国土交通省北陸信越運輸局は、北陸鉄道の鉄道事業再構築実施計画について12月26日付で認定を行い、同日に申請者に対して認定書を手交したと発表した。北陸鉄道の鉄道事業再構築に加え、石川線(野町~鶴来間)への新型車両導入と増便・ダイヤ変更も計画に盛り込まれた。

  • 北陸鉄道の鉄道事業再構築実施計画を認定。「みなと上下分離方式」に

北陸信越運輸局長は、11月13日付で石川県、金沢市、白山市、野々市市、内灘町、北陸鉄道から申請のあった鉄道事業再構築実施計画について、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」第24条第2項にもとづき、12月26日付で認定を行った。

これにより、北陸鉄道は引き続き第一種鉄道事業者として鉄道の運行、鉄道用地と鉄道施設の保有、鉄道施設の維持管理を担う一方、石川県と沿線市町は鉄道施設の整備・修繕に関する費用をすべて負担し、鉄道施設等の維持管理費について一定の金額を上限に沿線市町が負担する「みなし上下分離方式」に。計画期間は2026年4月1日から2040年3月31日までの15年間としている。

地方公共団体のおもな支援内容として、石川線の車両更新に要する費用を石川県と沿線市町が負担。鉄道施設の修繕に要する費用を石川県と沿線市町が全額負担。鉄道施設やキャッシュレス対応設備の整備等に係る費用を石川県と沿線市町が負担する。あわせて鉄道事業者と連携した利便性向上策も実施。石川線に新型鉄道車両を導入(事業費39億5,000万円)するほか、軌道・停車場の改良(事業費72億2,000万円)、利便性向上のためのキャッシュレス対応強化(事業費2億6,000万円)、石川線の増便・ダイヤ変更、パーク・アンド・ライドの利用促進が挙げられている。

  • 元東急電鉄の車両がおもに活躍する北陸鉄道石川線。新型車両の導入や増便・ダイヤ変更など利便性向上を図る

新型車両は環境に配慮した車両とされ、CO2排出削減に資するとともに、乗り心地の改善と新型車両効果で利用者を増やす。軌道・停車場の改良については、レールの重軌条化と道床交換を進め、安全性の向上に加え、走行振動の抑制による乗り心地の改善と騒音の低減を図る。ホームの段差解消とスロープの設置、コミュニティスペースの設置も行うとのこと。増便・ダイヤ変更も実施し、増便による昼間時間帯の利便性向上、新型車両導入に合わせた朝夕通勤時間帯の増便に取り組む。

キャッシュレス対応強化に関して、北陸鉄道グループで利用可能な交通系ICカード「ICa」とクレジットカード等のタッチ決済が利用可能なキャッシュレス決済の導入拡大を推進。パーク・アンド・ライドの利用促進を図るため、「Kパーク」(金沢都市圏パーク・アンド・ライドシステム)や駅付近駐車場と連携を図り、北陸鉄道の利用者増加と金沢市内中心部へのマイカー流入を抑制する。