三菱自動車工業が2024年10月31日に発売した「アウトランダーPHEV」大幅改良モデルの初期受注が好調な様子だ。12月16日の時点で受注台数は4,600台を突破。ちなみに、月間販売目標は1,000台だ。どんなグレードが売れているのか、販売状況を聞いてきた。
大幅改良で変わったところは?
アウトランダーPHEVはクロスオーバーSUVタイプのプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。現行型はフルモデルチェンジを経て2021年12月に発売となったモデルで、今回の新型はマイナーチェンジ(大幅改良)モデルという位置づけとなる。
今回のマイナーチェンジでは駆動用バッテリーを刷新。バッテリーの容量、出力、冷却性能などが向上し、充電した電気だけで走れる距離(EV航続距離)は約20km伸びて計100kmを超えた。改良前に比べると加速性能、静粛性、質感などが全方位的にレベルアップしている。
初期受注の状況と開発者の受け止め
三菱自動車によると、2024年12月16日時点でのアウトランダーPHEV改良モデルの受注台数は4,600台以上。グレードの内訳は「P Executive Package」が52%、「P」が33%、「G」が11%、「M」が4%となっている。オーディオシステムの構成(標準装備含む)はアルティメットが56%、プレミアムが44%とのこと。一部の購入者がオーディオのアップグレードを行っていることがわかる。
アウトランダーPHEV開発陣は販売状況をどう受け止めているのか。三菱自動車 商品戦略本部の五味淳史チーフプロダクトスペシャリストは「クルマはどんどん高くなっていますし、電池を載せると(PHEVや電気自動車=EVのこと)クルマは高くなるものなので、新型アウトランダーPHEVも我々にとってはチャレンジングな価格になったのですが、初期受注は好調に推移しています」とする。
EVを買うのは航続距離や充電インフラの面で心配だという自動車ユーザーにとって、PHEVは「ちょうどいい電動車」として魅力的な選択肢になりつつあるのかもしれない。そのあたりについて五味さんは、「今はPHEVが最適解だと思っています。レギュレーション(自動車の環境規制)はグローバルでBEV(バッテリーEV=電気自動車)の方向に向かっていて、内燃機関からバッテリーに移行する真っただ中にあるのですが、ただ、一般ユーザーさんのクルマの使い方を見ていると、BEVだとそぐわないところも出てきています。選択肢として、現時点でPHEVが最適なのではないかと思います」との見方を示す。
PHEVは三菱自動車が開拓してきた分野だ。PHEVへの注目度が高まりつつあり、国内外の自動車メーカーからはライバルとなりうるクルマがどんどん登場してきている状況だが、アウトランダーPHEVはコストパフォーマンスから見ても競争力が高そうだ。五味さんは「安いクルマではないですが、ポジションとしては、いいところにいるのではないかと思っています」と競争力について自信を示しつつ、「ただ、価格設定は本当に難しいんですよ……」と開発責任者としての苦悩ものぞかせていた。