みなさんから寄せられた新NISAに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武が答えてくださいました。今回は、購入した投資信託でマイナスが出ているので損切りするべきか悩んでいる方からの質問です。
◆Q. 200万円分買った投資信託がマイナスになっています。損切りするべきでしょうか?
「7月中旬、日経平均が4万円程度のときに日経平均インデックスファンドを200万円分購入しました。しかし、その後値動きに対処できず、逃げ遅れてしまい、現在もホールドしています。しばらくは様子を見ようと思っていましたが、新総裁が決まって経済に悪影響が出る可能性があるというニュースを目にしました。今のうちに損切りをしたほうがよいでしょうか? ぜひ、お二人のご意見をお聞かせいただければと思います」(skiyaroさん/57歳/男性)
■金融資産:現金預金8000万円/リスク資産600万円
◆A. 「保有したままでも問題ないと思います」(深野さん)
たとえ200万円で買った株が、多少の値下がりしても、私なら損切りしないですね。現時点では、日経平均が約4万円の目標に対し、今日の終値(※)が3万9300円程度でしたので、約2%の下落率になります。金融資産が十分にあるので、下落率が5%くらいの範囲であれば、運用を続けても特に問題ないと思います。
また、日経平均が4万円台に近づいていることから、今後も市場最高値の4万2000円台を超えると見込み、私も株式の保有を続けています。
あと、もし今後投資するなら、インデックスファンドよりも日経平均連動型のETF(上場投資信託)がおすすめです。投資信託は、通常1日1回の価格決定(基準価格)ですが、ETFなら市場が開いている間はリアルタイムで価格が変動し、いつでも売買することができます。ですので、流動性を重視するなら良い選択肢の一つだと思います。
そして、新政権が経済に与える影響についてですが、短期的には影響を与えることがあっても、長期的にはやはり企業が利益を上げることができるかどうかだと思いますね。当初、石破総裁が法人税増税や金融所得課税の強化を掲げたことで、経済への影響が懸念されていましたが、これらの方針は撤回されましたので、今後どうなるかは分かりません。ただ、来年の夏に参議院選挙が控えているので、選挙前に経済に悪影響を与える政策が実行される可能性は低いのではないでしょうか。
◆A. 「資金に余裕があるので、損切りはしなくてよいのでは」(清水さん)
ご相談者のケースだと、私も損切りはしませんね。老後資金を考えたときに、現金預金が8000万円ありますので、仮にリスク資産の600万円が半分に減ったとしても、大きな影響はないと思います。そのため、焦って損切りするよりは、様子を見るほうがよいのではないでしょうか。
もちろん、少しでも下がると不安になる性格であれば別ですが、そうでなければ保有を続けてみるのも一策だと思います。あと、“逃げ遅れる”という言葉をあまり意識し過ぎずに、投資を楽しんでみてはいかがでしょうか。
※お二人にご回答いただいた内容は2024年10月9日時点のものになります
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
教えてくれたのは……清水 京武さん
編集プロダクション退社後、フリーのマネーライターとなり雑誌、単行本の編集、取材、ライティングに携わる。20年以上にわたって500組以上の家計を取材し、All Aboutの人気連載企画『マネープランクリニック』の原稿も担当
文=All About 編集部