リクルートが発行する旅行情報誌「じゃらん」は1月8日、「レトロ温泉」に関する調査結果を発表した。調査は2024年11月15日~11月19日、47都道府県在住の20代~50代1,022名を対象にインターネットで行われた。

  • 「じゃらん」まるで映画の世界なレトロ温泉ランキング

各地にある「レトロな雰囲気が魅力の温泉」をテーマにアンケートを実施。まるで映画の世界のようなスポット1位に選ばれたのは、群馬県「法師温泉 長寿館」だった。「日本秘湯を守る会」認定第1号となった1895年建築の大浴場。明治時代の面影を残す鹿鳴館風の「法師乃湯」と「長寿乃湯」は、源泉が岩盤の真上にあり、浴槽に敷き詰められた玉石の間から絶えず源泉100%の新しい湯が湧き出す。太い梁と洋風のアーチ型の窓が特徴の「法師乃湯」では、約130年前の建築美に浸ることができる。

  • 1位「法師温泉 長寿館」(群馬県)

2位には石川県の「山代温泉 古総湯」がランクイン。明治時代にあった総湯の跡地に2010年に復元された共同浴場で、白木が美しい外観だけではなく、床や壁の九谷焼タイルも当時のままの雰囲気を再現。シャワーは無くかけ湯で入る当時の入浴スタイルをすることが可能。浴室のカラフルなステンドグラスからは明るい光が射し込み、湯船に鮮やかな色を浮かび上がらせ、レトロモダンな空間を演出している。

  • 2位「山代温泉 古総湯」(石川県)

3位は福島県の「奥つちゆ 秘湯 川上温泉」。創業1615年の宿で、15代目の先代が「他にないお風呂を作りたい」と発案して完成した半分洞窟・半分露天のユニークなお風呂。職人が手掘りで1年半の歳月をかけ、浴槽には青森ヒバを使用している。深さは0.85mあるので、用意された浮き輪を使うことも可能。館内にある万人風呂とは男女日替わりで楽しむことができる。

  • 3位「奥つちゆ 秘湯 川上温泉」(福島県)

4位は長野県の「片倉館」。大正から昭和初期、絹産業で成功を収めた片倉財閥が地域の厚生施設として建てた温泉場。西洋の様式や意匠を取り入れた建築は、その文化的価値の高さから2011年に国の重要文化財に指定されている。長さ7.6m、奥行き4mの大きさの大理石でできた浴槽やステンドグラスなど見どころも満載で、まるでローマのお風呂のような古代ロマンも感じられそうだ。

  • 4位「片倉館」(長野県)

5位は秋田県の「新玉川温泉」。1600年代に発見されたといわれる玉川温泉の源泉から湯を引き、ごう音とともに噴き上げる熱湯は、毎分9000Lと単一源泉では日本有数の湧出量を誇る。pH1.2の酸性泉で、レモンの2倍以上の酸性度ともいわれ、世界でも珍しい塩酸が主成分。ピリピリとした強い刺激があり、長く浸かると大人でも痛いほどだとか。大浴場には浴槽が14種類、刺激がマイルドな湯船もあるので体調に合わせて選べる。

  • 5位「新玉川温泉」(秋田県)

6位は静岡県「千人風呂 金谷旅館」。1915年に建てられた千人風呂は、長さ約15m、幅5mと日本有数の大きさを誇る総檜造りで、源泉100%かけ流しの湯が惜しみなく注がれている。湯口から離れるにつれ湯温が下がるので、ちょうどよい温度の場所に浸かるのがおすすめだとか。冬は開放感あるアーチ状の天井を設えた木造の建物に湯気が立ち上り、幻想的な雰囲気を堪能できる。

  • 6位「千人風呂 金谷旅館」(静岡県)

7位は宮城県「湯元 不忘閣(ふぼうかく)」。歴代伊達藩主御用達の宿。約417年前に伊達政宗が滞在して感激し、「不忘」と名付けたといわれている。6カ所あるお風呂のうち、伊達政宗が入ったとされる石風呂「大湯 金泉堂」は30人の職人が2年かけて作ったもので、無色無臭の柔らかい温泉を源泉100%かけ流している。伊達家の資料を展示した、敷地内の青根御殿も必見だ。

  • 7位「湯元 不忘閣(ふぼうかく)」(宮城県)

8位は青森県「蔦(つた)温泉」。平安時代に開湯したとされる蔦温泉は、源泉の上に浴槽があり、湯船の底板から空気に触れていない源泉100%"湧き"流しが特徴。こぢんまりとした広さの「久安の湯」は、まさに生まれ出たばかりのフレッシュな湯の感触や効能を感じられるのはもちろん、浴槽の扉を開けた瞬間に思わず感嘆の声が漏れるほど、古びたなかにも趣ある雰囲気が魅力。

  • 8位「蔦(つた)温泉」(青森県)

9位は奈良県「入之波(しおのは)温泉 山鳩湯」。奥吉野のダム湖畔にある1973年創業の温泉施設。毎分500Lの湯が自噴し、浴槽部分には温泉成分が年輪のように積み重なる。泉温は39.6℃のため寒い時期は加温するが、加水は一切せず贅沢にかけ流すスタイル。ケヤキの切り株をくり抜いた露天風呂からは四季折々の自然と大迫ダムを一望でき、少しぬるめの湯でゆっくり長湯を楽しむのにおすすめだという。

  • 9位「入之波(しおのは)温泉 山鳩湯」(奈良県)

10位は鹿児島県「指宿(いぶすき)温泉 村之湯温泉」。住宅街にある創業1881年の共同浴場で、浴槽やむき出しの梁、歴史を感じる浴室など渋さを感じる雰囲気が魅力。足元湧出を含む温度の違う4つの源泉を持ち、これらを混ぜて温度調整するという伝統的な技法を守っており、全国の温泉好きが訪れるそう。女湯は木造の建物で、中央に熱めの湯とぬるめの湯の浴槽が2つあり、交互に楽しむことができる。

  • 10位「指宿(いぶすき)温泉 村之湯温泉」(鹿児島県)