ドジャース、佐々木朗希の獲得が”最適解”…?チーム戦略から見る大きなメリ…


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 千葉ロッテマリーンズからのポスティング申請が完了し、メジャーリーグ球団との交渉が解禁された佐々木朗希。ロサンゼルス・ドジャースも獲得に動いているとされるが、仮に佐々木がドジャースへの入団を決めた場合、チームにどのような影響があるか。今回は佐々木朗希がドジャースにフィットすると考えられる理由を分析した。(文:Eli)

 

今シーズンのメジャーリーグは
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ドジャースの投手戦略を分析
 ドジャースは11月下旬、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAとなっていたブレイク・スネルと5年1億8200万ドル(約279億5000万円)の契約で合意。2024年シーズンに先発投手陣に故障者が相次いだドジャースが、稼働率の低いスネルを獲得したことに疑問を持った人も多いだろう。
 
 また、ドジャースが佐々木朗希を獲得する姿勢を見せていることに対して、「ドジャースは先発陣に故障が多い。なぜまた故障リスクのある佐々木を獲得するのか。」と言う声も出ている。
 
 しかし、球界最高の頭脳アンドリュー・フリードマン氏率いるドジャースフロントが出した結論はそれでもブレイク・スネル、佐々木朗希(獲得参戦予定)、1年戻ればタイラー・グラスノーなのだ。彼らがその結論に至った理由は何だろうか。
 

 
メジャーリーグ先発投手の特徴
 次の散布図は横軸に球威(=制圧力)を示すStuff+、縦軸に1年間に投げたイニング数を設定し、縦線がStuff+=100(平均)、横線がイニング数=162(規定投球回)である。データは2021-2024シーズンのものとした。Stuff+は球速によって上昇するため、体への負担が大きくなることを留意しておきたい。

 エースはStuffが優秀(=球威・支配力)であり、加えてイニング数も規定投球回以上を投げる。サイヤング賞を獲得することが多いのがこのエリアに当てはまる投手だ。球威と耐久性を両立できた素晴らしい投手の集まりと言える。
 
 ”ガラスのエース”は球威が高く支配力がある代わりに故障が多い。耐久を削ってでも球威で打者を制圧していくタイプの投手だ。
 
 “イニングイーター”は、とにかくイニング数は多いが支配力に乏しいため、年間を通しての成績が微妙なところで終わりやすい。
 
 最後に、”デプスピッチャー”は支配力もイニング数も低めで、先発ローテーションの5番目程度に入ることが想定される投手だ。








ドジャースが必要とする投手とは

 さて、ドジャースがプレーオフを勝ち上がっていく上で必要なのはどのカテゴリーに入る投手だろうか。
 
 もちろん、ゲリット・コールやコービン・バーンズのように200回以上を防御率2点台前半でまとめてくれるような大エースがベストであるが、そのような投手がFA/トレード市場に出ることは珍しく、さらに調達コストが割高となってしまう。
 
 一方で、イニングイーターやデプスピッチャーを獲得しても、プレーオフで対戦する強力打線につぶされてしまうだけである。
 

 
 ゆえに、ドジャースが狙うべきは”ガラスのエース”カテゴリーに入る投手と言うことになる。よってコストを適正価格程度に抑えた上で、怪我のリスクを許容する。
 
 そのうえで、シーズン120イニング程度+プレーオフでの無双に期待するということだ。コストを抑えることで人数も確保できる。
 
 ドジャースには”ガラスのエース”を多く保有するだけの能力がある。それは投手陣の圧倒的なデプスである。ブレイク・スネル加入後のドジャースはMLB40人枠に10人の先発投手が在籍している。
 
 昨季のように開幕先発ローテの5人全員が故障者リストに入ることがあっても、2024年に69回を投げたランドン・ナック、2023年に124.1回を投げたボビー・ミラーなどがおり、ある程度の質は担保できる。






佐々木朗希がドジャースにベストフィットする理由

 密約疑惑や佐々木自身の意思、MLB選手との交友関係など証明不能なことは横に置いて、野球の面から佐々木のフィットする球団を考えるとドジャースがベストフィットだということが分かる。
 
理由1: ドジャースの先進的な投手育成能力
 ドジャースの投手育成能力はMLBでもトップレベルだ。過去5年においてもタイラー・アンダーソン、アンドリュー・ヒーニーなどの低迷していたベテランや、ボビー・ミラー、ギャビン・ストーンなどの評価が低かった若手を育成した実績がある。
 
 佐々木が「世界一の選手」になりたいならばドジャースがその思いをかなえる可能性は高い。
 

 
理由2: ドジャースの選手層の厚さ
 佐々木朗希の耐久性の問題は、ロッテ在籍時から度々指摘されている通りである。ここまでのキャリアにおいて、最大イニング数が129.1回であることからも明らかだ。
 
 メジャー初年度から先発ローテフル稼働では、いつか壊れてしまう可能性が高い。それは佐々木もMLB球団も承知の事実だ。
 
 大谷翔平のロサンゼルス・エンゼルス時代末期において、エンゼルスのプレーオフ出場のために大谷がオーバーワークになってしまった可能性も指摘されている。
 
 一方で、即戦力としての先発投手をあまり必要としていないドジャースではじっくりと育成に取り組むことができる。
 
 MLBのルール上、マイナー契約しか結べないことを最大限に生かして、身体づくりや球種の追加などを競争激しいメジャーレベルではなく、マイナーレベルで時間をかけて行うことで、佐々木のキャリアを長くすることにもつながるだろう。
 
理由3: ドジャースの将来性
 これは特に獲得時最大のライバルとされるサンティエゴ・パドレスを念頭に置くが、パドレスは故ピーター・サイドラー氏時代に結んだ長期契約が将来的に重荷となる可能性が高い。
 
 既に、来季33歳となるマニー・マチャド、ザンダー・ボガーツは衰退期に入っていると見られ、この2人の契約は10年残っている。
 
 また、今季のパドレスを支えたルイス・アラエズ、ディラン・シース、マイケル・キングが来季終了後にFAとなる。
 
 若手はジャクソン・メリル、フェルナンド・タティスがいるものの、米サイト『mlb.com』プロスペクトランキングTOP100には2人しかいない。さらに今オフ既に予算の削減に取り組んでいるようだ。
 
 ドジャースもムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、大谷翔平の高齢化という大きな問題を抱えてはいるものの、プロスペクトTOP100には5人、加えてフアン・ソト獲得戦線に参加するなど更なる補強姿勢を見せている。
 
 上記を踏まえ、佐々木朗希が長期的な視点でワールドシリーズ優勝を目指すのであればこちらの方が可能性は高いと見られる。




 


 
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【了】