edhiii boi、初オーガナイズイベントで魅せた表現者としての進化「俺は止まらないぜ!」

12月26日、東京・渋谷WWWにて、現役高校生ラッパー・edhiii boiによる初のオーガナイズイベント『edhiii boi presents GOODBYE HIGH SCHOOL DAYS -Prom Party-』が開催された。

【画像】edhiii boi、初オーガナイズイベント(全15枚)

2025年3月に高校を卒業するedhiii boiは、2024年4月より、高校生ラストイヤーを思う存分楽しむための企画「GOODBYE HIGH SCHOOL DAYS」を始動。当初から「自身がオーガナイズするイベントの計画」を目標として公言しており、『edhiii boi presents GOODBYE HIGH SCHOOL DAYS -Prom Party-』は、その想いを実現してみせた機会だった。

2024年のBillboard JAPAN「TikTok Songs Chart」5位にランクインするほど、今年を象徴するヒットソングとなった”おともだち”を歌っている際、 edhiii boiは「今日めっちゃ楽しみにしていたんだよね!」と、この日に懸ける強い想いを叫んだ。それほど大事にしていた日に彼が招いたのは、Misaki Hinata、ぜったくん、XAMIYAの3組。ドレスコードは「赤」で、オーディエンスは赤い服や小物を身につけてWWWのフロアは赤色に染まり、出演者たちもそれぞれのファッションスタイルに赤を取り入れていた。

Misaki Hinata(Photo by 坪井隆寛)

OAとして登場したのは、Misaki Hinata。edhiii boiのバックDJを務め、”Higher Up”をともに制作したYackleが主宰するレーベル「00motionRecords」よりリリースしているラッパーだ。この日のセットリストには、重低音が気持ちいいビートでオーディエンスをバウンスさせる”Vivi Star☆””Vivi Run!””blurry”、自分と他者に引いていた「線」をまたぐ意志を歌う”またぐ”、寂しいときに書いたという”Childish<3””などをチョイス。音とマインド、その両方の要素からedhiii boiファンの心をグッと掴んだステージだった。

ぜったくんとedhiii boi(Photo by 坪井隆寛)

続いては、NEWSなどにも話題曲を提供している、「巣ごもり系マイルドラッパー」・ぜったくんが登場。1曲目”爪”を歌い終えた瞬間から「やばいね」「みんなヴァイブス高い」とぜったくんが驚くほど、WWWのフロアは音を全身で楽しむムードが全開。人気曲”Midnight Call (feat. kojikoji)”含め、多種多様なリズムで終始心地よいグルーヴを生み出し、ぜったくんなりのユーモアとフレンドリーさでオーディエンスを巻き込んでいった。そしてedhiii boiをステージに招いて、”僕だけノンフィクション feat. edhiii boi”をライブ初披露。ぜったくんが「聴くと無敵になれる」というこの曲は、生で浴びるとより鮮やかに人生を肯定してくれるよう。「edhiii boiはもちろんこのあとやばいのかますんで!」と、ぜったくんはedhiii boiへエールを送った。

XAMIYA(Photo by 坪井隆寛)

XAMIYA(Photo by 坪井隆寛)

ぜったくんからバトンを受け取ったのは、XAMIYA。元XG候補生でありソロアーティストとして活動するKAMIYAと、edhiii boiの新曲”全部僕のせい”や、MAZZEL、Tohji、ONE OR EIGHTなどの楽曲を手掛けるLA在住の新進気鋭プロデューサー・Xanseiによるユニット。髪をピンク色に染めた二人が横一列に並び、Xanseiが赤色のエレキギターをかき鳴らし、KAMIYAが白いドレス姿で歌うと、edhiii boiいわく「絵本の中から出てきたみたい」な世界観へと一気に引き込まれる。Xanseiがコントロールするサウンドは、ロックやハイパーポップだけでなくさまざまな要素を自分のものにしたクオリティ。その一方で、”MONSTER”を歌い始める前、KAMIYAは鬱と戦っていることを公言。誰も真似できないオリジナリティ、枠に捉われない音を追求する姿勢、自身の寂しさや弱さもオープンにした歌、それらすべてにおいてedhiii boiはXAMIYAにリスペクトを向けているのだろう。

主催者・edhiii boiは、”Uiteru”からスタート。髪を下ろしてパーカー姿で登場したぜったくんのステージからは変身し、オールバックでサングラスを装備したedhiii boiの登場だ。曲中で「ようこそ」と、edhiii boiの世界観へオーディエンスを招待。”Uiteru”では無音の中で矢継ぎ早のラップを繰り広げて圧倒的なスキルを証明し、”GALAXY”でさらに激しくアゲたあと、コール&レスポンスが起こるメランコリックな”NO”へとつなげた。その幅広さと自由さこそ、edhiii boiワールドだ。ここで「後半で歌うと思っていただろう! もう歌っちゃいます」と、さっそくキラーチューン”おともだち”を投下。その後、”不思議な国のアリス”、”Flower”へと続け、未来に向けた想いを全員へ伝えるように「これからも世界を目指して」を強調して歌った。

中盤、edhiii boiのシンガーとしての新たな一面が引き出された新曲”全部僕のせい”を、白いスポットライトを浴びながら歌い始めた。曲が進むにつれて、どんどんと歌にエモーショナルさが帯びる。そして曲から放出される熱に飲み込まれていく。歌い終えたあと、「今自分が出せるものを全面に出した歌詞を書くことができた」と手応えを語っていたが、その言葉からも、強烈な印象を残すパフォーマンスからも、この曲がedhiii boiにとって重要な一曲になっていることをライブ初披露でしっかりと伝えていた。

edhiii boi×Aile The Shota(Photo by 坪井隆寛)

「僕ってこういう人間だよと改めて自己紹介させてください」という合図から始めたのは、”118”。そして「あるとき事務所の先輩が教えてくれた単語があって、かっこいいなと思って。”Villains”っていうんですけど」というフリから、”全部僕のせい”を共作したAile The Shotaを呼び込み、ともに”Villains”へ。その音とパフォーマンスは、WWWに収まりきらないスケール感。野生的なシャウトも混ぜながら歌い上げたあと、Aile The Shotaは「俺はedhiii boiの大ファン。あなたのセンスも、人としても、大好き。そんなedhiii boiのことを見つけて遊びにきてるお前らのセンスもやばすぎ!」と言い残してステージを去った。

そしてここで、edhiii boiは胸中を吐露し始めた。先月、沖縄のライブにて納得のいくパフォーマンスができず、悔しい想いをしたという。そのリベンジとして、ここで”Forever Friend”を歌いたいと語った。聴き手に対して一言ずつ届けるように、丁寧に発声し、目を見て歌う。edhiii boiの中にある歌心とラップスキルを刻み付けながら、聴き手の心にしっかりと触れた瞬間だった。「この曲だけは今日本当に怖かったんだよ」と言いながら、その怖さを乗り越えて言い放った「人生、楽しく、前向きに、ハッピーに生きていきましょう」「目指してる場所はみんなバラバラだと思うけど、同じ人間同士、楽しく、自分のペースで生きていきましょう」という言葉には力強い説得力が帯びていて、それを受け取った人々はアツい歓声を返した。

edhiii boi(Photo by 坪井隆寛)

最後の曲に入る前、2025年春頃にアルバムをリリースすることを発表。さらに、2025年3月15日、東京・Zepp Shinjukuにて、edhiii boi史上最大規模のワンマンライブ『大人になんてなりたくない』の開催も決定。「小さい子もいっぱい聴いてくれているみたいなんだけど、ライブに来られない人もいると思う。そんな人のためにも僕は音楽をやめずに、その子が大きくまで音楽を続けようと思うので、これからもよろしくお願いします」と優しいメッセージも添えた。

最後は、”夏休み feat. School Boi”。10歳の夏休みに作った楽曲をサンプリングし、今夏リリースした一曲で、あの頃と今の自分を重ね合わせて、自身の人生物語と成長した姿を伝えてみせた。

”夏休み”を始める前にも、edhiii boiは少しだけ自分の弱さを見せた。「正直、みなさんが思ってるほど努力できてなかった。テストとかも……テストの話はやめましょう、あとでお母さんから怒られそうなので(笑)。そんなダメ人間なんですよ」。歌やライブ力の成長はもちろんだが、飾ることのかっこよさだけでなく、自身の弱点や寂しさも見せるかっこよさを身につけたことが、彼が遂げた大きな成長のひとつだと思った。途中で「まだまだいけると思ってる!」とも話していたが、edhiii boiの表現者としての進化は当然ここで終わらない。この日は、最後にAile The Shotaが言った通り、「カルチャーが生まれている」ことを感じさせる時間でもあった。そんな1日の最後にedhiii boiが残した言葉はこうだ。「俺は止まらないぜ!」。

edhiii boi セットリスト

1. Uiteru

2. GALAXY

3. NO

4. おともだち

5. 不思議な国のアリス

6. Flower

7. 全部僕のせい

8. 118

9. Villains (SPECIAL GUEST: Aile The Shota)

10. Forever Friend

11. 夏休み feat. School Boi