2024年もあっという間に年の瀬が迫ってきた。今年もさまざまなゲームが発売され、みなさん思い思いにゲーミングライフを満喫したことだろう。一方で、気になってはいるけれど手を出せていないゲームや、買っただけで未プレイのゲームなど、いわゆる「積みゲー」も溜まっているのではないだろうか。

かくいう筆者も、セール期間中に買い込んだままの積みゲーが山ほどある。なかには、2025年に新作の発売を控えているシリーズものや、同じ開発チームの作品も多い。

2025年のゲーミングライフを気持ちよくスタートさせるためにも、今のうちに過去作をプレイしておこう! そう思い立ち、溜まっていたインディーゲームを片っ端から遊んでみた。なかでも特に楽しかったシリーズ作品を、新作情報とあわせてご紹介したい。

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    2025年も新作タイトルが続々と登場! 発売前に、溜め込んでいた過去のシリーズ作品を遊び尽くす

新作の舞台は東京! キャラクターたちの物語を味わう「コーヒートーク」シリーズ

まずご紹介するのは、インドネシアのゲームスタジオ「Toge Productions」が手がけるアドベンチャーゲーム「コーヒートーク」シリーズだ。2020年に1作目『コーヒートーク』が発売され、2023年には続編の『コーヒートーク エピソード2:ハイビスカス&バタフライ』がリリースされた。そして、2025年にはシリーズ最新作の『コーヒートーク トーキョー』の発売を予定している。

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    数あるノベルゲームのなかでも絶大な人気を誇る「コーヒートーク」シリーズを一気にプレイ!

プレイヤーは、深夜に営業するカフェ「コーヒートーク」のバリスタとなり、店を訪れるさまざまな客と言葉を交わしながら飲み物を提供する。これまでに発売された2作品はアメリカのシアトルが舞台だが、作中には人間のみならずエルフやサキュバス、人狼などの多種族が登場する。

「コーヒートーク」シリーズの最大の魅力は、キャラクターたちの物語だ。カフェを訪れる客は、仕事と叶えたい夢の間で葛藤したり、恋人や家族との関係に懸念があったりと、それぞれに悩みを抱えている。種族は違えど、その人間味あふれるエピソードの数々には共感せざるを得ない。バリスタとして相談を受けるうちにキャラクターたちとの心の距離が縮まり、どんどんと親しみが湧いてくるのだ。

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    『コーヒートーク』を象徴する常連客の「フレイヤ」。小説本の出版を目指し、アイデアを求めて毎晩のように店を訪れる

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    フレイヤは、トリプルショットのエスプレッソがお気に入り。店では客の好みに合わせ、さまざまな飲み物を提供する

そして、続編の『コーヒートーク エピソード2:ハイビスカス&バタフライ』には、『コーヒートーク』の一部のキャラクターが再登場。3年の時が経ち、キャラクターたちとは「馴染みの店と客」の関係を超えた、「家族」のような絆が芽生えてくる。

筆者が特に気に入ったのは、吸血鬼「ハイド」の物語。辛辣な物言いでほかの客たちと諍いを起こしがちな彼だが、続編では長命種であるが故のスランプに陥る。そのスランプを乗り越える「きっかけ」を与えてくれたのは、プレイヤーであるバリスタと、シリーズを通して登場するカフェの常連客たちだった。

ハイドのエピソードを含め、続編には『コーヒートーク』からプレイすると感慨深いシーンがあちこちに散りばめられている。もちろん『コーヒートーク エピソード2:ハイビスカス&バタフライ』からプレイしても問題はないが、シリーズ未経験の方はぜひ1作目から楽しんでみてほしい。

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    人間より遥かに長生きな吸血鬼のハイド。続編では、心の内をよりオープンにして悩みを打ち明けてくれる

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    続編では新たに「ブルーピー」と「ハイビスカス」の茶葉が追加され、提供できる飲み物の種類が倍増する

2025年に発売予定の新作『コーヒートーク トーキョー』は、その名の通り、舞台を東京に移す。2024年8月に公開されたトレーラーには、新キャラクターの河童の「ケンジ」や、シリーズファンにはお馴染みのネコミミ族の「ヘンドリー」が登場した。東京の街で、それぞれのキャラクターにどんな物語が展開されるのか、発売が待ち遠しい!

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    夜の東京の街にひっそりと佇む小さなカフェ。日本語の看板に親しみと安心を感じる

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    サラリーマンとして働く河童のケンジさん。退職後のやりがいが見つけられず、悩んでいるらしい

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    シリーズ定番のラテアートには、新たに「ステンシル」が登場。和風のデザインが抹茶ラテと相性抜群だ

旅と謎解きに大忙し!? 「FAR」シリーズの開発チームが手がける新作『HERDLING』

続いてご紹介するのは、スイスのゲームスタジオ「Okomotive」のアドベンチャーゲーム「FAR」シリーズと、2025年発売予定の新作『HERDLING』だ。

「FAR」シリーズは、2018年に1作目の『FAR: Lone Sails』が発売され、2022年には続編の『FAR: Changing Tides』が登場。2作品とも、荒廃した世界を不思議な「船」に乗りながら旅する横スクロール型のアクションアドベンチャーゲームだ。

『FAR: Lone Sails』でプレイヤーが操作するのは、赤い服に身を包んだ少女。かつて大海原だった大地を船で突き進み、文明の残存を辿りながら数々の障害を乗り越えていく。対する続編の『FAR: Changing Tides』では、1人の少年が主人公となり、洪水によって水没した海の世界を航海する。

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    『FAR: Lone Sails』では、乾いた大地を船で走る。物悲しくも美しい景色に心奪われる瞬間が多かった

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    『FAR: Changing Tides』では、船に乗って海を旅する。スタート直後は洪水に襲われた町の残骸が目立ち、胸が締めつけられる

少女と少年が乗る船は、燃料を補給したり、故障した箇所を修理したりと、こまめなメンテナンスが欠かせない。のんびりした旅ゲームかと思いきや、船内を動き回ってさまざまな機構を操作しなければならず、まるでワンオペ営業の飲食店バイトのように忙しない……! いかに効率よく船を前に進めるか、タスク管理能力を問われるのが「FAR」シリーズの面白いところだ。

また、行く手を阻む障害物や悪天候を切り抜けるために、道中にはさまざまな「謎解き」が登場する。船の機構を活用したり、滅亡した文明の力を呼び覚ましたりと、謎を解くにはひらめきと工夫が必要で一筋縄ではいかない場面も多い。難易度としてはやや高めだが、その分やりごたえは十分だ。

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    『FAR: Lone Sails』の船の内部。燃料補給やアクセルのスイッチが各所にあり、それらが故障すると火の手が上がるので急いで消火しなければならない

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    旅の途中では悪天候に見舞われることも。雹から船を守るため、屋根のある場所に避難する

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    『FAR: Changing Tides』の船の内部。道を塞ぐ障害物をどかすため、エンジンをふかす

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    ときには船を降りて謎解きにチャレンジする場面も。所々にかつて栄えた文明の痕跡が見える

荒涼とした世界を、たった1人で旅する。その孤独感を美しく描いた「FAR」シリーズだが、2025年発売予定の「Okomotive」の新作『HERDLING』のトレーラーを見ると、全く新しい世界観が広がっていることが分かる。大きな違いは、大自然のなかを「奥」に突き進んでいくことと、不思議な生き物たちが旅の仲間になること。しかしながら、謎解き要素は健在のようで、「FAR」シリーズとはまた違うギミックでプレイヤーを楽しませてくれそうだ。

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    新作の『HERDLING』では、毛もくじゃらな生き物たちと群れを成して大自然を旅する

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    生き物たちの力を借りながら、大きな装置を動かして前に進む。旅の仲間は謎解きにも大いに関わってきそうだ

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    大きな角と真っ赤な瞳が少々不気味ではあるが、モフモフしていて愛らしさも感じる不思議な生き物

テンポの良さにのめり込む! 「和階堂真の事件簿」シリーズと新作『都市伝説解体センター』

最後にご紹介するのは、日本のインディーゲーム制作チーム「墓場文庫」が手がけるミステリーアドベンチャー「和階堂真の事件簿」シリーズと、2025年発売予定の新作『都市伝説解体センター』だ。

「和階堂真の事件簿」は、2020年にスマホゲームアプリとしてリリースされたシリーズ。1作目の『処刑人の楔』に続き、『隠し神の森』、『影法師の足』の3作品が展開され、2023年には追加エピソードの『指切館の殺人』を含むシリーズ全作を収録した、Nintendo Switch版とSteam版が発売された。

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    筆者は、シリーズの全作品が楽しめる『和階堂真の事件簿 Trilogy Deluxe』をNintendo Switchでプレイした

プレイヤーは主人公の和階堂警部を操作しながら、不可解な事件の解決に挑む。謎解きは、現場検証や聞き込みでヒントを探す「捜査パート」と、集めた情報を整理する「推理パート」の2つに分かれる。

筆者が特に楽しかったのは、「捜査パート」だ。作中では、集めた情報を「メモ」にセットすると、現場で調べられることや登場人物たちに聞けることが増えていく。例えば、事件現場の警察官から被害者の話を聞き、その情報をメモにセットして別の警察官に話しかけると新たな選択肢が追加され、被害者についてさらなる聞き込み調査ができるようになる。

こうして少しずつ情報を集めていくと、次第に事件の全容が明らかになってくる。パズルのピースを埋めていくような感覚に、気がつけば夢中になっていた。

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    まずは事件現場を調査する「捜査パート」からスタート。登場人物たちに聞き込みをしながら、情報を集める

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    「捜査パート」で集めた情報は随時メモに追加され、いつでも見返すことが可能だ

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    メモをセットした状態で登場人物に話しかけると新たな選択肢が追加され、情報をさらに聞き出すことができる

「和階堂真の事件簿」シリーズでは、ステージごとに集めるべき情報の「数」が明示されているほか、新情報を得られる登場人物があらかじめリストアップされている。丁寧かつ親切なゲーム設計のおかげでテンポよくゲームが進むので、ミステリー作品や謎解きに苦手意識のある人でも安心して楽しめるだろう。

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    画面上部に集めるべき情報の数が表示されているので、取り逃がしてしまう心配がない

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    「捜査パート」が完了すると、次は情報を整理する「推理パート」に移る。ここで答えの選択を誤ってもゲームオーバーになることはない

2025年2月13日に発売を控える「墓場文庫」の新作『都市伝説解体センター』も、「和階堂真の事件簿」シリーズのゲームシステムを一部踏襲している。怪異や呪物といった都市伝説の謎を解き明かすため、現場を調査しながら証拠を集めて仮説を立てていくのだ。

2024年10月にSteamにて期間限定で公開された体験版をプレイしてみたところ、聞き込み調査で得た新情報には「NEW」のマークが付いたり、次にどんなアクションを起こすべきかがリストで表示されたりと、より快適な操作感に仕上がっていた。そのほか、ピクセルアートで描かれるムービーシーンや個性的なキャラクター、リアリティあふれるSNS調査など、新たな魅力も満載だ。

もし、「体験版をやり逃してしまった!」「発売が待ちきれない!」という人がいれば、ぜひ今のうちに「和階堂真の事件簿」シリーズを履修しておくことをおすすめする。

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    『都市伝説解体センター』では、「念視」の能力を駆使して調査を進める。画面左に起こすべきアクションが一覧で表示されていて分かりやすい

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    現場に向かう道すがら、スマホを使ったSNS調査が始まる。アカウント名やリプライの内容など細部までしっかりと作り込まれている

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    なめらかに動くピクセルアートと独特の色使いが、得体の知れない怪異への恐怖をさらに煽ってくる

今回ご紹介した3つのシリーズは、いずれの作品も1〜10時間程度でクリアできる。年末年始のちょっとした隙間時間にプレイを進め、2025年発売の新作に備えてはいかがだろうか。