1月相場は「ご祝儀相場」として投資家に広く知られています。今回は株価が上昇しやすい月といわれている1月の株式市場の中で、例年軟調になる優待銘柄をご紹介します。

◆1月優待銘柄の傾向(32銘柄)

年が明け、1月はご祝儀相場ともいわれるほど上昇しやすい月です。今回は1月の優待銘柄をピックアップし、上がりやすい相場の中で、株価が例年軟調に推移する傾向にある優待銘柄をご紹介します。

株価が下がりやすい銘柄を事前に把握することで、不用意に損失をこうむるリスクを回避できるでしょう。

まずは、1月の一番初めの営業日である大発会に、1月末権利確定銘柄(32銘柄)を購入し、優待を得られる権利が発生する権利付き最終日の前に売却した場合の成績を見てみましょう。権利付き最終日の前に売却することで、最大限のパフォーマンスを確認できます。

■検証対象:1月の優待銘柄(計32銘柄)

■検証期間:2000年1月1日~2024年11月30日

■1銘柄当たりの投資金額:20万円

■買い条件:1月の最初の営業日の寄り付きで買い

■売り条件:1月24日、25日、26日のいずれかの営業日に売り

1月頭に1月末権利確定銘柄(32銘柄)を購入し、1月末の権利確定前に売却した場合について検証を行います。仮に、勝率が50%以上で損益がプラスならば、1月は株価が上がりやすい月となります。反対に損益がマイナスであるならば、1月は下がりやすい月といえます。

◆検証結果

以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。

システムトレードの達人

勝率:42.73%

勝ち数:185回

負け数:248回

引き分け数:18回

平均損益(円):-430円

平均損益(率):-0.21%

平均利益(円):13,894円

平均利益(率):6.95%

平均損失(円):-11,146円

平均損失(率):-5.57%

合計損益(円):-193,763円

合計損益(率):-96.90%

合計利益(円):2,570,341円

合計利益(率):1,285.22%

合計損失(円):-2,764,104円

合計損失(率):-1,382.11%

PF(プロフィット・ファクター):0.930

平均保持日数:20.43日

以上が、1月株式市場の優待銘柄(32銘柄)の検証結果です。2016年、2022年の大きな下落が目立っており、勝率は42.73%、平均損益は-0.21%となっています。勝率が5割を下回っており、1トレード当たりの平均損益もマイナスであることから、1月の優待銘柄は下がりやすい傾向があるといえるでしょう。

では次に、株価が下がりやすい傾向のある1月優待銘柄の中でも、特に株価が下がりやすい傾向にある優待銘柄をご紹介します。

◆1月の低成績優待ランキング

システムトレードの達人

図表は、先ほどの1月の優待銘柄(32銘柄)を対象とした検証において、勝率が50%以下かつ平均損益がマイナスの銘柄のランキングです。

<8013>ナイガイ

<7614>オーエムツーネットワーク

<3415>TOKYO BASE

これらの銘柄は1月優待銘柄の中でも、特に株価が下がりやすい傾向にあるようです。

簡単な検証結果でしたが、本記事で紹介した1月優待銘柄の傾向は、投資戦略を考える上での有効な判断材料の1つになるでしょう。

これらの数字は、あくまでも過去の検証結果ですので、これから先の未来でも同様の結果になる保証はありません。しかしながら、統計的な背景がある数字は、安心してトレードに臨める心強い味方となってくれるでしょう。皆さんも投資する際には、ぜひ一度検証してみてくださいね。

※あくまでも選定した32銘柄(優待銘柄)における傾向として示しています。

※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします

文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)

国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。

文=西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)