映画『PERFECT DAYS』の最終上映舞台挨拶が26日、都内で行われ、役所広司、柳井康治氏(企画・プロデュース)、高崎卓馬氏(共同脚本・プロデュース)が登壇した。
公開日から1年間以上ロングラン
ヴィム・ヴェンダース監督が、日本の公共トイレのなかに「small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)」を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いた同作。第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことを皮切りに、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第60回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待された。
日本国内では36回東京国際映画祭オープニング作品として大きな話題になり、日本アカデミー賞(優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞)、キネマ旬報ベスト・テン(日本映画監督賞、主演男優賞)を受賞。米国アカデミー賞では国際長編映画賞・日本代表としてノミネートされ、現在は約90カ国もの国と地域で上映となった。そして、公開日の昨年12月22日より1年間以上ロングランが続いた同作も本日26日に最終上映日を迎えた。
役所広司も初めての経験
主人公の平山を演じた役所は、「1年間のロングランの舞台挨拶は僕もやったことがなくて、何をお話しすればいいのか分からないのですが(笑)」と茶目っ気たっぷりに話し、「この映画の脚本ができたときに、柳井さんと高崎さんとお会いして、どんな映画になるんだろうという話をしました。柳井さんが『世界中の人が平山さんに会いに来てくれるような映画になるといいですね』とおっしゃっていて、その言葉から僕のこの映画に対する役づくりが始まったような気がしました」としみじみと回想。
さらに「今、THE TOKYO TOILETの見学ツアーができて、世界中の人がトイレを見にきて、用を足してくれているようです」と続け、「良かったです。完璧ですね、パーフェクトです」と笑顔を浮かべた。また、MCを務めた伊藤さとり氏が「私もいろんな舞台挨拶を見てきましたが、最終日の舞台挨拶は初めて。役所さんもそうなんじゃないかと?」と水を向けると、役所は「やったことないです」と目を丸くし、「1年間、上映していることも初めてです」と感慨深げに語った。
『PERFECT DAYS』出演を決めた理由
この映画は「本当に特別」だといい、「まずは映画館でかかるかどうか分からないところから始まって。短編と写真集から始まって、そこから監督の一声で長編にしようということになり、ビターズさんが配給を受け持ってくださって……大手の配給会社がつかない映画だったから、完成したときはどうなるか分からなかった。僕はそういう映画は初めてで、普通はそういう映画は危ないからやらないかなという感じなんですけど(笑)」と説明。それでも出演を決めたのは「企画の内容が素晴らしかったから、これは短編であろうと写真集であろうと参加したいと思いました」と明かしていた。