KDDI/ソフトバンク/楽天モバイルをはじめとする通信事業者、J:COMなどのケーブルテレビ事業者、新潟県三条市/兵庫県豊岡市の地方自治体、その他関連事業者の計183者は1月7日、「日本電信電話株式会社等に関する法律」(NTT法)の見直しについて議論中の総務省情報通信審議会「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方 最終答申(案)」の意見募集に応じ、連名で意見書の提出を行った。
NTT法改正の議論は、2020年夏にNTTの完全民営化を視野に入れた議論が浮上し、適正な競争環境の確保や安全保障上の問題を懸念する立場から反対の声があがっていた。その後、NTTへの規制見直しの内容について議論が重ねられ、2024年10月には大幅な規制緩和に反対する立場の意見も盛り込まれた報告書案が発表されており、KDDI/ソフトバンク/楽天モバイルの大手通信事業者3社も賛同を表明していた。
意見の全文は以下のとおり。この意見書に名を連ねた183者は、KDDIのWebサイトなどで確認できる。
今般、総務省情報通信審議会において「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」に関する議論が進められ、3つのワーキンググループ(公正競争、ユニバーサルサービス、経済安全保障)の報告書を踏まえ最終答申(案)が取りまとめられました。
最終答申(案)では、日本電信電話株式会社(以下 NTT)が保有する、他事業者が構築し得ない、電柱・管路・とう道・局舎・土地などの線路敷設基盤とその上に設置された光ファイバーなどの電気通信設備(以下「特別な資産」)の重要性や、NTTが果たすべき公共的役割の重要性が改めて確認されました。
最終答申(案)で示された、NTTに対するユニバーサルサービス責務の拡大(ブロードバンドへの対応など)、公正競争確保のための構造規制の維持・強化、経済安全保障の観点から外資規制の維持および「特別な資産」の保全・保護などの方向性に賛同します。また、最終答申(案)に記載の通り、「NTT法に規定される規律が、今後も必要であれば、引き続き同じNTT法で規定すべきとの考え方であり、現在のNTTに関する規律の法体系を維持する点で自然であり、継続性・安定性があること」に賛同するものであり、現行の枠組みを維持・強化していくことが重要と考えます。
さらなる国民生活の向上や経済の活性化、国際競争力の強化、経済安全保障の確保および災害時の安全確保などを図るため、情報通信が担うべき役割は非常に大きく、政府が目指すデジタル実装を通じた地域の社会課題の解決などの推進に向けて、情報通信インフラの健全な発展や事業者間の公正な競争環境がこれまで以上に必要な状況です。
以上の理由から、電気通信事業者や地方自治体など183者は、NTTとの公正な競争環境を整備し、多様なプレーヤーの競争を通じたイノベーションや地方創生を支えるため、地域社会を切り捨てることなく守るため、また、安全保障に直結する通信主権を守るため、国民の負担により電電公社時代から構築されたNTTの特別な資産を保全・保護し、電気通信事業法とNTT法を通信制度の両輪とする前提の下で、時代の変化に応じたNTT法の見直しや強化などが適切になされることを要望します。