ADKマーケティング・ソリューションズのADK 金融カテゴリーチームは12月23日、「ADK金融総合調査2024」の結果を発表した。調査は2024年6月13日~6月15日、18~79歳の男女計5,200名を対象にインターネットで行われた。
お金に対する価値観
お金に対する価値観について聞いたところ、「多少お金がなくても幸せに生活することはできる」は60%、「お金よりも大切なものがある」は74%、「お金のことで誰かを頼りにしたくない」には80%が当てはまると回答したものの、いずれも昨年からは微減となった。
要因としては、景況悪化で生活に余裕を持てない層が増えた結果、「幸せに生活するにはお金が大切」という意識や、「お金のことで他人を頼らざるを得ないかもしれない」という懸念が広がっていることが考えられ、お金に対する価値の再実感が進んでいると言える。
「お金と将来」金融資産別
お金と将来に関する回答を金融資産別に見たところ、金融資産が多いほど、「将来に備えて貯蓄や財産を増やしたい」と考えていることが分かった。全体で2022年、2023年と比較して減少していることに関しては、将来に備える気持ちの余裕がなくなり、意識が「今」に向いている層が拡大していることが理由と考えられる。金融資産が多い層は、手持ちのお金にも気持ちにも余裕があるため、将来への備えもできるものの、大多数はそうではないのが現状のようだ。
また、「現在の保有資産で十分暮らしていける」と回答した人は、ハイエンド層(H)が69%で最も多く、ローワー層(L)26%、ローワーミドル層(LM)27%、アッパーミドル(UM)31%と比較すると2倍ほど多い結果となった。
金融リテラシー
金融商品について聞いたところ、「金融商品は難しいので敬遠してしまう」と回答したのは、昨年より3%減少し、64%となった。また、「金融商品のリテラシー(お金に関する知識・商品の使いこなし度)は高いほうだ」は昨年より2%増加し、33%となったことから、金融リテラシーは年々少しずつ増加していることが分かる。
また、今年から新たに回答項目を追加した「お金や金融に関する知識を増やしたい」に関しては67%と、約7割の人が当てはまると回答しており、全体的に知識学習意欲が高いことが分かった。
また、「お金や金融に関する知識を増やしたい」に関して、金融資産別、年代別に見たところ、学習意欲は、金融資産の多い層、また若年層ほど高い傾向となった。
これらの結果から、金融資産が3,000万円以上の層は、手元資金にも気持ちにも余裕があり、それらを活かして資産運用することで金融リテラシーが向上し、さらにお金にも気持ちにも余裕が生まれる、という好循環となる。
一方、金融資産が3,000万円未満だとお金にも気持ちにも余裕がなく、将来のことから目を逸らし、リテラシーも向上しない、という悪循環に陥る。このように金融資産によってリテラシー格差が生まれ、金融格差スパイラルとなっていることが分かった。