筆者の2024年のベストバイは「Ryzen 9 9950X」です。この製品を一言で表現するなら、「冷やしやすくて扱いやすい高性能CPU」。これに尽きます。
筆者はRyzen 9 7950Xからの買い替えでしたが、一世代とは言え進化に驚きました。性能の向上はもちろん、冷却性能が大幅に改善されています。以前の7950Xは、360mmラジエーターの簡易水冷がほぼ必須だと感じるレベルの発熱があり、CPU温度には常に気を配る必要がありました。
しかし9950Xでは同じ360mmラジエーターでも余裕を感じるほど。ハイエンドの空冷クーラーでも冷やしきれる可能性が見えてきて、パーツ選びの幅が広がったのは大きな魅力です。
Ryzen 9 9950XはZen 5アーキテクチャを採用しています。この世代ではxプロセス技術が改良され、より高効率な動作が可能。特にシングルスレッド性能が向上したことで、日常的な操作のキビキビ感が増しました。さらにL3キャッシュの容量が増加したことでデータアクセスの効率が向上し、多コアを活かした作業でも目に見える違いを感じられます。
省電力性能も進化しており、アイドル時の消費電力が抑えられているのは自作PCユーザーにとって嬉しいポイントです。静音性の確保がしやすくなったことで、リビングPCや省スペース構成でも活躍の場が広がりました。
実際のベンチマークで見る9950Xの性能
以下は、今回選出した「Ryzen 9 9950X」に加え、これまで使っていた前世代製品「Ryzen 9 7950X」の性能を実際に測定したベンチマーク結果の一部です。
性能順当に向上しているのはもちろん、特に驚いたのは冷却性能です。CINEBENCH R23の負荷テスト中でも、CPU温度が84.4℃に収まり、以前の7950Xよりも約10℃も低温でした。この改善により、ハイエンド空冷クーラーや小型ケースでの利用が現実的になり、冷却オプションの選択肢が大幅に広がりました。
自作PCの可能性が広がった
筆者の趣味の一つに自作PCがあります。とくにSFF(スモールフォームファクタ)と呼ばれる小型PCでマシンを組むのが好きなのですが、最近のハイエンドCPUは発熱が大きく、ケース内に収まるクーラーではとても冷やしきれなくなってきていました。しかし、Ryzen 9 9950XであればCPUクーラーの選択肢が増え、さまざまなSFFケースに高性能を詰め込むことも現実的になったと思います。
小型PCだけではなく、空冷クーラーの新製品を試してみるきっかけにもなっています。7950Xを使っていたら「どうせ冷やしきれないだろうなぁ」と思っていましたが、9950Xであればしっかり冷やせる可能性がありますからね。
毎日のPC作業が快適になっただけでなく、Ryzen 9 9950Xのおかげで自作PCの可能性が広がりました。これまで考えられなかった構成が実現可能になり、趣味としての自作PCがさらに充実したものになったと感じます。そういった意味でもRyzen 9 9950Xは2024年のベストバイです。