老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に回答します。
今回は、年金だけで生活が苦しい場合の対策についてです。
◆Q:年金額が少なくて生活が苦しい時、生活保護以外に方法はある?
「年金額が少なくて生活が苦しいのですが、どうしたらいいですか? 不動産や貯金があるので生活保護は無理です」(60代)
◆A:少しでも働いて収入を得られないのかを検討し、助成金や生活福祉資金貸付制度も知っておきましょう
生活保護を受ける際、相談者のように、預貯金や生活に利用されていない土地・家屋等があると、売却等して生活費にあてるよう指導されます。その上で、厚生労働省で定められた「最低生活費(生活するために最低必要な費用)」より世帯収入を引いた時に、世帯収入との差額が生活保護費として支給されます。
相談者のように生活保護に頼らずに老後の生活をするには、まず、少しでも働いて収入を得ることはできないのか、ということを検討してみましょう。またその上で自治体やハローワークなどの助成金制度の給付金について知っておきましょう。
助成金制度にはいろいろあります。
例えば、一時生活支援事業(自立相談支援機関)、国民健康保険料の減免(区役所・市役所)、職業訓練受講給付金(ハローワーク)などがあります。
※( )は相談窓口です
自分が必要としている支援を受けることができるのか、相談してみるといいと思います。
給付金は返済の必要はありませんが、細かい利用条件があり、受給までに時間がかかりますので注意しましょう。
助成金制度の他には、無利子または超低金利で借入可能な「生活福祉資金貸付制度」を利用する方法があります。資金の種類には次のようなものがあります。
■総合支援資金
・生活支援費(生活再建までに必要な生活費)
・住宅入居費(賃貸契約を結ぶ為の費用)
・一時生活再建費(生活を再建するために一時的に必要で、日常生活で賄うことが困難である費用)
■福祉資金
・福祉費(福祉用具等の購入に必要な経費、介護サービスなどを受けるために必要な経費とその期間中に生計を維持するために必要な経費、冠婚葬祭に必要な経費など)
・緊急小口資金(緊急かつ一時的に生活の維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用(10万円以内)
※貸付の決定については、貸付条件に加え、償還可能性の有無が考慮されます。
生活福祉資金貸付制度の利用窓口は、社会福祉協議会です。区役所・市役所では手続きできません。住んでいる市区町村の社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。
生活が苦しい時は、これらの助成金や貸付制度を利用できる可能性がありますので、国や自治体からの情報には日ごろから注視しておくといいでしょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
文=All About 編集部