメンデーションや動画配信サイトを含むさまざまな映像コンテンツからの検索に生成AIエージェントを活用する未来のコンセプトも、今年のCESで紹介しています。これらLGによる先進的な取り組みの一端が、日本にも上陸しているスマートテレビなどで楽しめる日が来ることを期待しましょう。