独立を検討している方で、フランチャイズでの起業に興味のある方もいるでしょう。フランチャイズを展開している企業は多数あり、オーナーを積極的に募集しています。この記事ではフランチャイズの仕組み、利用するメリット・デメリット、フランチャイズに向いている人を解説します。将来の独立に向けての参考としてください。

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フランチャイズの基礎知識

「フランチャイズ」はよく聞く言葉ですが、どういう意味かわからない方も多いでしょう。まず、フランチャイズの基礎知識として、仕組み・ロイヤリティ・違約金を解説します。

フランチャイズの仕組み

フランチャイズとは、加盟店に対して本部が持つノウハウ・商標などを与えるかわりに、対価としてロイヤリティを加盟店から本部に支払うビジネス形態です。事業経験がなくても、比較的容易に開業できるメリットがあります。

フランチャイズチェーンで有名なのが、コンビニエンスストアです。店舗の外にはセブンイレブンやローソンなどの看板やのぼりが設置され、店内には各チェーンが開発した商品が並びます。コンビニエンスストアのオーナーは、各チェーンが用意したリソースを利用して商売をする代わりに、ロイヤリティを本部に支払う仕組みです。

この他にも、ラーメン店、居酒屋、靴屋、クリーニング店など、さまざまな業種でフランチャイズチェーンがあります。

ロイヤリティ

ロイヤリティとは権利の使用料で、商標権や特許権などに関する料金です。知名度の高いブランドとフランチャイズ契約を結ぶことで、信頼性や集客力が高まるため、その対価としての意味合いもあります。

ロイヤリティの方式は複数ありますが、もっとも一般的なのは「売上歩合方式」で、加盟店の売上の一定割合をロイヤリティとして支払う仕組みです。割合はさまざまで、数%程度のケースから50%のケースもあります。

違約金

フランチャイズ契約を期間の途中で解約した場合には、違約金の支払が必要です。契約期間は2年・3年・5年といった複数年のケースが多く見られ、この期間内での解約で違約金が発生します。

フランチャイズ契約を検討する際、ロイヤリティに加えて違約金の算出方法についても確認しておきましょう。

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズ契約を結んで開業することには、主に以下3つのメリットがあります。

未経験でも開業できる

未経験の業種・職種でも起業が可能なのは、フランチャイズの大きなメリットです。業界や経営に関するノウハウは本部から提供してもらえます。店舗で雇用する人材も、本部が育成サポートしてくれることもあります。

興味はあるけれど、経験や知識がないことを理由にあきらめようとする方もいるでしょう。しかし、フランチャイズを利用すれば、未経験でも開業できます。

信頼感を得られる

フランチャイズのブランドはすでに社会的な信頼性や知名度を獲得しているケースが多く、顧客から信頼を得やすいのもメリットです。コンビニエンスストアのフランチャイズ店舗で、開業日に行列ができることがあるのも、信頼性が高いためと考えられます。

ゼロからの起業の場合、知名度を上げるため宣伝などに時間や労力・コストがかかります。一方でフランチャイズでは、同じ品質で商品やサービスを展開できるようにさまざまなマニュアルが用意され、ビジネスを有利に進めることが可能です。

仕入れがしやすい

フランチャイズの店舗で販売する商品・サービスは、本部が仕入れるか工場で生産・開発を行っています。フランチャイズ契約をすると、質の高い商品・サービスを継続的に仕入れることができます。

最初から仕入れ先に困らない、ある程度確約された品質があることは、これから開業するオーナーにとっては心強いでしょう。

フランチャイズのデメリット

起業するうえでフランチャイズにはメリットが多いですが、以下のデメリットもあることは把握しておきましょう。

自由度は低い

フランチャイズでビジネスを行う場合、商品やサービスなどは本部指定のものを使用します。メリットも多い一方、独自性を出すことは難しく、自由度は低いと感じるかもしれません。

よいアイデアを思いついたとしても、本部の方針とかけ離れたことを実行してしまうと、規則違反とみなされます。

契約中の事業の撤退は難しい

契約期間中に解約する場合、違約金の支払いが発生するケースがほとんどです。違約金が高額なため、解約したくてもできないという事態に陥る恐れもあります。

契約において中途解約の定めがない場合、期間中の解約自体ができないことにも注意が必要です。

競業避止義務を守る必要がある

競業避止義務とは、同業種での営業を禁止することです。本部はノウハウや知識の流出を防ぐために、契約に競業避止義務を盛り込みます。

契約満了後も、自分の好きなようにビジネスができない可能性があります。

フランチャイズに向いている人

フランチャイズでの起業に向いているのは、以下のような方です。

自己責任の意識が強く他人任せにしない人

フランチャイズ向けの人とは、まず事業の結果は自分自身の責任であることを理解している人です。加盟するだけで儲かる、本社に儲けさせてもらえるという甘い考えでは失敗します。

本部に優れたノウハウがあったとしても、成功するかは加盟店の経営者次第です。本部からアドバイスを受けられる機会は月1回程度のケースが多く、ほとんどの経営判断は経営者自身で行分ければなりません。

他人任せにせず、自分が率先して動ける方は、フランチャイズで成功する確率が高まります。

向上心やチャレンジ精神のある人

フランチャイズに限った話ではありませんが、ビジネスは絶えず商品・サービス内容を改善していく必要があります。向上心やチャレンジ精神がないと、ビジネスは途中で停滞する可能性が高いでしょう。

現状維持でいいと考えると、衰退を招きます。なぜなら改善を続けていくライバル他社から、どんどん差を付けられていくからです。

データなどの分析能力がある人

経営を行ううえで、データは非常に重要です。経験や感覚だけに頼った経営を続けていくと、客観的な視点が得られず、顧客からの支持を失う可能性があります。

店舗を構えてビジネスをするなら、来客数・平均客単価・リピート率などの基本的なデータは常に観察し、改善していかなければなりません。データを分析したうえで、改善するための施策を実行していきます。

フランチャイズで成功するには、データを分析し、現状を客観的に理解したうえで対策を打っていく必要があります。

家族や従業員の協力を得られる人

フランチャイズでは店舗を運営するケースが多いため、従業員の協力が必要不可欠です。家族に勤務をお願いするケースもあるでしょう。

フランチャイズを成功に導くには従業員の要素も大きいため、協力を得られる方のほうが有利です。家族や従業員に対して、謙虚・丁寧に接する方は、協力してもらいやすいでしょう。

フランチャイズでこれから伸びる・狙い目の業種

ここからは、フランチャイズで今後需要が高まる可能性のある業種を解説します。

買取・リサイクルショップ

中古品を売買する習慣は、日本にも根付きました。フリマアプリやオークションサイトなどでの取引も活発に行われています。

今後も中古品やリサイクル品を売買する需要は高くなると予想されますが、そこで重要になってくるのが買取業の専門ショップです。専門ショップに鑑定を依頼し、きちんとした価格で売却したいと考える人は多いでしょう。また、バッグなどのブランド品を中古で買う際、専門ショップなら偽物をつかまされる心配がないため安心です。

一例として、大手買取ショップの「買取大吉」は、フランチャイズによる事業拡大を積極的に進めています。買取業を初めて経験する方でも店舗運営ができるよう、サポート体制も整えています。

年間の店舗継続率が96.4%と、かなり高い数字であることからも、同社の強みが伺えます。

ハウスクリーニング

ハウスクリーニングも需要が伸びている業界の1つです。キッチンの油汚れ、お風呂の水垢・カビなど、普段の掃除では落とせないような清掃を行います。

ハウスクリーニングの需要が増えた要因の1つは、新型コロナです。感染症対策のため、自宅の衛生を保ちたいと考える人が増加しました。さらに、自宅で過ごす時間が増えたことにより、より自宅を清潔にしたいと考えるようになったことも要因です。

ハウスクリーニングのフランチャイズでは、エアコンの清掃など特定の作業に特化した事業も人気です。

高齢者向けサービス

高齢化がさらに進行する現代の日本において、高齢者向けサービスの需要はますます増加するでしょう。まず、食事を用意するのが難しくなる高齢者に食事を届ける、配食サービスがあります。シニア向けの食事では、カロリーや塩分を減らした療養食、やわらかく飲み込みやすい嚥下食の需要も高いです。

また、日常生活をサポートするサービスも求められています。電球交換、草むしりなど、日常の困りごとを頼める便利屋さんのような事業を行う企業もあります。現在の介護サービスでは依頼できない分野に対応しているのが特徴です。

フランチャイズは未経験でも起業できる

フランチャイズの仕組み、メリット・デメリットなどについて解説しました。未経験でも開業可能で、本部からサポートを受けられるのが大きな魅力です。

フランチャイズで起業するなら、本部から提供される経営ノウハウや業界知識などを最大限活用して、成功を目指しましょう。契約を結ぶ前に、ロイヤリティ・契約期間・違約金などの確認も大切です。