フジテレビの動画配信サービス・FODで、10日12時から配信されるドラマ『ペンション・恋は桃色season3』。いつもテキトーな父・シロウ(リリー・フランキー)とその娘・ハル(伊藤沙莉)、そしてバイト青年のヨシオ(斎藤工)が営む、ちょっと古いペンション「恋は桃色」を舞台に、訪れる珍客たちによる大騒動が巻き起こるハートフルコメディだ。
メインキャストのリリー・フランキーと斎藤工に、撮影の舞台裏などを聞いた――。
印象に残る伊藤沙莉の「お父さん、かわいそう」
――seasonでは新たなキャラクターが登場するそうですが、初参加の俳優さんたちと、どんなコミュニケーションを取っていたのでしょうか。
リリー:ゲストで来てくださる皆さんが、このドラマに対してリスペクトを持ってくださっているので、「なぜなんだろう」と。やはり、「恋は桃色」という細野晴臣さんの曲からドラマが始まっているから、モノづくりをされる方には何か感じるところがあるんだと思います。ありがたいことに。
――シリーズ恒例の、ヨシオ(斎藤)が友人3人と居酒屋で取りとめのない会話をするシーンは、どうやって作っているのですか?
斎藤:あれはエチュード(台本なしの即興の演技)なのですが、JOYくんが回してくれてます。バラエティで鍛えられた“成立させる力”が強いので。バラエティもドラマも関係ないなと思いますね。
リリー:JOYさんがいないと、ヨシオの隠された部分を描く術がないんですよ。シーズン4があったら、ぜひJOYさんにペンションに来てもらいたいよね。
――この作品では、恋人や夫婦、家族の様々な形があることが描かれています。おふたりにとって、印象的な言葉や関係性はありますか?
リリー:シロウ(リリー)とハル(伊藤沙莉)の関係で、season2でも今回も「お父さん、かわいそう」と言われたんだけど、あれ好きなんです。意外と、あの一言で親子の長い歴史が説明できちゃう感じだから。象徴的な言葉よりも、ハルとヨシオがベンチに座って話している何げない会話の方が2人の時間が分かったり。ずっとバカドラマをやってるつもりなんですけど、回数を重ねて空気感や背景が出来上がってくることで、自然に人間ドラマになってくるんですね。
斎藤:ヨシオは、親子であるシロウとハルの間に入っていくんですが、season1の第1話から2人が受け入れてくれたんです。それは、ヨシオにとっては人生で初めてのことだったかもしれない。ペンションの客というより、人として受け入れてくれた。実の両親からは得られなかったものを、シロウとハルにもらっているんだなというのが、season3までくるとすごく明確になってる感じがしますね。
season4の制作決定の知らせがないのが不安
――斎藤さんはリリーさんとの共演を通じて、どんな影響を受けましたか?
斎藤:先日、お笑い芸人の永野さんの単独ライブにゲスト出演したんです。その時に、受け身ではなくクリエイティブでちゃんとぶつかろうと思って。その心の源泉は、リリーさんだなと思いました。僕にとって、そういう深い存在ですね。
――season3の制作が決定した時はどう思いましたか?
リリー:聞いたのはseason2の撮影中だったので、モチベーションが高まりましたね。それなのにseason3の撮影中には、まだ何も言ってこない。
斎藤:season4の制作決定を聞いていないことが、僕らの不安になっていました。
――season1が冬、season2が夏、season3は秋なので、season4があるとしたら春なのでしょうか。
斎藤:そうなんですよ。春が一番「恋は桃色」というタイトルに合っているシーズンかなと思います。だから4をやりたいという願望はありますね。
リリー:3月末か4月頭の撮影スケジュールを押さえるなら、もうそろそろ「4やります」と言われるはずじゃないですか。早く言ってもらわないと、このドラマのために、僕も工くんも体重を増やしたり、山にこもったり、歯を抜いたりしているわけだから(笑)
――改めてseason3までを振り返って、変化を感じていることはありますか?
リリー:season1が終わってすぐにコロナ禍が始まったんです。コロナ以前と後で一番変わったのは、人がサブスクで作品を観るようになったこと。この5年間で、家にいなければいけなかった時期にサブスクに入ることに抵抗がなくなったから、コンテンツが充実し始めた。1の時とは状況がちょっと違うんですよね。観てもらえる環境は徐々に整っているんじゃないかなと思います。
・斎藤工
ジャケット:ヨウジヤマモト
スカート、靴:スタイリスト私物