大正製薬は12月17日、「溶連菌感染症に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年9月13日~9月14日、20~40代の男女2,673人を対象にインターネットで行われた。
溶連菌感染症とは?
溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌(略称:溶連菌)を原因とする感染症のこと。溶連菌には様々な種類があるが、「A群溶血性連鎖球菌」を原因とするものが多く、一般的に溶連菌感染症と呼ばれている。昨年は、10月頃より溶連菌咽頭炎が増え始め、過去10年間で最大規模の流行が起こっていた。また、溶連菌感染症は冬に流行しやすいと言われているため、これからの時期に感染対策をしっかり行うことが大切。
子どもだけでなくて大人も感染する?
溶連菌感染症は3~10歳の子どもがかかりやすいとされている。しかし、大人も感染する可能性があり、また家庭内感染も考えられるため油断は大敵。
また、溶連菌感染症に初めて感染した年代ごとに症状のつらさを調査した結果、子どもの頃に感染していた人に比べて、子どもの頃には感染せず大人になってから初めて感染した人では、「とてもつらかった」と回答した割合が多いことが分かった。子どもの頃に感染していない人は、より注意が必要だとわかる。流行時には大人も感染予防を心がけたい。
さらに、学校又は仕事に通っている方のうち、約4人に1人(24.0%)が、溶連菌感染症にかかった際に5日以上学校又は仕事を休んでいることが分かり、この結果からも溶連菌感染症の症状のつらさが伺える。
どんな症状がでるの?
溶連菌感染症の主な症状や特徴的な症状として、のどの痛み・発熱・首リンパ節の腫れ・イチゴ舌などが挙げられる。実際にどのような症状がつらかったのか調査した結果、「のどの痛み・腫れ」と「発熱」が圧倒的に多く、一般的な風邪症状に含まれる「咳」や「鼻水・鼻づまり」と回答した人は少ないことが分かった。のどの痛みや発熱はあるけれど、咳や鼻水・鼻づまりはないという人は注意が必要かもしれない。
感染予防策は実施している?
それでは、どの程度の人が溶連菌の感染予防を実施しているのだろうか。一般的に多くの人が感染対策を実施している「新型コロナウイルス」「インフルエンザウイルス」と比較して、感染予防策の実施状況を調査した。その結果、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスでは、約半数の人が予防策を実施している一方で、溶連菌に対して予防策を実施している人は16.2%と少なく、多くの人が意識して感染予防をしていないことが分かった。
どんな対策をすればよいの?
それではどのような感染対策を実施すればよいのか。一例を紹介する。
マスク・手洗い・うがい
溶連菌感染症の感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つ。マスクの着用やこまめな手洗い・うがいを心がけたい。
栄養バランスのよい食事・十分な睡眠
溶連菌感染症が流行しやすい冬は、寒いため免疫力も下がりやすいので、健康的な生活習慣を心がけ、免疫力を高めることが大切。
CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)の活用
殺菌成分であるCPCは、溶連菌をはじめとする細菌の細胞膜を破壊することで殺菌作用を示すことが知られている。CPCが配合されたうがい薬や洗口液、のど飴は、口腔内の殺菌・消毒効果を持つとされている。
なお、溶連菌感染症の疑いがある症状が出た場合は、医療機関の受診が推奨される。病状が進行するとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を発症する可能性もあるため、風邪だと思い込んで放置せず、医療機関で適切な治療を行うことが大切だという。