マイナビは12月20日、「PT・OT・ST白書2024年度版」の結果を発表した。調査は2024年4月18日~6月29日、同社が運営する人材紹介サービス「マイナビコメディカル」登録会員588名を対象にインターネットで行われた。
正職員の年収で最多は「400~424万円」
PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)として働く正職員の現在の年収は「400~424万円」が18.8%で最多となった。各年代で最多の年収をみると、20代は「300~324万円」が18.2%、30代では「400~424万円」が21.5%、40代は「500万円以上」が21.5%、50代については「500万円以上」が38.3%となった。国税庁によると正社員(正職員)の民間給与平均は530万円とされているが、PT・OT・STで500万円を超えていると答えた人はわずか12.5%だった。最も回答が多かった年収額の「400万~424万円」は民間給与平均より100万円以上低い水準である。
PT・OT・STの約8割が現在の仕事に「やりがい」
現在の職場での仕事のやりがいについて聞いたところ、「週に何度かは感じている」が最多で36.6%だった。「ほぼ毎日感じている」「週に何度かは感じている」「月に何度かは感じている」を合計すると79.2%で、約8割が仕事にやりがいを感じていることがわかった。異なる職種に同様の質問をした際、看護師では60.3%、介護職では62.4%という結果が出ており、PT・OT・STは他の医療職種に比べ、仕事にやりがいを感じている人が多いことがわかった。
また、どのようなときにやりがいを感じるかを聞くと、「患者・入居者・利用者に感謝されたとき」が69.0%、「患者の身体機能の維持・向上ができたとき」が55.3%となっており、リハビリの提供で対象者に貢献ができたと実感することが、PT・OT・STの仕事のやりがいにつながっていると考えられる。
6割が今後PT・OT・ST以外への転身も検討
今後もPT・OT・STを続けていきたいと思うかを聞くと、約3人に1人は「PT・OT・STとして長く働き続けたい」と考えているものの、「PT・OT・STに限らず、関心のある仕事をしてみたい」が51.0%と最多で、「PT・OT・ST以外の仕事をしてみたい(9.0%)」と合計すると、全体の6割が今後の職業選択の際にPT・OT・ST以外の職種への転身も検討していることがわかった。
また、PT・OT・STを長く続けるために必要なことは「給与など待遇面の充実」が80.4%で最多だった。次いで「良好な人間関係」72.6%、「休暇の取りやすさ」54.0%などが挙げられており、給与など待遇面の充実に加え、心身共に健康で仕事に集中できる労働条件や職場環境が前提となっている。
7割超が、賃金の支払われない労働時間があると回答
現在の1カ月間の時間外労働(残業)時間について聞いたところ、81.0%が時間外労働があると回答した。そのうち賃金の支払われない労働が月平均で何時間あるかを聞いたところ、全て支払われている人は26.1%にとどまり、73.9%の職場で賃金の支払われない労働時間があることがわかった。賃金の支払われない労働時間は「5時間未満」が33.2%と最も多く、次いで「5~10時間未満」18.7%となっている。多くの職場でサービス残業や早出などが常態化している状況がうかがえる。