このところ話題の日産自動車が次に手を組んだ相手は、なんとセレクトショップの「ビームス」(BEAMS)だった。両社がコラボし、日産の6車種に「ビームスエディション」(BEAMS EDITION)なる特別仕様車を設定するという。ファッションとクルマの融合はうまくいくのか。実物を見てきた。
日産とビームスが組んだ理由
日産は2024年1月の「東京オートサロン2024」で「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」というコンセプトモデルを発表していた。ビームスがカスタムした軽自動車のルークスは来場者から好評で、市販化を望む多くの声が届いたそうだ。今回のビームスエディションは、この取り組みが市販化に結びついたもの。特別仕様車は「サクラ」「デイズ」「ルークス」「ノート」「セレナ」「エクストレイル」の6車種に設定した。
「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」は、日産が創業以来掲げる「他のやらぬことを、やる」という精神とビームスの「Happy Life Solution Communities」という価値観が共鳴したことから誕生したそうだが、そもそも日産は、なぜビームスと組む必要があったのだろうか。これには自動車市場の動向が大きく関係している。
ドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」が会員を対象に実施したアンケートの結果を見ると、「クルマを購入する際に重視したこと」の1位は「価格」、2位は「車型」で、3位には「デザイン・色」がランクインしている。つまり、「車種」や「性能」よりも「デザイン・色」を重視する人が多いというのが、現在のクルマ選びのトレンドなのだ。
こうした傾向は当然、自動車メーカーも把握している。例えばテスラがインフルエンサーと協業してライフスタイルを意識したプロモーションを展開したり、BMWがアーティストとコラボした特別仕様車を発表したりしているのも、こうした傾向を意識しての動きだろう。
ファッションやアートとクルマづくりの融合に注目が集まるなか、日産が手を組んだのがビームスだ。ファッションに限らず、幅広い分野でコラボレーションを展開してブランドの独自性を強化しているビームスは、クルマづくりのパートナーして最適だったのだろう。
販売価格はベースグレードや駆動方式によって異なる。「ルークス」は203.72万円、「サクラ」は286.77万円、「デイズ」は174.68万円、「ノート」は256.19万円、「エクストレイル」は410.3万円、「セレナ」は344.19万円からだ。「セレナ e-POWER」は400.84万円となる。購入する場合は特設サイトでの事前申し込みが必要だ。
コンセプトモデルとの違いは?
市販モデルの製作に向けては、「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」をリスペクトし、いかにデザイン性を残すかを意識したそうだが、そんな中で大きく変えたのが車体色だ。「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT」はデニムの裏生地をイメージした1色展開だったが、今回は購入者の好みに寄り添えるよう、デザインと調和するカラーをモデルごとに設定している。
「サクラ」を除く5車種のステアリング下部には「BEAMS」のロゴを装着。ホイールに施したオレンジのアクセントは、走行中に外れないよう、コンセプトモデルよりもスペックの高いステッカーを採用している。
なお、ビームスエディションは12月27日(金)までNISSAN CROSSINGで、1月7日(火)から2月2日(日)までは日産グローバル本社ギャラリーで展示される。