コーセーは12月18日、北海道情報大学 情報メディア学部 向田茂教授との共同研究により、顔の部位ごとのシミが対人印象に及ぼす影響や、シミを改善したときの印象変化を詳細に解明したことを発表した。
研究の背景
シミやシワは加齢とともに多くの人が抱える肌悩み。いずれも顔の様々な部位に発生し、一般にエイジングを連想させる要素として認知されてきた。一方、それ以外の対人印象については体系的に整理されておらず、個々人の理想とする対人印象をどのように叶えるかは手がかりが少ない状況だった。そこで同社は、向田茂教授との共同研究により、シワ部位と対人印象の関係を見出し、化粧品によるシワのパーツケアの有用性を提示してきた。今回、シミについても発生部位と対人印象との関係を明らかにすることを目指したという。
なお、本研究成果の一部は、第26回日本感性工学会大会(2024年9月12~14日、東京)にて発表され、優秀発表賞に選出された。
目まわりのシミが与える印象とは
シミと対人印象の関係を評価するにあたり、実在する60~70代の女性118名の顔を画像処理技術で重ね合わせた標準顔を作成し、そこに鼻、目まわり、頬それぞれ部位別シミモデルを重ね合わせることでシミ部位別の印象評価画像を作成した。印象評価には「若々しい ― 老けている」「健康的である ― 健康的でない」などの年齢印象以外も多角的に印象を評価できる20項目を用い、110人に画像を提示して印象評価を行った。
シミを付与する前の標準顔とシミ部位別の画像を比較して評価してもらったところ、目まわり>鼻>頬の順番に印象への影響度が大きいことが分かった。また、全シミ部位で「若々しさ」が標準顔より最も大きく低下したが、目まわりのシミは「疲れ」の印象を与え、鼻や頬のシミは「上品さ」といった印象を損なうことが分かった。目まわりのシミは目周辺のコントラストの低下や、くまを連想させるため、「疲れ」の印象に繋がったことが考えられる。このことから、シミは従来想定される「若々しい」印象を損なうだけでなく、部位によっては「疲れ」の印象を与え、「上品さ」の印象を損なうという新たな知見を得ることができた。
目まわりのシミ改善で若々しく健康的な印象に
次に、既にできてしまったシミを改善することで、どんな印象変化に繋げることができるかを検証した。付与するシミの濃度を90%にした画像を作成し、100%のものと比較したときの印象評価を行った。
その結果、各部位で「若々しさ」の印象の向上が見られた。部位ごとに見ると、目まわりのシミ改善で変化の大きい印象は「自然体」、「若々しい」、「健康的」であり、ケアにより若々しく健康的で、自然体(ありのまま)に見えるようになるということが分かった。鼻では「若々しい」、「自然体」、「清潔感」の印象が向上しており、若々しい印象に繋げるためには鼻も効果的なケア部位であると言える。頬でも「清潔感」、「若々しい」「上品」の印象が向上しており、どの部位も若々しさ以外の印象変化を及ぼすことを明らかにすることができた。