27日深夜に放送された日本テレビのバラエティ番組『アイタイシソンヌ~シソンヌと相対する女優~』(TVerで配信中)。ゲストの桜井日奈子が挙げた“会いたい人”を番組が見つけ、スタジオに登場して感動の再会を果たすが、その相手は全てシソンヌのじろうが扮する……事前に公開されていた番組情報から、これはカオスな“シソンヌ劇場”が展開されると思いきや、いざ放送された番組で見せられたのは、桜井の恐るべき“没入力”だった――。

  • 桜井日奈子 (C)日テレ

    桜井日奈子 (C)日テレ

「年齢っていう概念を捨てた」

まず登場するのは、小学生の時にファーストキスを奪った初恋の人・れんくん。桜井から当時のエピソードが明かされるが、「バスケの練習の終わりの時間に、パッと手を引かれて…」「駐輪場と壁の、人が1人入れるかぐらいのところに押し込まれて…」とシチュエーションが具体的で、信ぴょう性が増していく。

しかし、ご対面タイムで姿を現したのは、桜井より19歳も年上のじろう。その風貌に桜井は思わず笑ってしまうが、それは久々の対面に驚いた笑い声としても不自然ではない。

シソンヌ・長谷川忍が「やっぱり10年ぶりでも変わってない?」と聞くと、「シュッとしてる感じは変わらないです」と明らかな年齢差に触れない桜井。すかさず、見届け人のFUMA(&TEAM)が「だいぶ大人な方ですね。おいくつですか?」と切り込むが、れんくんは「年齢っていう概念を捨てた」とアクロバットな回答でかわした。

その後も桜井は、初恋の現在を知りたい乙女の表情でれんくんの話を聞き、「高校を出た後にモデルをやっている」「今は床屋さんの後ろに貼ってあるカットモデル」というクリティカルなワードにも吹き出さない。

そして、れんくんの「あれ(桜井とのファーストキス)以来、キスをしてない」という発言に、衝撃の「えっ!?」が飛び出しながら、どこかうれしそうな桜井。だが、「画面を止めて画面の日奈子にキスをしてる」という気持ち悪い発言が出たところで、れんくんは桜井のリアクションを待たずして退場させられた。

  • スパルタ塾講師との再会 (C)日テレ

まさかの感動「ああ、泣きそう…」

こんな調子で、「小学校の下校時に遭った露出魔から守ってくれたおばさん」「小学校の通学路でよく見かけた鯉を大量に飼うおじさん」「課題をやってこないと“殺すぞ!”と言うスパルタ塾講師」「親友のゆりなちゃん」と、じろうが扮する桜井の会いたい人が次々に登場するが、どのエピソードにおいても、自然に驚いたりドキドキしたりして“感動の再会”という設定を壊さないリアクションを完遂する桜井。そんな彼女の“没入力”が最高に発揮されたのが、「育ての親の鬼マネージャー・松本さん」との再会だ。

「聞き捨てならぬぞ!」が口癖の松本さんは、桜井と反省会をしていた思い出のデニーズからリモートで登場。最近桜井が出演した舞台を見て「がんばってた、素晴らしかった!」と感想を伝えたほか、「カメラ見つめてる目が大きいところとか、本当にたまらない。大好き」「私からの最後のアドバイスだよ。最近の日奈子は、輝きすぎ」と鬼マネージャーが時折かける優しい言葉に、桜井は「すっごいグッと来ました。あの、ああ、泣きそう…」と、本当に感動してしまったのだ。

桜井は「不思議な感情になりました。じろうさんご本人がマネージャー松本さんと打ち合わせしたのかなと思った…。楽しかったこと、苦しかったこと当時の思い出がよみがえってきて……思いがあふれてしまいました」と打ち明けているが、それは桜井がこの企画にまっすぐ取り組んだこと、そして番組が取材した本当のマネージャーの重要なポイントをじろうが取り入れ、昇華したことで生み出されたシーンに違いない。

高校で身長60cm伸びるのは「半端ないですよ」

このように、“シソンヌ劇場”に巻き込まれながらも、桜井の見事な“没入力”で成立している番組だが、見届け人であるFUMAの活躍も見逃せない。桜井のファーストキスの相手・れんくんが「高校で60cmくらい身長が伸びた」と告白すると「半端ないですよ、60cmっていうのは」と衝撃を表し、露出魔から守ってくれたおばさんをスタッフが見つけたことに対して「名前も分からないのに…」と反応するなど、的確なツッコミを繰り出していった。

シソンヌ長谷川までがこの設定に従順な中、スタジオにいる唯一の常識人だったのがFUMA。『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ)であれば、ツッコミ芸人が務めるこの大事なポジションを見事にこなしており、キャスティングの眼識を感じるとともに、今後のバラエティでのさらなる活躍も期待したいところだ。

  • &TEAMのFUMA (C)日テレ