今年も年の瀬が近くなり、大掃除の季節を迎えました。リビングや寝室など生活空間の掃除を進めている人もいるなかで、押入れを覗いてみると古くなったデスクトップPCがまだ残っていて処分に困っている……という人も多いのではないでしょうか。
筆者の実家も、そうした悩みを持つ家庭の1つ。設置しているPCを大きなタワー型からコンパクトなミニPCに買い替えて以来、それまで使っていた買い替え前のPCを処分できずに数カ月経過してしまいました。
年末の大掃除というタイミングで重い腰を上げてようやく処分することにしたので、今回の記事ではデスクトップPCを中心としたPCやPC周辺機器の処分方法についてまとめていきます。
古くなったPCはゴミとして捨てられない
古くなってしまったPC・PC周辺機器を処分するにあたって真っ先に思い浮かぶのが「PCは一般ゴミ(燃えるゴミ、燃えないゴミ、粗大ゴミ)として捨てられるのだろうか」という疑問でしょう。
電子レンジなどの小型家電を一般ゴミで出せる自治体もあることから、一見するとPCも同じように捨てられると思われるかもしれませんが、PC本体は一般ゴミとしてゴミの日に捨てることはできません。
というのも、デスクトップPCをはじめとしたPC周辺機器は「パソコンリサイクル法」の対象になっているからです。2003年にパソコンリサイクル法が改正されたことで、製造メーカー等による回収・リサイクルが義務付けられています。
こうして回収したPCなどは新たに素材としてリサイクルされ、鉄・ステンレス・プラスチックなどの再資源素材に使われるのだそう。
現在回収対象となるPCとPC周辺機器の種類は以下の通りで、キーボードやマウスなどの小さな周辺機器、ゲーミングモニターとしても注目を集めつつある有機ELディスプレイは対象外となっています。
- デスクトップPC本体
- ノートPC
- ブラウン管ディスプレイ(ブラウン管ディスプレイ一体型PCも含む)
- 液晶ディスプレイ(液晶ディスプレイ一体型PCも含む)
捨てられないなら回収してもらおう! でもどうやって?
一般ゴミに出せない理由を確認したところで、次は「PCや周辺機器はどうすれば回収してもらえるのか?」という点について解決していきましょう。
結論から言うと、メーカーやパソコン3R推進協会(以下、PC3R)に依頼すればOKなのですが、回収してほしい機器に「PCリサイクルマーク」があるかないかで、回収時にかかる費用に違いが出てきます。
PCリサイクルマークとは、2003年のパソコンリサイクル法の施行にともなってPC・PC周辺機器に付けられるようになったマークのこと。2003年10月以降に発売されたPC・PC周辺機器にはPCリサイクルマークのステッカーが貼り付けられているため、まずは回収してもらう予定のアイテムを確認してみましょう。
※一部製品によってはPCリサイクルマークが同梱、あるいは刻印されていることもあります。
廃棄しようと思っている機器にPCリサイクルマークがある場合は、基本的に機器を購入したメーカーを経由することで無料で回収してもらうことが可能です。
各メーカーのWebサイトにはPCリサイクルに関するページが用意されていることがほとんどなので、そのページを経由して機器の回収を依頼しましょう。なお、メーカーによっては直接PC3Rへ回収を依頼する必要があるので、回収を依頼する前に一度メーカーのWebサイトを確認しておきましょう。
PCリサイクルマークがないときはどうすればよい?
PCリサイクルマークがない場合や、同梱されているシールを紛失してしまった場合などは、メーカー・PC3Rに依頼するところまでは同じですが、回収に費用が掛かってしまう点に違いがあります。
品目によって回収費用が異なっていて、現在は以下のような費用体系になっています。
- デスクトップPC本体: 4,400円
- ノートPC 4,400円
- ブラウン管ディスプレイ(ブラウン管ディスプレイ一体型PCも含む): 5,500円
- 液晶ディスプレイ(液晶ディスプレイ一体型PCも含む)4,400円
費用の支払いを済ませないと引き取り用の伝票が送付されてこないため、PCリサイクルマークがない場合は必ず料金の支払いが必要です。
なお、メーカーによっては2003年10月以降に発売されたPC・PC周辺機器であれば、PCリサイクルマークの有無にかかわらず無料で回収してもらえる場合もあります。回収を依頼しようと考えている場合は、事前にPC3RのWebサイトを確認しておくといいでしょう。
また、2013年に施行された小型家電リサイクル法では、PCも「小型家電」に分類されました。このため、一部の自治体や家電量販店ではPCを回収してもらうことも可能です。
筆者の住む埼玉県さいたま市の場合は、市内の対象施設に「小型家電回収ボックス」が設置されています。ボックスの投入口(30×15cm)に入れられる大きさであれば、PCリサイクルマークの有無にかかわらず無料で回収してもらうことができます。
もちろん、自治体によって「小型家電回収ボックス」に入れられる小型家電のジャンルは異なるため、まずはお住まいの自治体に問い合わせてみるのも良いでしょう。
さらに、家電量販店等ではおおむね「3辺合計160cm・30kg以内」という箱の規定内であれば、定額・品数無制限で回収してもらえるサービスも提供されています。なんらかの事情でPCリサイクル法に基づくPCの回収が難しい場合は、こうしたサービスを使うのも選択肢に入るでしょう。
自作PCを使用している人は要注意
自作PCを使用している場合、パーツを購入した時点では「パソコン」とはみなされないため、各パーツにはPCリサイクルマークは同梱されていません。さらにパーツを組み上げてPCにするという都合、回収すべき義務を負うメーカーも存在しません。
そのため、どんな場合であっても基本的には有償でPC3R(パソコン3R推進協会)に回収してもらう必要があります。
しかし、中のパーツを取り外した状態であれば、外側のPCケースを燃えないゴミもしくは粗大ゴミとして出すことが可能です。PCケースを含めた各パーツの処分方法はお住まいの自治体によって異なりますが、自作PCを使用している方は処分方法もしっかり確認しておきましょう。
実際の手順をもとにPCをリサイクルに出してみよう
ここまでPC・PC周辺機器の処分方法にまつわる現状をまとめてきました。処分方法としては大きくわけて、
- PCリサイクル法に基づくメーカー・PC3Rによる回収
- 小型家電リサイクル法に基づく自治体・家電量販店・認定事業者による回収
- 内部パーツを取り出し、PCケースのみを普通ゴミとして廃棄(自作PCの場合)
の3つがあり、3番目を除きマークの有無やサイズなどの条件によって無償か有償かが異なります。
筆者の場合、自治体の小型家電回収ボックスに入らない大きさのデスクトップPCであったこと、PCにPCリサイクルマークがあったことから、PCリサイクル法に基づくメーカーの無償回収が最も手軽でコストがかからない方法であるとわかりました。
ここからは実際にPCをPCリサイクルに出す手順について、筆者の実家にあったデスクトップPCを例に出しながら確認していきましょう。
今回PCリサイクルに出すのは、2010年にDellから発売されたタワー型デスクトップPC「XPS 8500」。2003年10月以降に発売されたPCなので、PCにはPCリサイクルマークが貼り付けられています。したがって、先ほど触れたようにメーカーに無償回収してもらうことが最も手軽です。
メーカーに回収してもらうには手続きをして伝票を送付してもらう必要があるため、まずは各メーカーが用意しているページから手続きをしていきます。ここからはDellのPCリサイクルページをベースとして解説していきますが、基本的に各メーカーともに流れはだいたい共通しているはずです。
まずPCリサイクルの申込みページを開き、申込者や配送伝票の送付先情報を記入します。
次に、PCリサイクルに出したいPCの型番やシリーズを選択し、PCリサイクルマークの有無にチェックを入れます。先ほどから何度か触れているように、PCリサイクルマークがない場合は有償での回収になってしまうので注意しましょう。
内容を確認し、問題なければ「確定」をクリック。これで、指定した住所宛にPCの配送伝票が届きます。
実際のPCの引取日時に関しては、伝票が届いたタイミングで運送業者へ連絡をすることになります。日時は自由に設定できるので、日頃家を空けがちな方でも安心です。
PCの引き取りに関して注意しておきたいのが、リサイクルに出すPCを梱包するための資材は自分で用意する必要がある点です。
購入から日が浅いPCや比較的コンパクトな周辺機器であれば梱包には困らない、あるいは購入時の箱が手元に残っているかもしれませんが、大半の人はすでに処分してしまっているでしょう。
梱包は段ボール以外に厚手のビニール袋を2枚重ねたものが認められていて、3辺合計170cm・30kg以内であればOKと、リサイクルに出すことが前提のためか比較的ゆるく設定されています。
前もって運送業者などから梱包資材を購入するなどして用意しておきましょう。
梱包や伝票の貼り付けを済ませれば、引き取ってもらうための準備は終了。引き取りに来た運送業者へ受け渡してPCリサイクルの一連の流れは完了です。
捨てにくいPCを処分してすっきり年越し
今回は、押し入れや部屋の一角に残されてしまいがちな古くなったデスクトップPCなどPC周辺機器のリサイクル方法について、具体的な実例を交えながら紹介してきました。
処分しないとかなりスペースを取ってしまうPCですが、スペースを取るだけに「処分に手間がかかるもの」と思い込んでしまい、かえって腰が重くなってしまっていた方も多いのではないでしょうか。
しかしフタを開けてみれば、よほど古いPCやPC周辺機器でない限りは無料で引き取ってもらえますし、申込み方法もWebサイトから必要事項を書き込むだけと簡単。想像していたよりもずっと簡単に処分できると感じてもらえたはずです。
これからの時期は大掃除も活発化し、思いもよらなかった古いPCなども出てくることかと思いますので、ぜひ積極的にPCリサイクルを活用して処分を進めていきましょう。