人と集まる機会の増える年末年始。日頃から節制してきたつもりでも、ついこのシーズンに飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしてしまう――。歳を重ねると、代謝が落ちるからだろう、食べた分だけ体重も増えるから本当に恐ろしい。正月太りって、どうやって予防したらいいのだろう? ライザップで聞いてきた。

  • こわ~い『正月太り』、スグできる対処法やリセットする食事を紹介 - 予防法も

■正月太りを避けたい! どうすればいい?

話を聞いたのは、RIZAP事業支援統括部で人財育成ユニットに所属している相馬由紀子氏。新人研修のほか、店舗で活躍しているトレーナーの教育にも携わる、トレーニングに精通したプロフェッショナルだ。

  • RIZAP人財育成ユニットの相馬由紀子氏

――お正月に食べ過ぎてしまいます。今から備えておけることはありますか?

食べ過ぎてしまうことが確定しているのであれば、"食べたら動く"を頭の片隅に置いておいてください。あと、食べる時間を守る(ダラダラ食べ続けない)こと。例えば、朝とお昼はおせち料理を食べるとして、午後から夜まで宴会を続けるようなことは避けましょう。『夜21時以降は何も食べない』などの、ルールを決めておけたらいいですね。

――連日の宴会が決定しています……。気をつけるべきことはありますか?

その場合は、食べる順番を意識しましょう。これは血糖値を上がりにくくする工夫です。繊維質が多いもの、タンパク質が多いもの、糖質が少ないものを先に食べましょう。例えば、おせち料理であれば、なますや数の子などを最初に食べて、くりきんとんやお餅は最後。ただ食べる量が多ければ、結局は意味がないので量には気をつけてくださいね(笑)。

そのほか、太らないためには、1日に食べる総量のうち糖質の割合を半分以下にするのがポイントです。ただし、これは痩せるためではなく、太らないための最低ラインと覚えておきましょう。

もともとおせち料理は保存食に近く、日持ちがするようたくさんのお砂糖が使われています。もし可能なのであれば、小鉢のサラダを用意して、それを食べてからおせちに入る、という裏技もアリです。また、お雑煮の汁だけ先に召し上がるのもいいですね。とにかく、根菜類(お芋など)や調味料など、糖質の取り過ぎには注意をしましょう。

■太ってしまったときの対処法

――年末年始の短期間で驚くほど太ります。早めに対処すれば短期間で体重を元通りにできますか?

はい。早めに運動すれば、体重が増えても定着しないと思います。早めの対処を心がけてください。例えば、元旦に食べることが決定しているのであれば、2日目は控えめにして運動も行う。食べていい日と食べない日を決めて、メリハリをつけましょう。1週間の摂取カロリーと消費カロリーのバランスを考えてもらえたらと思います。

――正月太りに効果的なトレーニング法はありますか?

しっかり効果を出したいのであれば、有酸素運動とウェイトトレーニング、どちらもやった方がいいです。ウェイトトレーニングでは、大きな筋肉を使うものをメインに行いましょう。

環境があるのなら、器具を使った「ベンチプレス」や「チェストプレス」など、大きな筋肉を鍛えられる種目がいいですね。あとは背中の種目として「ラットプルダウン」などがおすすめです。

  • チェストプレス

  • ラットプルダウン

――器具を使うものだとなかなか取り入れるのは難しいです……。家でできる簡単トレーニングを教えてください!

家でできるトレーニングとして、スクワットを何種目か紹介しますね。普通のスクワット(足を肩幅ほどに開いて、手は前や後ろに組む)のほかに、足を1.5倍ぐらいに開いて行うワイドスクワットがあります。これは特に内もも・お尻の外側など大きな筋肉を鍛えられるトレーニングなので、おすすめです。つま先よりも前に膝が出ないように注意をしましょう。

  • ワイドスクワット

  • 横からみたところ

もう1つが足を前後に開いて上げ下げする「スプリットスクワット」。片足に重心がかかるので、前述した2つよりも難易度は高いんですが、かかる負荷も大きくなるので消費エネルギーが稼げます。こちらは、上半身を垂直にするのではなく、傾けたままで行うのがポイントです。

  • スプリットスクワット

  • 体は傾斜したままで行うのがポイント

――スクワットは、何回やればいいでしょう?

ダイエット目的なので、やはり息が上がるくらいやった方がいいですね。『もう1回やったら上がらないかもしれない』くらいの強度まで頑張ってもらえたら!

これは、ちゃんと筋肉に刺激が入っていることを感じながら行うのがポイントです。乳酸がたまる感覚とも言いますが、パンパンになるまでやってもらうといいですね。15回×2~3セット、もの足りなかったら20回に増やし、さらにセット数を増やしましょう。

――ほかに家でできるトレーニングはありますか?

お正月はゴロゴロしてしまい、背中にかかる負荷が少なくなるので、背中を意識したトレーニングもやりましょう。諸説ありますが、肩甲骨の周りにある褐色脂肪細胞を動かすと代謝がよくなる、とも言われています(脂肪燃焼効率を上げてくれる可能性があるため)。肩甲骨周りを動かすという意味でも、背中周りのトレーニングを入れるといいですね。

――これをやれば正月太り解消ですね!

いやいや。これだけでは、おそらく正月太りは解消できません。有酸素運動を取り入れましょう。有酸素運動は、時間を稼ぐことで脂肪が燃えやすくなるので、長時間やってもらえると! これはウォーキングでもランニングでもOKです。ただし、90分を超えてしまうと、筋肉が分解されてしまうと言われているので、90分を超えないよう注意をしてください。

■体をリセットする食事法

――食事についても聞かせてください。食べ過ぎてしまった場合、体をリセットするのに効果的な食べ物はありますか?

消化吸収にいいものを取りましょう。お肉よりもお魚の方がおすすめです。そのほか、摂取した栄養をエネルギーに変えることが重要なので、ビタミンの豊富なお野菜をとっていただくのが重要です。ただ、あまりビタミンが含まれていない葉物野菜ではなく、できれば色の濃いブロッコリーやピーマン、パプリカなどの野菜を食べましょう。

――ビタミンもたくさんの種類がありますが、何を摂取すればいいのでしょう?

ビタミンBですね。特に、糖質を取り過ぎている場合はビタミンB1です。豚肉に多く含まれているのですが、これが糖代謝(糖をエネルギーに変える力)に非常に効果があると言われています。

――ちなみに、プロテインで栄養素などを補うのはどうですか?

悪くはないんですが、あくまでサプリメントなので、必要な栄養素は限られてしまいます。食べ物を咀嚼(そしゃく)することで代謝を上げることも期待できるので、何か食材を口にした方がいいかなと思います。

また、プロテインは人工物なので、自然で育った栄養を摂取した方がベター。栄養を取りきれなかったときや、胃もたれなどして食欲がないときにプロテインを活用してもらえたら幸いです。食事と運動をかけあわせて、正月太りを解消しましょう!