なでしこジャパンのニールセン新監督(中央)と宮本JFA会長(左)、佐々木JFA女子委員長(右)

 なでしこジャパンとしては史上初となる外国人監督に就任したニルス・ニールセン氏の就任会見が18日に都内で行われた。

 16日に日本へやってきたニールセン監督は今回が初来日とのこと。「空港を出た瞬間から素晴らしい国だと思った」と、日本人の親切さや大都市であるにも関わらず清潔であることなどが、早速印象的だと明かす。

 池田太前監督退任後、約4カ月にわたって空位となっていた新指揮官の座だったが、日本サッカー協会(JFA)はその間、監督候補者選定で面接などを繰り返して絞り、監督候補からのプレゼンなども経て、ニールセン監督にバトンを渡すことを決断した。なでしこジャパンの指揮官就任に際し、「日本を率いることが夢だったとはばからずに伝えたい」「監督冥利に尽きる」と話すニールセン監督は、「日本サッカーの成長を見て、素晴らしいと感じていた。選手の性格などを見ながら、それに合ったプレースタイルを作り上げることは決して簡単ではない。それができたのが日本だと思う。私だけでなく、世界が日本のサッカーを見て刺激を受けた。自分のチームでもできないかと、取り組んだこともある」と、2011年に世界一となったなでしこジャパンのサッカーに感銘を受けたとコメント。JFAがなでしこジャパンの監督を探しているとの情報を受け、立候補したと続けた。

 デンマーク・グリーンランドの小さな村出身というニールセン監督は背中のけがで20歳ごろにサッカー選手としてのキャリアを断念。ショックに打ちひしがれたとのことだが、サッカーと関わる仕事はしたいと考え、コーチ業に進む。「当時は選手よりコーチに向いているとは思えずつらかったが、やってみるとコーチ業に長けているとわかった」と、指揮官向きの人間だとするニールセン監督は「人間関係」と「自分から掴み取る気持ち」がチーム作りで大切とし、「どんなことでも言い合える、共有し合える環境が大事。それが成功のカギ。ただその達成にはハードワーク、それぞれの持ち場で最大の努力が必要だ。待っていては来ない。目標に向かって掴みに行くスタンスが必要」として、個人としても選手に対して正直に意見を伝え、オープンな空気作りが大切だと話した。

 2011年以来となる世界一の座に返り咲くことがなでしこジャパンの目標となっているが、選手・スタッフだけでなく、サポーターや関係者など全員が一丸となって戦えれば、「再び世界一になれることも可能」とし、「日本が世界のトップに返り咲くことを目指している。それだけのタレントもいる。ハードワーク、そして献身性を持ってやっていきたい」と、ワールドカップ・オリンピックでの優勝を目標に掲げた。

 コーチ陣に関しては「JFAには日本人コーチをそろえてほしいと要求している。選手のことなどを知っている人が必要」と日本人スタッフが多数入ることを要望しつつ、「私自身が一人、外国人コーチを選んで連れてくる」と右腕の入閣も示唆。監督の拠点はヨーロッパとなり、日本人選手の多数が海外でプレーするようになった現況に合わせてスカウティングをしていく。もちろん日本国内も視察をし、1月には再来日予定。皇后杯などを視察予定だ。

 2月にアメリカで開催する2025 SheBelieves Cup(アメリカ、オーストラリア、コロンビアと対戦)がニールセン監督の初陣となる。「画一的ではなく、様々な特徴を持った選手を集める」と選手選考の基本方針を明かし、「(2月時点で)アメリカはリーグがスタートしていないので、選手を見に行けないが、だからといって選ばないわけではない。その時点で準備できている選手にSheBelieves Cupでプレーしてもらう。クラブ状況などもあるので、そうではない選手はまた別の機会に選ぶ可能性がある。ここで呼ばれなかったからといって、以降も外すということではない」と、まずはスカウティングを進めてチーム作りをしていくと話している。