Number_i「怒涛の1年」を総括 世界でぶちかました3人の快進撃を振り返る

2024年1月1日午前0時、デジタルシングル「GOAT」で世界同時配信デビューしたNumber_i。快進撃は始まった。

「GOAT」を手がけたのはODD Foot Works のラッパー・Pecori、FIVE NEW OLDのベース・SHUN、DATSのボーカル&シンセサイザーのMONJOEという制作チームだ。スタート地点に立ちながら、今現在この楽曲が”GOAT”(最高到達点)であると宣言する曲である。ハイパーポップのようなサウンドが飛び交うイントロ。インダストリアルやトラップの質感を宿しながら、怒涛のように疾走する超攻撃的な全編ラップ曲だ。ぐっとテンポが落ち、岸優太が「Now This Is My Masterpiece」と歌舞くように口にすれば、平野紫耀が「Im the New GOAT 時代を背負う」と凄みを効かせ、神宮寺勇太が「間違いじゃないこれが俺の Answer」とど真ん中に突き刺す。三者三様の個性が溢れたスキルフルなラップで時代を背負った上で、「何回だって立ち上がって こんがらがって 君の前で Love のメッセ これ聞いてんなら伝わってんだろ」や「ステージから見る黒髪 君の道照らす灯り すべて込めて愛に変える」といったファンへのメッセージも宿っている。

椎名林檎や米津玄師、藤井 風などのミュージックビデオを手がける児玉裕一が監督した「GOAT」のミュージックビデオ」は3日間でYouTubeの再生回数が1000万回を突破。日本の男性アーティストのデビューシングルとしては史上最速。デイリーミュージックビデオランキングでグローバル1位となり、「#GOAT_10Mviews」がXの世界トレンド1位になった。

その約2カ月後、結成後初となるテレビ出演として『Venue101 拡大版』に生出演。「GOAT」をパフォームした。さらに3月、所属事務所TOBEのアーティストが勢ぞろいしたライブ「to HEROes 〜TOBE 1st Super Live〜」で初ライブ。「GOAT」に加えて、シングル「GOAT」に収められた「FUJI」「Blow Your Cover」「Rain or Shine」「Is it me?」「Midnight City」を惜しげもなく披露し、Number_iの豊かな表現力を見せつけた。自ら作詞した能登半島地震の被災地支援プロジェクトチャリティソングの「Be on Your side」の披露もあり、平野は「たくさんの人に届き、多くの人が夢や笑顔にあふれた日々を送れるように願っています」と語った。

コーチェラでの有言実行、『No.O -ring-』で見せた幅広さ

結成当初からグローバルな市場を意識していたNumber_i。海外のオーディエンスに直接実力を見せつける機会は結成から約3カ月後にやってきた。4月14日、世界最大級の音楽フェスティバル「Coachella Valley Music and Arts Festival 2024に初出演。MOJAVEステージで行われたアメリカを拠点にアジアの優れた才能を世界に向けて発信する音楽レーベル・88rising主催の「88rising Futures」ステージに新しい学校のリーダーズ、Awich、YOASOBIと共に登場した。

平野がドスの効いた声で「Hey! Whats up Coachella! We are Number_i. Hope like this song!」とシャウトし、海外初ステージをスタート。1曲目は「FUJI」。平野は「半端じゃない数を連れてけるように 足腰鍛え上げて今会いに行く」というラインを、自らの足腰を指差しながら「今会いに来たぜ」に変えてラップし、有言実行ぶりを見せつけた。神宮寺の英語の曲紹介から鮮烈のデビュー曲「GOAT」を披露。終盤にはGOT7のメンバーであり、ソロアーティストとしても活躍するジャクソン・ワンが登場し、巧みなアレンジを加えながら歌唱&ラップ&ダンス。初の海外ライブでグローバルアーティストとのコラボも実現させた。

2024年4月14日、コーチェラ・フェス出演時のライブ写真(Photo by Frazer Harrison/Getty Images for Coachella)

5月27日には1stミニアルバム『No.O -ring-』をリリース。リード曲の「BON」は平野紫耀プロデュース曲。盆栽をテーマに制作された。「盆栽は100年、何百年とかけてあの形になる。自分たちもファンに支えられて成長するということを表現したい」。そんな平野の想いが込められている。笙や鈴の音が鳴り響く雅楽や琴や三味線のような音、祭囃子風の展開、民謡のような歌唱が導入されたヒップホップ曲だ。時折ジャージー・クラブやダブステップの要素も感じられ、情報量が多くエッジが効きまくっている。まず平野が「王者が搔っ攫う 頑丈に閉ざした君のハートを奪う 地位名声より大事なもの Lets GOAT」とNumber_iの今と未来をスピット。岸が「風来坊Notアイドル No No 世界を背負うBad Boy 乗り込みなTo Be The World」と決意を露わにし、神宮寺が「残すこの先に咲くワード」と「盆栽」とNumber_iを重ねて見せる。胸を勢いよく突き出す振付も話題になった。

『No.O -ring-』は全曲3人それぞれがプロデュースを担当。神宮寺がプロデュースしPUNPEEが詞曲編曲を手がけた「SQUARE_ONE」や岸がプロデュースした80sシンセポップ「No-Yes」、平野がプロデュースした王道Jポップな歌もの「i」といった楽曲も収められ、Number_iの音楽性の幅広さを示した。

フェスで巻き起こした熱狂、フルアルバム『No.I』での進化

6月には初の単独公演「No.O -ring-」を有明アリーナで3日間にわたり計6公演行った。和風のSEでスタート。ステージ上には大きな松の木が置かれており、客席には桜の花びらが降り注ぐという世界観の中、岸プロデュース曲「OK Complex」からライブはスタート。ソロダンスコーナーを含め全16曲を披露。それぞれのポテンシャルを見せつけながら、満員のオーディエンスに丁寧に感謝を伝えた。ライブ中、1stフルアルバム『No.I』のリリースと全国7都市を回るツアーの発表もあった。

「オリコン上半期ランキング 2024」の「作品別売上数部門」の「デジタルアルバムランキング」で『No.O -ring-』が1位を獲得。また『GOAT』が2位となり、上半期デジタルアルバムランキング史上初となる1位、2位を独占した。

複数のフェスにも出演した。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024」と「SUMMER SONIC 2024」の東京と大阪に出演し、Number_iのステージを初めて見たであろう大半のオーディエンスの熱狂を巻き起こした。千葉雄喜、Awich、LEX、¥ellow Bucks、LANAといったヒップホップ系のアクトが出演する「WIRED MUSIC FESTIVAL'24」にスペシャルゲストとして出演し、ヘッズの度肝を抜いたことも。

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9月23日には1stフルアルバム『No.I』をリリース。デビュー曲「GOAT」「BON」などが収録され、「No.O -ring-」に続き、メンバーが各曲のプロデュースを担当した。リードトラックは神宮寺プロデュースの「INZM」。スクラッチ音からインダストリアルメタル×EDMな音像に突入し、「INZM 一瞬で虜さ INZM 3本の衝撃」というボースティングを経て、デビュー曲「GOAT」をセルフサンプリング。サウンドも含めて既にNumber_iブランドを確立した感がある。ハードコアやメタル色の強い「INZM(Hyper Band ver.)」も収録され、遊び心溢れる音楽の探求心もうかがえた。ソロ曲も収められており、平野のソロ曲はVaundy、神宮寺のソロ曲はKEEN(C&K)が手がけ、岸のソロはセルフプロデュース。メンバー全員がプロデュースし作詞も手掛けたファンへのラブソング的な「iLY」、それぞれの自己紹介をラップリレーする「Numbers」も収められ、Number_iの多大なる伸びしろを感じさせた。

9月15日、NYタイムズスクエアのビジョンに「INZM」の映像が流れる

『No.I』はBillboard JAPANのダウンロードアルバムチャート「Download Albums」で初登場首位に輝き、Spotifyのグローバルチャート「TOP ALBUMS DEBUT GLOBAL」では4位を獲得している。

12月2日には既存曲13曲に未発表曲「HIRAKEGOMA」を追加収録したデラックス盤『No.Ⅰ (Deluxe)』をサプライズリリース

怒涛の1年を締めくくる出演ラッシュ

10月からは7都市26公演の「Number_i LIVE TOUR 2024 No.I」を開催している。12月24日~26日のさいたまスーパーアリーナ公演でファイナルを迎えるが、12月24日の公演はPrime Videoにて220以上の国と地域で独占ライブ配信される

年末の音楽番組にも多く出演。本稿を執筆しているのは、12月16日の「CDTVライブ!ライブ!」は「クリスマス4時間半スペシャル」でキレキレな「GOAT」と「INZM」のパフォーマンスを見せた直後だが、12月22日にはCreepy Nuts、新しい学校のリーダーズというグローバルな活躍が目覚ましい2組と共にNHKスペシャル「熱狂は世界を駆ける~J-POP新時代~」に登場する。Coachellaの現地リハーサルの密着と独占インタビューが放送されるという。

熱狂は世界を駆ける

〜J-POP新時代〜

22(日)夜9時~[総合]

2024年、日本の音楽が世界に響き渡った。#新しい学校のリーダーズ#CreepyNuts#Number_i

なぜ世界へ?

最前線に立つアーティストへの密着、独占インタビューで迫る。

語り #板垣李光人 pic.twitter.com/ic0I8EtqFq — NHKスペシャル(日)夜9時(土)夜10時 (@nhk_n_sp) December 20, 2024

12月27日には『ミュージックステーション SUPER LIVE 2024』で「INZM(Hyper Band ver.)」を披露、12月28日には『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2024~』、12月30日には特別賞を受賞した『第66回輝く!日本レコード大賞』、12月31日には『第75回NHK紅白歌合戦』に初出場する。紅白の出場に対し、神宮寺は「1月1日にデビューさせていただいて、12月31日に初出場させていただく。最高のパフォーマンスをお届けしたい。去年は観る側だったので、とても光栄で嬉しい。どれだけブチかませるか、最大限のパフォーマンスをぶつけたいです」とコメント。またこの1年に対して「濃い1年だった。楽曲作りの深さを実感したりフェスにも出たりいろんな方々に出会えた」と充実した表情を浮かべていた。

デビュー1年目を怒涛のように駆け抜けたNumber_i。2025年はどんな飛躍を見せてくれるのだろうか。

第75回 #NHK紅白

白組初出場 #Number_i

会見後を直撃し、

意気込みときょうの朝ごはんを聞きました!#紅白歌合戦 出場歌手一覧https://t.co/74oO8L7eJI pic.twitter.com/DxaLESLEMB — NHK紅白歌合戦 (@nhk_kouhaku) November 19, 2024