22日に2時間スペシャルで最終回が放送されるTBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(毎週日曜21:00~)。第6話で互いの気持ちを確かめ合い、視聴者を温かい気持ちにしてくれた鉄平(神木隆之介)&朝子(杉咲花)、賢将(清水尋也)&百合子(土屋太鳳)にも不穏な空気が流れ始めるなど、とにかく先が読めない本作。1950~60年代という一昔前の若者を情緒たっぷりに演じた俳優たちの演技や今後の展開について、新井順子プロデューサーに話を聞いた。
神木隆之介&杉咲花、清水尋也&土屋太鳳の名シーンの裏側
これまでの反響について新井氏は「第6話の最後、鉄平と朝子のシーンの評判がものすごく良かった」と、海沿いで鉄平が朝子に自分の思いを告げるシーンを挙げ、「あの告白シーンは神木さんが、望遠で撮って、長回しでドキュメンタリーみたいにやりたいと提案してくださったんです。まさに神木演出ですね」と明かす。
オンエアでは短くなっているが「実は5分ぐらいずっと回していたんです」とワンカットの長回しで撮っていたというと「朝子が告白されて、まずカメラに背を向けるんですよね。そこも特に演出は入っていないので、杉咲さんが感じたままを表現して、多分涙がポロっと出てきたのだと思います。以前もそういうことがあって、杉咲さんが『すみません、泣いてしまいました。もう1回やった方がいいですよね』と監督に言っていたのですが、監督が『そのままでいいから』ということもありました」と裏話を披露。
また監督からカメラマンに「素人が撮ったような絵にしたい」という要望があったそうで、「あとは、いつ神木さんが朝子に『好きだ』というのは、本当にわからない状況のなか撮影が進んでいて、ずっと一連で撮っていました。放送上は短くなっていますが、いろいろなためらいなどが生々しく映っていたんです。神木さんも恋愛リアリティショーみたいな感じがいいと話していました」とリアルさを突き詰めた撮影だったという。
鉄平と朝子と同じく、視聴者から反響があった賢将の百合子へのプロポーズ。新井氏は「監督のなかに日常のなかでプロポーズしたいという狙いがあったんです」と明かし、「ドライでは向き合って普通に話をしていたのですが、本番では賢将が抱きしめようとすると、百合子が『やめてよ』みたいな押し問答のなかプロポーズする……みたいな流れにしたんですよね。そのあとに鉄平と朝子のシーンもあったので、2つのカップルの対比みたいなものを描こうという意図がありました」と説明した。
杉咲花&土屋太鳳の変化を実感「より深みが増した」「感情表現が豊かに」
どちらも俳優たちのリアルな演技が視聴者の琴線に触れた。新井氏は「土屋さんと初めて会った作品が『リミット』(2013年)だったのですが、まだ当時は学生でした。いまもいい意味でキャッキャしている部分はあるのですが、すごく感情が豊かなになったという印象があります」と変化を述べ、「百合子というとても難しい役にハマっていたなと。監督も言っていましたが、これまで観たことなかった表情が撮れていると。お母さになったということもあるのかもしれませんが、いろいろな人生経験をして、母になって子育てして、お仕事両立して、いろいろな苦労をしているなかで、人生の渋みというか経験がすごく表情に出ていると思いました」と評価する。
一方、杉咲については「花ちゃんは『夜行観覧車』(2013年)というドラマのオーディションに来ていたのですが、当時中学生だったんです。いまもまだ27歳なので、十分若いのですが、本当に成熟されたような。当時からニュアンスが出るお芝居をされていましたが、より深みが増して、お芝居をしていないお芝居がすごい」と絶賛する。
杉咲が演じた朝子は、現代で名優・宮本信子が務める。新井氏は「花ちゃんが先に収録が始まっていたので、スタッフが現場で撮った花ちゃんのお芝居を宮本さんは見て役作りを行っていたようです。杉咲さんは宮本さんの演技をどこまで意識しているのかは聞いてみたいです」と、杉咲の芝居の組み立てに興味を示していた。
現代の玲央、過去の鉄平の二役を演じた神木は、新井プロデューサー、塚原あゆ子監督、野木亜紀子脚本初参戦。新井氏は、第6話の告白シーンでの神木の提案の話に触れつつ、第8話で玲央が、未来に向けて踏み出すシーンについて「殻を破ったとき表情が変わったんです。さらに9話、10話とどう玲央が変わっていくのか、注目してほしいです」と語った。
最終回はいろいろな謎が「全部明らかに」 作品に込めた思いも語る
いよいよ残すところ2時間スペシャルの最終回のみ。新井氏は「これまでいろいろ謎だったことが、全部明らかになっていきます」と期待を煽る。
また新井氏は、全体を通して「時代は繋がっていて、自分の道の先にも未来がある。このドラマを観たことで、その人の先の未来が変わっていくのか、いかないのか。そんなことに気をとめてもらえればいいのかな」と作品に込めた思いを伝え、「過去派、現代派といろいろな観方をされている方がいると思いますが、注目するキャラクターがたくさん出てきます。本当に人生地続きなんだなと感じられると思います。最終回を観たあと、もう一度最初から観ていただくと、よりいろいろなメッセージが伝わると思います」と重層的な作品であることを強調していた。
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