CES 2025でIntelの暫定共同CEO、Michelle Johnston Holthaus氏が講演し、同社の製品計画についていくつかの新情報を披露した。重要な項目は、モバイル向けを含めたArrow Lakeの追加投入によるCore Ultra 2シリーズのフルラインナップ化の完成と、次世代Core UltraであるPanther Lakeの進捗だ。

  • 講演でPanther Lakeのチップを披露するIntel暫定共同CEO、Michelle Johnston(MJ) Holthaus氏。同氏は「Intelにとって今年はとても重要」とも話している。幸いなことに、Panther Lakeの試作機はすでに動いており、2025年後半の量産にも目途がたったようだ

    講演でPanther Lakeのチップを披露するIntel暫定共同CEO、Michelle Johnston(MJ) Holthaus氏。同氏は「Intelにとって今年はとても重要」とも話している。幸いなことに、Panther Lakeの試作機はすでに動いており、2025年後半の量産にも目途がたったようだ

Intel 18Aで製造するPanther Lake、2025年後半に市場投入へ

Panther Lakeは、Intel 18Aプロセスで製造されるプロセッサの主力製品であり、次世代のCore Ultra(Core Ultra 3シリーズ?)として製品化されるプロセッサの開発コードネームだ。Holthaus氏はこれを「2025年後半に市場投入する」と発表した。

  • Panther LakeはIntel 18Aプロセスで製造され、市場投入は2025年後半

現行Core Ultra 2シリーズの最先端プロセッサであるLunar Lakeは、半導体製造プロセスにIntelではなくTSMCの製造プロセスを使っており、Intelの反撃と利益確保のためにIntel 18Aへの移行は急務であった。製造プロセスの移行遅れへの懸念があったなか、今回の発表はIntel 18Aを使ったPanther Lakeの量産に目途がたったことを示すものだ。製品化に向けたテストや開発のため、試作したPanther LakeがPCメーカー向けに提供されはじめていることも明らかになっている。

  • Panther Lakeのチップを拡大した写真。なお、クライアントPC向けのPanther Lakeのほか、サーバー向けのClearwater Forest(開発コードネーム、Xeon)もIntel 18Aで製造する計画となっている。ちなみに昨年の夏ごろにも「Panther Lakeのサンプル品がOS起動をクリアした」というニュースがあった

あらゆるニーズにこたえられるCore Ultraへ

CES 2025では、デスクトップ向け、モバイル向けともにCore Ultra 2シリーズのモデル拡充が発表された。

デスクトップ向けでは、市場投入済みのK/KF以外の普及モデルや省電力モデルが一気に追加され、チップセットも廉価版のIntel B860とIntel H810が追加された。LGA1851でコストや電力を抑えたシステム構築が容易となった。市場投入は2025年第1四半期からだ。

・参考記事:
Intel、Core Ultra 200S(Arrow Lake-S)にK/KF以外のSKUを追加発売へ
https://news.mynavi.jp/article/20250107-3101885/

  • チップセットは129ドルのIntel B860と、99ドルのIntel H810が新登場

  • Intel B860の機能概要

  • Intel H810の機能概要

今回特にモバイル向けは大きくラインナップを増やしており、これまで高級薄型ノートPCをターゲットとしたLunar Lakeのみだったところに、Arrow Lakeベースのゲーミングや省電力ターゲットのモデルが追加され、フルラインナップ化が完成したかっこうだ。こちらも市場投入は2025年第1四半期から順次。

・参考記事:
Intel、Core Ultra 200HX/200H/200Uを発表 - Arrow Lakeのモバイル向け、Lunar Lakeを補完
https://news.mynavi.jp/article/20250107-3102226/

少なくとも次期のPanther Lakeまでは、Arrow LakeとLunar Lakeが混在するので少しわかりにくいかもしれない。Core Ultra 2シリーズの現状を簡単にまとめておくと以下のとおり。加えて、モデルによって従来同様にビジネス用途でのvPro対応もある。

  • Core Ultra 200HX : Arrow Lake-HX、最高のモバイルゲーミング&クリエイティブ性能、PBP55W枠
  • Core Ultra 200H : Arrow Lake-H、パフォーマンスノートPC、PBP45Wと28W枠
  • Core Ultra 200U : Arrow Lake-U、省電力な薄型ノートPC、PBP15W枠
  • Core Ultra 200V : Lunar Lake、電力効率に優れたプレミアム薄型ノートPC、PBP30Wと17W枠
  • Core Ultra 200S : Arrow Lake-S、デスクトップPC向け、今回PBP(PL1)が65Wと35W枠の追加モデル
  • この世代におけるvProステッカー

  • ゲームやAI性能のために、Intel Arc BシリーズGPU(開発コード名Battlemage)との組み合わせをアピールしていた。Battlemageは実際に価格と性能のバランスで評価が高い

Holthaus氏は今回の製品拡充の意味を、「製品のポートフォリオが幅広いことは重要だ。イノベーションの拡大期には、顧客が必要なものは、顧客が選べる状態であることが重要。競合他社の場合、特定の製品セグメントに限られた製品を提供しているわけだが、Intelは他社が十分に対応しない大規模なセグメントへAI機能と最高のパフォーマンスを提供する。それができるIntelに価値がある」と説明していた。

  • 今回の拡充で製品ポートフォリオが一気に広くなったCore Ultra 2シリーズ

  • デスクトップからタブレットやノート、ノートでも大きな高性能機から薄型軽量機、ビジネス用のセキュリティ強化機まで、そしてハンドヘルドのゲーミングPCなども、顧客が何をしたいかによって異なるはずの製品セグメントに幅広く対応できるのがIntelの強み、ということだろう