-真天地開闢集団-ジグザグが2024年12月24日、神奈川・横浜アリーナにて、全国ツアー「全国開闢禊 -天ト地-」のファイナル公演を開催。2時間半、21曲に渡る熱演で参拝者(ファンの総称)との”クリスマスデート”を楽しんだ。
開演直前に、メンバーの3人、命 -mikoto-(Vo.Gt)、龍矢 -ryuya-(Ba)、影丸 -kagemaru-(Dr)が影アナで登場すると、今回初めて取り入れたという公式禊(ライブ)グッズのペンライト「"慈愚挫愚ノ光 」の使い方をレクチャー。命の掛け声により赤~青~緑のライトが客席一杯に点灯して、気分を盛り上げていざ禊へと突入した。
場内が暗転すると、和風からエレクトロなサウンドへと変化するSEを受けて、真っ赤に染まったステージに龍矢と影丸が上がる。再び暗転するとステージ後方中央に設置された巨大な鳥居の下、命が姿を現した。大歓声の中で歩を進めると、歌い出しと共に炎が吹き上がり、「天(ama)」から禊がスタート。龍矢と影丸が紡ぐゆったりとヘヴィなリズム、サポートギタリストの菅野尋が淡々と奏でるリフに緊張感が漂う中、昇天するようにシャウトする命。1曲目にしてそのカリスマ性とバンドの世界観の一端を初見の観客にも知らしめるオープニングとなった。
命 -mikoto-
「Dazzling Secret」のファンキーなイントロが始まると命は「横アリ、ぶっ飛べ!」と叫びながら花道を歩きながらセンタ―ステージへ。メインステージではダンサブルなリズムに合わせて鳥居全体が光を放つ仰天の演出もあり、一気に興奮が弾ける横浜アリーナ。流麗なピアノから、命が「横アリ! 拳上げろ!」と叫んで「Cry Out -victims-」へと続く。疾走するロックチューンは、王道のラウドロックの系譜を感じさせる。「あいのかたち」では、「もっとさらけ出そうぜ横浜!」「そんなもんか横アリ!?」と、客席を挑発する命。次々と曲を畳みかけるとMCへ。
「愚かなる者どもよ! 我々が-真天地開闢集団-ジグザグだ! 「全国開闢禊 -天ト地-」最終日、横浜アリーナへようこそ! 最終日と同時に、クリスマスイブでございます。こんな大事な日にこんなとこ来ちゃって、もうアンタも好きねえ(笑)! クリスマスイブ、デートでございますよみなさん。イチャイチャしようぜ!」(命)
ヘドバン指南を受けての「Schmerz」で客席一面激しく頭を振る光景が広がると、思いっきり足元がグラグラ揺れた。続く「燦然世界」では、曲中でいったん座るように指示した命が「一回パワーを温存して、春が来るまで待つ! しっかりエネルギーを貯めろ!」と客席に語り掛けながら「立ち上がれ!」と煽ってオーディエンスが一斉に飛び上がる。さらに2ビートで興奮を掻き立てる「夢に出てきた島田」では、ビジョンに描き出される「島田」「SHIMADA」の文字に合わせて大合唱。間奏では命と菅野がギターソロで掛け合う。
MCを挟んで、「いつかこんな未来が来たらいいなと思って書いた曲」として、「さくら さくら」へ。シンフォニックな音から軽快にドライブする演奏は、この日披露された曲の中でもウェイトが軽いサウンドのコントラストが心地良い。さくら色のペンライトが場内を埋め尽くした。次に披露された「兎girl」はシャッフルのポップスで親しみやすく、ストレートに疾走する「Drip」、振付けで一体となった「最高だZ」では命がトロッコに乗って場内を一周したりと、多彩な楽曲と演出で一時たりとも飽きさせることがない。エンタメバンドぶりが全開になったのが、「バリネギ -sexy green onion-」。王道ロックンロールにネギをモチーフにした歌詞が楽しい1曲を、「ネギ振れるか~!?」と客席に呼び掛けて歌う命と、”ネギ色”のペンライトを振って盛り上がる参拝者たち。何度も曲を締めながら、センタ―ステージまで足を運んでさらに両手でネギをシェイクするように求めると、「とてもすごいネギ畑をありがとう!」と、アリーナを見渡す命はじつに満足そうだ。
清らかなピアノのリフレイン、壮大なシンセから力強いドラムが「E.v.e」へと導く。先ほどの賑やかさとはガラリと変わった、まっすぐで真摯な歌がタイトな演奏で届けられた。後半、ステージ上から雪が舞い落ちて、場内からどよめきが起こる場面も。曲が終わり少しすると突然、アコースティックギターをかき鳴らしながらステージ袖から「はじめまして私、吉田ミコ郎でございます」と名乗る、レジェンドフォークシンガーへのオマージュらしき人物に扮した命が登場した。ツアー各地で色んなアーティストのヒット曲を歌ってきたとのことだが、この日はクリスマスイブということもあり、「赤鼻のトナカイ」~「きよしこの夜」を”余興”として弾き語り。余興と言いつつも、見事な歌唱力がシンプルに露わになった瞬間だった。
さらに中学2年生の頃に作ったという、クリスマスソングを披露。軽快なギターに乗せて、〈こんな寒い夜のはずなのに なぜだか暖かかった〉と、ピュアな心が伝わってくる楽曲を歌う命。「あの日の中2の少年に、”遠い未来、おまえこの曲、横浜アリーナで歌うぞ”って言ってやりたい」と感激した様子を見せた。暗転すると、ドラムの影丸にスポットが当たりドラムソロへ。手拍子を煽り、スティックを手元で回しながらハイハットをオンオフで叩く繊細なニュアンスなどで超絶テクニックを見せる影丸。
影丸 -kagemaru-
影丸がドラを豪快に鳴らすと、「あっぱれ珍道中」でライブ再開。「そいやっさ そいやっさ」「どすこい どすこい」と、扇子やペンライトを振って我を忘れたように踊る参拝者たちでお祭り騒ぎに。曲中、龍矢が「皆の者、両手を上げい! 命様に盛大な手拍子!」と扇動すると大音量の手拍子で興奮の坩堝と化す。スモークが立ち昇る「JAPPARAPAN ~Japanese Party~」で、色とりどりのペンライトで埋め尽くされる客席を見渡しながらセンタ―ステージへと進む命。4つ打ちのEDMに乗せて「WE LOVE SUSHI!」と声を合わせる。「拙者忍者、猫忍者。~木天蓼三毛蔵と町娘おりん~」ではサポートの菅野を含む4人が猫耳とサングラス装着でトロッコに二手に分かれて乗り込んで、打ち込みのビートに乗せて場内を回り大沸騰の盛り上がりとなった。
龍矢 -ryuya-
一転したバラード曲「傷と嘘」では、白いペンライトが客席いっぱいに広がる光景が感動的。命が「一緒に歌ってください!」とコーラスを求めると、「ララララ…」と会場中から命の元に声が集まった。センタ―ステージで両手を広げてその声を受け止めた命は歌い終わると、「これダメだ。あかんやつ。現実? これ」と感極まった様子。「この曲はコロナ前に作った曲で、大きいところでみんなで合唱できたらすごく良いなと想像して作りました。こうしてようやくみんなで大きな声を出せるようになって、そしてまさか想像よりも何倍も大きいこんなところでみんなで歌えるようになって、この曲が本当に報われたなと、ようやく完成したなという気持ちです。ありがとうございます!」との言葉に、万雷の拍手が沸き起こった。
「残り4曲! 40曲分騒いでもらっていいですか! やれるか~!? 最高にキュートなみんなを見せてくれ!」と煽ると、4つ打ちのポップソング「きちゅねのよめいり」でカラフルなペンライトがクルクル回り、今度は「かわいい横アリもいいけど、そろそろカッコイイ横アリも見せてもらっていいですか!? かかってこい!」と、「復讐は正義」でヘドバンを促して、両極端なバンドの多面性を見せてクライマックスヘと進んでいく。間奏では命がタッピングを交えたエモいギターソロを聴かせる。心暖まる「Promise」では大合唱が自然発生して、最高の一体感が生まれた。ここでいったんブレイクして客席をバックに記念写真を撮影。
「いつだって我々は一緒だから、さみしくなんかないよな! 次で最後、涙は無しで笑顔でお別れしましょう!」との熱いMCから、パワーポップな「Nighty night!」へ。〈ハッピーエンドは君のおかげ〉と語り掛けるように歌い上げると、銀テープが炸裂してエンディングを迎えた。曲を終えたメンバーたちは「ありがとう!」と客席に何度も何度も感謝。爽やかな余韻を残して「全国開闢禊 -天ト地-」ツアーは終幕となった。
-真天地開闢集団-ジグザグ〈全国開闢禊 -天ト地-〉ツアーファイナル
2024年12月24日神奈川・横浜アリーナ
〈セットリスト〉
1. 天(ama)
2. Dazzling Secret
3. Cry Out -victims-
4. あいのかたち
5. Schmerz
6. 燦然世界
7. 夢に出てきた島田
8. さくら さくら
9. 兎girl
10. Drip
11. 最高だZ
12. バリネギ -sexy green onion-
13. E.v.e
命-mikoto- 弾き語り
影丸 -kagemaru- ドラムソロ
14. あっぱれ珍道中
15. JAPPARAPAN ~Japanese Party~
16. 拙者忍者、猫忍者。~木天蓼三毛蔵と町娘おりん~
17. 傷と嘘
18. きちゅねのよめいり
19. 復讐は正義
20. Promise
21. Nighty night!