「憧れてばかりいないで、さっさと乗ってしまいなよ」。そんなふうに諭されているような気分になって、なんだか気持ちが良くなった。思い立ったが吉日。夢だろうと憧れだろうと乗ったもん勝ち。夢は買うもんじゃなく、叶えるもんだよね!って。
【画像】共同所有サービス「ランデヴー」で取り扱う車種の一例(デロリアン、マスタング、500SLなど)(写真15点)
”買うこと”から”使うこと”メインへ。共同所有サービスの大幅なアップデートを果たした「RENDEZ-VOUS(ランデヴー)」。代表の浅岡亮太君は冒頭のように決して上から目線でモノを言う人じゃないけれど、若い頃からローンで高い車を買ってきた我々世代には、彼ら若いチームの珍しくも熱い車への想いと実行力の高さが眩しくて羨ましくて、そんなふうに思ってしまうわけだった。
所有欲や収集欲の強い人もまだまだ多い。そういう人は今まで通り買って乗って眺めてください。でもね、車ってやっぱり乗ってナンボ。買ってみなきゃわからない、ではなく、乗ってみなきゃわからない。だったら初期投資という最も高いハードルがなく、さっさと乗ってしまえるシステムの方がいいかも、というのが彼らのサービスの骨格だ(と思う)。
だいたい、死ぬほど好きで一生一緒に過ごしたい、と思うような車なんてそう何台もあるわけじゃない。けれども人生に一度は乗っておきたい、なんて車は多い、というかほとんど。
たとえばこの日私が触らせてもらったモデルは、DMCデロリアンにポルシェ911、フォード・マスタング、ビュイック・リビエラで、いずれも車好きならば一度は乗ってみたいと思う車たちばかりだろう。そんな名車たちを、月々数万円の対価で何度か乗れる。シンプルな以前の共同所有とは違って売却益を楽しみにすることはできないけれど、その代わり、例えばマスタングなら頭金ゼロでも月に6日乗れて6万円弱/月(1年契約)。つまり1回1万円弱だから、ちょっとしたレンタカー、タイムシェアカーなみ。その間の駐車場代やメンテナンス代といったランニングコストの心配はなく、ヨコハマの専用ガレージ&ラウンジも使い放題、となれば、”一度乗ってみたかった”車を試す絶好のチャンスではないか。
たしかに昔、バブルの頃には会員制の高級レンタカーサービスなんかがあって私も利用したことがあった。けれども当時はガイシャ屋さんの欲に目が眩んだテキトーなショーバイだったので、どれもこれも結果的には車好きをがっかりさせる結末に終わったもの。懲りた私は結局、好きな車をローンでコツコツ買い始め、最盛期には(ランデヴーと同じように)でかい倉庫を駐車場がわりに自分で借りて、一時は同時に15台も持っていた。年に一度乗るか乗らないかの車のために、購入費用以外にも莫大なコストを払っていたわけだ。そのうえ、鍵は失くすわ、車検は受け忘れるわ、保険を払い忘れるわ、で。ああ、あの頃、ランデヴーのようなサービスをマトモな人たちがやってくれていたなら…
実をいうと私はいわゆる収集欲はない。だから倉庫を借りて詰め込んでいた時も、そこで車を眺めて一杯、などということはしなかった。どちらかというと乗ってみたい派だったのだ。だから会員制サービスにも手を出した。入会金・使用料ともに安くないお金を払って。なんとランデヴー向きな車好きであったことか!
911の身体に響きわたる空冷エンジン、カトラスの夢見心地なライド感、デロリアンのタイムトラベル気分、そしてマスタングのポニーレーサー感覚… いずれも現代の車たちでは決して味わえないドライブフィールばかり。1日1万円で楽しめるなんてステキすぎる。
というわけで、私も実は以前からランデヴーのサービスを利用して同志を募っている。そう、ランデヴーは共同所有の形態をとるから、できるだけ安く試すには同じ車に乗ってみたいという人を複数集めなければならない。前述のマスタングなら4人だ。
私がランデヴー体験したい車はフェラーリF355とポルシェ996GT3。前者は昔に乗っていてもう一度乗りたいと思っている。後者は昔とても憧れてついぞ買いそびれた。いずれも一生乗り続けたいと思うほど好きというわけではないけれど、元気なうちに乗っておきたい、それも3ペダルマニュアルで、というモデル。
皆さんも”いっちょかみ”、いかが?
文:西川 淳 写真:ランデヴー
Words: Jun NISHIKAWA Photography: RENDEZ-VOUS