PROTECT HEARTS PROJECTは12月19日、「健康意識および行動の変化に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年10月25~10月29日、全国の男女1,000人を対象にインターネットで行われた。

健康診断結果で指摘された項目TOP3

会社や自治体の行う健康診断。毎年の健康状態のバロメータとして大切な指標だが、年齢が高まるほど、判定が良くなかった項目が増えてきて、様々な心配も増えてくるもの。今回の調査の回答者において、健康診断結果での指摘された(A判定で無かった)項目の上位には、男女ともに「血圧」がTop3にランクインしている。

  • 直近の健康診断・人間ドックで指摘された(A判定で無かった)項目は?

年代別に見ると、血圧がA判定で無かったのは40代以上の5人に1人。男女の違いも顕著に現れており、40~50代では男性のほうが女性より指摘された比率が高いが、60・70代では男性が21.5%、女性が24.1%と逆転する傾向が現れている。

  • 直近の健康診断・人間ドックで指摘された項目は?「血圧が高め」の世代別割合

健康診断結果を受けて、とっている対策

次に、健康診断の結果を受けて、対策や改善を行っているアクションについて、調査を行った。

取ろうと考えている対策として「食事の栄養バランス」「運動」「睡眠」などが多くの世代、性別で上位に上がっているのに対し、「体重測定」「血圧測定」など、日々のバイタルサインの測定については、年代別で大きな傾向の違いがみられた。60・70代では保有率が高まる一方で、50代までの現役世代ではわずか10~20%台と低い結果となっている。特に血圧においては、40~50代から高血圧になる人の比率は高まってくるため、この世代から普段の血圧測定に取り組んでもらうための啓発が必要だといえる。

また、「医療機関への通院」「服薬」といった医療へのアクセスも60・70代から大きく上昇する傾向となり、現役世代においては食生活や運動などの「自力でなんとかする」対策が多いことが特徴的だ。

  • 健康状態の改善を目的にしている対策や工夫は何ですか?

また、対策や工夫を行わない理由として挙げられているのは、「痛みや不自由さなど日常生活に支障がないから」「対策するのが面倒だから」「時間がないから」などが上位を占めており、直近の自身の健康状態への切迫感のなさなどから様子見をしている、またその煩雑さなどが改善行動を後まわしにしている状況も改めて浮彫になった。

血圧計の保有率と、血圧測定の習慣について

健康・医療機器の保有状況についての質問では、身近な健康機器である体重計・体組成計の保有率が各世代で半数を超えているのに対し、血圧計の保有率は年代によって大きな差があった。50代で38.0%、60・70代では65.5%と血圧計の保有率が比較的高い一方、40代でわずか26.5%、20~30代は10%台と非常に低い結果となった。

  • あなたが保有している健康医療機器は?

また、より正確な血圧状況を知るために重要な「日常的な血圧測定の習慣」については、血圧計を持っていても定着できていない実態が明らかになった。週1~3回以上血圧を測定する習慣があるのは、個人での血圧計保有率が比較的高かった50代でも16%、60・70代でも34.5%に留まった。

健康診断や人間ドック以外で年1回以下、もしくは測ったことが1度も無い人は現役世代(20~50代)で70%を超えており、残念ながら「日常的な血圧測定の習慣」は多くの人にとってまだまだ取り組めていないことがわかった。

  • 家庭での血圧測定習慣について

血圧は、季節での変動や、体調や時間帯などによって上下に変動する。また、病院での診察時だけ緊張で高くなってしまう「白衣高血圧」や、逆に診察時は正常でも家庭では実は高い「仮面高血圧」など通院や健康診断だけではわかりづらい高血圧もある。そのため、高血圧の早期発見には家庭での定期的な血圧測定習慣によって傾向を把握することが非常に重要となる。

健診で血圧について指摘されたあとの診療態様

過去に「血圧が高め」と指摘を受けたことがある人について、その後の治療・通院の状況を質問したところ、20~50代の現役世代では、指摘を受けたひとのうち半数が「通院したことがない」と回答。一方で60・70代では、通院継続ができている人が男女ともに60%を超えた。

  • 「血圧が高め」と指摘を受けたことがある方のその後の治療・通院の状況

血圧についての情報リテラシーとその影響について

今回、血圧測定の習慣化や、血圧ケアの意識を大きく阻害しているものとして、YouTubeやSNS、WEB記事などで専門家でない発信者から伝えられる、誤った情報に消費者が多く触れている実態も明らかになった。

調査では、以下の5つの代表的なネットなど広がっている「誤った情報」について、情報に触れたことがあるか、その信憑性をどう捉えているか、情報源として誤った情報はどこから消費者に接触しているのかなどを分析した。

  • 血圧についての情報リテラシーと消費者への影響

上記は全て医学的な見解として誤った情報だが、いずれか1つでも情報に触れたことのある人は26.4%。特に血圧が高まりやすい60~70代においては実に40.5%の人が誤った情報に接触していた。しかも、誤情報への接触者のうち、それぞれ半数を超える人が「情報を信じている」「正しいところもあると思う」と回答し、情報を信頼してしまっている。特に男性ではCの陰謀説を信じている人が75%と顕著に高い傾向となった。

こういった誤った情報に触れる情報源は、血圧や医療の専門的な見解を正しく伝える専門家や、テレビ・新聞などの旧来メディアではなく、男性では「WEBなどの記事、ネットニュース」「YouTubeなどの動画サイト」、女性では「知人・友人など直接の知り合いからの口コミ」の割合が高く、玉石混交の情報が流通する発信元からの、命や健康に関わる情報を独自判断で取り込んでしまっている現状がわかる。

  • 誤った情報を知った情報源

PROTECT HEARTS PROJECTとは

PROTECT HEARTS PROJECTは、Mizkan、森永乳業、オムロン ヘルスケア、プリメディカ、新生堂薬局、刀および事業子会社のイーメディカルジャパンが6社共同で2024年7月に発足させたプロジェクト。放置すると、心疾患や脳血管疾患など、命にも関わる大きな健康リスクである高血圧について、業界を超えて連携、啓発することを通じ、多くの方が正しい情報に触れ、適切なアクションをとれる社会の実現、そして健康寿命の延伸を目指す。

今回、健康診断・人間ドックなどを受診し結果を受けとる時期にあたり、全国の男女1,000名を対象に、健診後のアクションや血圧についてのリテラシー・情報源などについての意識調査が実施された。