不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」が12月18日、『LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会』を開催し、LIFULL HOME'S総研 副所長兼チーフアナリストの中山登志朗氏が2025年の注目トピックス5つを発表した。
住宅価格・賃料高騰をはじめ、都心回帰する若年層単身者や準近郊・郊外に転居するファミリー層、闇バイト問題を背景とした住宅セキュリティ、省エネ基準適合義務化などに伴う断熱&省エネ意識の高まり、団塊世代が75歳以上を迎える「2025年問題」など、今年も様々なトピックスが住まいを取り巻いている。
LIFULL HOME'Sはそうした背景から、来年のトレンドワードに「デコ活」「ローカル億ション」「ずらし駅」「住まいの防犯投資」「家じまい元年」の5つを取り上げている。各ワードの詳細を紹介していこう。
トレンドワード①「デコ活」
「デコ活」とは環境省が提唱している造語で、脱炭素:Decarbonizationでエコ:Ecoを実現しようというムーブメントのこと。【デ】電気も省エネ断熱住宅(住環境で脱炭素)、【コ】こだわる楽しさエコグッズ(省エネ家電・LEDなど住設備でエコ)、【カ】感謝の心食べ残しゼロ(フードロス対策)、【ツ】つながるオフィステレワーク(環境負荷の少ない働き方)など、3分野13種類の具体的なデコ活アクションを紹介している。
住宅・住まい方に関するデコ活は6種類、省エネ給湯器や節水水栓、太陽光発電など家庭でできるデコ活が数多く取り上げられているという。
トレンドワード②「ローカル億ション」
2024年は東京・名古屋・大阪・福岡といった大都市以外の全国各地で、販売価格が一戸一億円以上の分譲マンション、いわゆる「億ション」が数多く販売され、予想を上回る好調な売れ行きを示した。この傾向は、全国的な地価の上昇および建設業・運輸業での人件費の上昇、円安によるマンション建設資材の高騰などコストプッシュ型の新築マンション価格上昇で、2025年以降も続くことが想定される。
また、国内の富裕層・超富裕層は約150万世帯に達する勢いで増加しており、パワーカップルやインバウンド需要、さらに株高による資産の付け替えも発生。これまで売れないとされていた大都市以外での億ション分譲も更に活性化する勢いで、「ローカル億ション」は政令市や県庁所在地の中心部に、今後もタワー型億ションニーズが顕在化することを表した言葉とのこと。
トレンドワード③「ずらし駅」
複数の路線が使えて、駅勢圏(駅周辺の繁華性が高いエリア)の広いターミナル駅は、その利便性から賃料が高く設定されていることから、各駅電車以外は停車しない、駅勢圏は縮小するなど、生活と交通の利便性がやや劣るが賃料は安価に設定されている駅に目線をずらした「ずらし駅」の人気が高まっているという。
トレンドワード④「住まいの防犯投資」
闇バイトが社会を震撼させ、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の存在が顕在化した今年、いつどこで狙われるのかといった社会不安は、特に高齢者が生活する戸建住宅を中心に増大。その対策として、防犯リフォーム需要も拡大。防犯面でも住宅の機能を見直す契機となったことから、住宅の安全に対する意識はますます高まると考えられる。
トレンドワード⑤「家じまい元年」
住宅所有者の高齢化や逝去などをきっかけに、家じまい=自宅売却を検討し始めるケース、相続人の子供が実家を売却する(ことを考える)ケースが顕著に増えている。オープンハウスとLIFULL HOME'Sの共同調査では、家じまい経験者の親世代の平均年齢は父母とも80歳。ただ、検討は始めたものの売却に至っていないケースも多く、「家族の意見が決まらない」「家の片付けが終わらない」などの理由で問題を先送りにしがちな状況も見えている。
具体的な用途がないまま自宅・実家を放置すると、固定資産税や都市計画税のほか、建物の維持管理コストも発生することや、相続後3年を経過すると3,000万円の税額控除が適用されなくなるため、時間的な制約のあるなかで家じまいをする必要もあり、他人事ではないという意識を持つ必要がある、と中山氏はコメントしている。