南海電気鉄道は20日、南海本線の泉佐野~和歌山市間で8300系を使用する普通の一部列車を対象に、2025年3月22日からワンマン運転を実施する予定と発表した。ワンマン運転対応の8300系に「車両側面カメラ」、泉佐野~和歌山市間の全駅に「進出用非常通報装置」を設置したという。
同社は2000年以降にワンマン運転を順次導入。現在は高野線の汐見橋~岸里玉出間と橋本~極楽橋間(2両編成のみ)、高師浜線、多奈川線、加太線、和歌山港線(2両編成のみ)の各支線区間で実施している。今後、生産年齢人口の減少で乗務員の確保が難しくなると予想され、限られた経営資源を有効に活用して一定の列車本数を維持するため、南海本線の泉佐野~和歌山市間(30.2km)でもワンマン運転の実施を決定。3月の実施に先立ち、1月から乗務員に対し習熟運転を行う。
泉佐野~和歌山市間では、8300系を使用し、4両編成で運転される普通の一部が対象列車に。特急、急行、空港急行、区間急行、準急や、6両編成で運転される普通は対象外となるほか、8300系を使用する4両編成の普通でも、一部列車で車掌が乗務するとのこと。
ワンマン運転に使用する8300系(4両編成)は、安全対策として「車両側面カメラ」を1両につき計4台(片側2台ずつ)設置。車両側面とホームの様子を撮影したカメラの映像が運転席のモニタに表示され、運転士は列車を発車させる際、車両側面付近の様子を確認できる。「車両側面カメラ」の検証は2022年6月から行われ、夜間・悪天候時等の低照度下でも十分な視認性を確認でき、明暗差がある環境下でも鮮明に写すことを確認したという。運転士が誤ってホームのない側の扉を開ける操作をしても、扉が開かないようにする「誤開扉防止装置」も導入。ワンマン運転時でも車掌が乗務する列車と同等の安全性を担保できるようにしている。
ワンマン運転を行う全駅(14駅89カ所)に「進出用非常通報装置」も設置。列車の出発時、運転士が前方確認しながら見える位置に設け、ワンマン運転区間でも運転士がホーム非常通報装置(列車非常停止ボタンが扱われたときに明滅する装置。ホーム上に設置)の動作を確認できるようにした。