2024年12月14日から15日にかけて、Riot Games、テレビ東京、電通が主催するオンライン・オフライン統合イベント「Riot Games ONE 2024」が、神奈川県・Kアリーナ横浜にて開催されました。
今年は、『League of Legends』(以下、LoL)の世界的なレジェンドプレイヤーを招待した「Legendary Legends Showmatch」や、『VALORANT』の国内外のプロチームを招待した「PRO INVITATIONAL」などが行われました。2日間の模様をお届けします。
「Riot Games ONE 2024」では『LoL』のコンテンツ比率が増加
2022年にスタートした「Riot Games ONE」は、今年で3回目の開催。毎年12月に2日間、Riot Gamesがその年の集大成を披露するという趣旨で行われています。これまでの開催では、『VALORANT』のコンテンツが圧倒的に多かったものの、年々『LoL』のコンテンツが増え、今年はさらにその比率が増していました。
思い起こせば、2022年の『LoL』コンテンツは、ストリーマーのk4senさんが主催する「The k4sen」がDAY1に行われたのみ。2日間を通して、Bo1の1ゲームだけでした。翌年の2023年は、「The k4sen」が両日行われ、変わらずBo1ではあったものの、時を戻す“クロノブレイク”を発動するという巧みな演出で、2日間にわたってファンを楽しませました。
そして、今年は新たなコンテンツとして、世界的なレジェンドプレイヤーを招待した「Legendary Legends Showmatch」を開催。レジェンドチームとの対戦として、1ゲーム目はストリーマーチームとの特別ルールマッチ、2ゲーム目は現役プロチーム「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming」(以下、SHG)とのマッチが、それぞれ2日間行われました。
さらに、高校生eスポーツ大会「STAGE:0」で優勝したチームが、ストリーマーチームに挑むコンテンツ「NEXT GENERATION'S CHALLENGE」は、DAY1が『LoL』、DAY2が『VALORANT』でした。これを含めると、今年は2日間で『LoL』計5ゲームが披露されたことになります。
タイムテーブルとしては、前半が『LoL』で後半が『VALORANT』という構成で、かつ10時に開場して22時近くに終了するという、かなり長丁場なイベントです。それでも、客席を見ていた限りでは、どちらのコンテンツも楽しんでいるファンが多かったことが印象的でした。k4senさんをはじめとするストリーマーの影響力もあり、この3年で『LoL』の魅力が大きく広まったことが感じられます。
『LoL』の世界的レジェンドが登場し、熱戦をくり広げる
「Legendary Legends Showmatch」に招待されたのは、Dyrusさん、inSecさん、Perkzさん、Bangさん、MadLifeさんの5名。選手名がつけられた象徴的なプレイを持つなど、世界的に著名な『LoL』レジェンドプレイヤーたちです。レジェンドチームは、2017年の世界大会「Worlds」のテーマソングである「Legends Never Die」をBGMに登場しました。
1ゲーム目は、ストリーマーチームとの特別ルールマッチが行われました。レジェンドチームに挑んだDAY1のメンバーは、Zerostさん、Yutaponさん、葛葉さん、うるかさん、Cerosさん。DAY2のメンバーは、らいじんさん、しゃるるさん、スタンミさん、じゃすぱーさん、たぬき忍者さんです。
このマッチではハンデのため、レジェンドプレイヤーはそれぞれ事前に決められた3体のチャンピオンのみ使用可能、完成アイテムの一括購入のみ可能、BAN枠なしという特別ルールを設定。このルールによって、どのような試合になるのか未知数でしたが、両日ともにお互い見せ場の多い熱戦がくり広げられました。
DAY1は、重いハンデを跳ねのけて、レジェンドチームが勝利。そして、DAY2はレジェンドチームを倒し、ストリーマーチームが勝利しました。DAY2のストリーマーチームはイベントに向けて、メンバーのうち4人が韓国で約2週間生活し、韓国サーバーでランクに挑む「げまげまKRサーバーチャレンジ」を行っていました。そこでの練習の成果が発揮されたといえるでしょう。
2ゲーム目は特別ルールを設けず、現役プロチーム「SHG」がレジェンドチームに挑みました。「SHG」は先日、Evi選手とMarble選手との再契約、そしてGaeng選手、FATE選手、Courage選手、momentコーチの新加入を発表したばかり。新たな体制になって間もない「SHG」ですが、現役プロとしての強さを見せ、両日ともにレジェンドチームに対して勝利を挙げました。
「SHG」は2025年、アジア太平洋の複数地域にまたがる新リーグ「League of Legends Championship Pacific」(以下、LCP)への出場が決まっており、今回披露された新体制での活躍が期待されています。
「PRO INVITATIONAL」で各チーム新体制での戦いを披露
タイムテーブルの中盤では、高校大会優勝チームがストリーマーチームに挑む「NEXT GENERATION'S CHALLENGE」、今年8月にリリースされたコンソール版『VALORANT』のショーマッチ「VALORANT CONSOLE x 2BRO. “PLAY WITH US”」が行われました。
その後、『VALORANT』の国内外のプロチームを招待した「PRO INVITATIONAL」がスタート。今年は、VCT Pacificから日本チームの「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)と「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)、VCT EMEAから「Fnatic」、VCT AMERICASから「Leviatán」が招待され、4チームによるBo1総当たりのエキシビションマッチが行われました。来シーズンを戦う各チームの新体制に注目が集まります。
DAY1の1試合目は、「Leviatán」対「DFM」。「DFM」は先日、中国で開催されたオフシーズン大会「VALORANT Radiant Asia Invitational」で、準優勝を獲得する大躍進を見せました。この日は、IGL(インゲームリーダー)を務めるArt選手が体調不良により出場を見送ることになり、急きょサブロースターのSSeeS選手が出場。IGL不在という予期せぬ体制でしたが、「DFM」が13-8での勝利を見せました。
2試合目の「Leviatán」対「ZETA」では、Xdll選手が見事なクラッチエースを披露し、会場から大歓声を浴びるなど見せ場をつくります。この試合を「ZETA」が13-7で制し、日本チームの勝利が続きました。しかしながら、3試合目の「Fnatic」対「ZETA」では、ペースを握った「Fnatic」が13-2での圧倒的な勝利を見せ、DAY1を締めくくりました。
DAY2の1試合目は、「Fnatic」対「Leviatán」の海外チーム対決。「Fnatic」の選手たちが、試合前に体をほぐすルーティンとして有名な“Fnatic体操”を始めると、観客も一緒になって腕を動かすという、オフラインイベントならではの光景も見られました。試合は、「Fnatic」が大きくリードしたものの、「Leviatán」が怒涛の巻き返し。オーバータイムに突入したのち、「Leviatán」が14-12で逆転勝利を見せました。
2試合目の「Fnatic」対「DFM」では、「DFM」が序盤のリードをつくります。しかし、追い上げた「Fnatic」との拮抗した熱戦がくり広げられ、最終的には「Fnatic」が13-10で勝ち切りました。
そして、迎えた最終マッチは「ZETA」対「DFM」の日本チーム対決。10月に両国国技館で行われた「Red Bull Home Ground 2024 APAC Qualifier」では、「ZETA」が勝利しており、「DFM」のリベンジが叶うかにも注目が集まっていました。しかしながら、試合は「ZETA」が大きく差をつける展開で、13-4での勝利を見せつけました。
2日間を通しての総当たりで、「Fnatic」と「ZETA」が2勝1敗、「Leviatán」と「DFM」が1勝2敗と、2チームずつ勝敗数が並ぶ結果になりました。とはいえ、現状はまだオフシーズン中。来シーズンに向けて準備を進める各チームが、今後どのような戦いを見せてくれるのか楽しみです。
■DAY1試合結果
Leviatán vs DFM:8-13(バインド)
Leviatán vs ZETA:7-13(スプリット)
Fnatic vs ZETA:13-2(パール)
■DAY2試合結果
Fnatic vs Leviatán:12-14(アビス)
Fnatic vs DFM:13-10(アビス)
ZETA vs DFM:13-4(ヘイヴン)
会場内外のコンテンツや大迫力のコスプレイヤーたちも
会場外には、オフィシャル物販やフードエリア、会場内のロビーには、スポンサーブースやフォトスポットなどが設けられました。今年は、『LoL』を原作とするNetflixアニメ『Arcane』のシーズン2が公開されたこともあって、『Arcane』の要素も各所に散りばめられています。
キッチンカーが並ぶフードエリアでは、『LoL』や『VALORANT』の世界観にちなんだコラボフードを販売。なかには、『Arcane』のオリジナルキャラクターであるシルコの「O-Silco」(おしるこ)といった、くすっと笑えるメニューも仕込まれていました。
また、オフラインイベントでは恒例のコスプレイヤーたちも大勢参加。『LoL』と『VALORANT』でそれぞれステージに登場したり、ロビーに両タイトルのコスプレイヤーが一挙に集合したりと、さまざまなところで会場を盛り上げました。
なお、DAY2には会場7階にて、各プロチームによるゲリラ的なファンミーティングも開催されていました。直前にSNSで告知されたため、私自身もファンミーティングの様子を見に行くことはできませんでしたが、先着で対応可能な人数に絞って行われていたようです。
ゲームを魅せるオフラインイベントとしての進化に期待
今年の「Riot Games ONE」では、各コンテンツで選手やストリーマーたちが客席の間の通路を通って入場する導線になっていました。レジェンドプレイヤーや海外チームはもちろんのこと、日本チームもシーズンが始まれば「SHG」はLCPに、「DFM」と「ZETA」はVCT Pacificに出場するため、なかなか国内で見られるチャンスがありません。そうした選手たちを間近で見ることができる、貴重な機会になっていたといえます。
ただ、ひとたびゲームが始まると、観戦体験としては物足りなさを感じる部分もありました。座席によっては、戦況を把握するのに必要な情報が見えにくかったり、負担が大きい位置からモニターを見続けなければならなかったり、ゲーム中はプレイヤーの姿が隠れてしまうステージのつくりなのに、表情を映すモニターが用意されていなかったりしました。
個人的には、Kアリーナという最新設備の会場でありながら、照明などを活かした演出が最小限で、ゲームの内容と連動した演出が見られなかったことも惜しいポイントでした。例えば、「LJL 2023 Summer Split Finals」では、ゲーム内でドラゴンを獲得すると、それに連動した色に会場全体の照明が変化するなどの演出がありました。こうした演出は、オフライン観戦でしか味わえないものなので、ぜひたくさんのファンに体感してほしいと思っています。
今年の「Riot Games ONE」は、主催がRiot Games、テレビ東京、電通の3社となり、これまでと制作や運営の体制が変わりました。その影響で、特にゲームに関わる部分の見せ方では、実現しきれなかった部分があったのかもしれません。しかし、やはりわざわざ会場に足を運んだファンには、最大限オフライン観戦の良さを味わってほしいもの。来年はゲームを魅せる部分での、さらなるグレードアップに期待したいところです。