投資信託は、運用方針の違いによって主に「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分けられます。これから投資信託を始めようとしている方には、これらの違いやどちらを選べばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、インデックスファンドとアクティブファンドの特徴やそれぞれに向いている人、初心者におすすめのファンドについて解説します。

■インデックスファンドとアクティブファンドの違い

インデックスファンドとアクティブファンドは、運用目標や組入銘柄、コストなどにおいて違いがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

<インデックスファンド・アクティブファンドの特徴>

・運用目標

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、あらかじめ定めた目標(ベンチマーク)に連動する運用成果を目指すファンドです。特定の指数と似た値動きをすることで市場並みの運用成績が期待できますが、基本的には市場の平均を大きく超えるリターンは得られません。

一方、アクティブファンドは特定の指数を上回る、または指数にとらわれずにリターンの獲得を目指すファンドです。「ファンドマネージャー」と呼ばれる運用のプロが、市場や投資先企業を徹底的に調査・分析したうえで組み入れる銘柄を決定します。

・組入銘柄

インデックスファンドの場合、組み入れる銘柄は特定の指数の構成銘柄と同様です。一方、アクティブファンドの場合、ファンドマネージャーが国内外の企業の経営陣やIR担当者を訪問するなど、さまざまな方法で調査・分析を行い、組入銘柄を決めます。

株式市場においては、今後成長が見込まれる銘柄や、企業の本質的な価値が適切に評価されていない、割安な銘柄も存在します。多くの中からそうした銘柄を選別して投資を行うのが、アクティブファンドの特徴です。

・コスト

ファンドマネージャーが投資先の調査・分析を行うアクティブファンドに比べ、インデックスファンドは信託報酬(投資信託を保有している間、支払い続ける手数料)などのコストを低く抑えられる傾向にあります。これは、インデックスファンドは指数に基づくポートフォリオ(所有する金融商品のラインナップ)が構築されるためです。

一方、アクティブファンドは調査や分析等を行うための人的コストがかかり、指標に合わせてあまり手間をかけずに組入銘柄を決めるインデックスファンドよりも手数料が高くなる傾向にあります。

・保有資産の機動性

指数に連動するように運用が行われるインデックスファンドに比べ、アクティブファンドは機動的な保有資産の入れ替えが可能です。アクティブファンドの場合、ファンドマネージャーが市場の変動要因に応じ、柔軟・即座にポートフォリオを調整できます。たとえば下落局面においては、ネガティブな影響を回避するための戦略をいち早く取ることができるのです。

・その他

インデックスファンドは市場全体に投資できるという特徴を持ち、アクティブファンドはテーマや目的ごとの商品の種類が豊富という特徴があります。また、インデックスファンドは株価指数などをベンチマークにしているため、日々の経済ニュースなどで値動きを追いやすくなっています。

<インデックスファンドとアクティブファンドのメリット・デメリット>

・インデックスファンドのメリット・デメリット

インデックスファンドは、幅広く市場全体に分散投資でき、値動きがわかりやすい点がメリットです。また、長期運用するにあたり、コストが安く抑えられている点も利点といえます。

一方のデメリットは、基本的には指数以上のリターンは見込めないところです。また、特定の指数に連動するよう設計されているため、指数が存在しないテーマに沿った投資はできません。そして、安定的な印象のあるインデックスファンドですが、勢いのある市場などに引っ張られて値動きが大きくなる場合がある点にも注意が必要です。

・アクティブファンドのメリット・デメリット

アクティブファンドのメリットは、指数を大きく上回るリターンを得られる可能性があるところです。また、将来性のある企業や特定の分野に集中的に投資するなど、自由度の高い投資ができる点も魅力でしょう。

一方のデメリットは、運用にかかる信託報酬が比較的高いものの、リターンがインデックスファンドを下回る可能性がある点です。指数に連動するのではなく、独自の基準で組入銘柄を決めている以上、指数を大きく上回ることもあれば、下回るリスクもあります。アクティブファンドを選ぶ際は、長期的な実績などを確認し慎重に選ぶ必要があるでしょう。

■インデックスファンドとアクティブファンドはどちらが良い?

インデックスファンドとアクティブファンドの特徴やメリット、デメリットがわかっても、実際に選ぶとなればどちらに決めるべきか迷いますよね。次に、それぞれどのような人に向いているのかご紹介します。

<インデックスファンドが向いている人>

インデックスファンドは、低コストで投資したい人、また中長期での投資を考えている人に向いています。投資信託の運用中には信託報酬が発生しますが、運用期間が長くなるほど信託報酬の影響は大きくなります。そのため、中長期の投資をする場合、手数料が低めに設定される傾向にあるインデックスファンドの方が、効率的に運用できる可能性があります。

また、市場全体に投資したい人、値動きのわかりやすさを求めたい人もインデックスファンドが向いていると言えます。インデックスファンドは日経平均株価などの指数に連動するよう設計されていますが、これらの指標はテレビやインターネットなどで見かける機会が多いでしょう。ベンチマークの値動きが確認できれば、インデックスファンドの値動きも把握できることになります。

特に初心者は、値動きのわかりやすさを重視したい人も多いのではないでしょうか。さらに、手軽に幅広い銘柄に分散投資できるインデックスファンドは、「市場平均並みのリターンが得られれば充分」と考える人にも向いています。

<アクティブファンドが向いている人>

アクティブファンドは、より高いリターンの獲得を目指したい人に向いていると言えます。基本的には、インデックスファンドと比べてリスク・リターンともに大きくなる傾向にあるため、リスクを許容して大きなリターンを得たいと考える人向けの投資信託です。

また、多様な種類の中から自分の好みに合ったものを選びたいという人もアクティブファンドが向いているでしょう。

■インデックスファンドを選ぶ時のポイント

インデックスファンドとアクティブファンドにはそれぞれメリットやデメリットがあり、向いている人の傾向にも違いがあります。ただし、「値動きがわかりやすい」「コストが比較的安い」「市場に幅広く分散投資できる」といった点から、投資初心者にはインデックスファンドがおすすめです。

では、実際にインデックスファンドを選ぶ際は、どのような点を意識すればいいのでしょうか。

1.目標にする指数

インデックスファンドを選ぶ時は、まず「目標にする指数はどれにするか」を決めましょう。たとえば、株価指数に連動した運用成果を目指したい場合は、日本国内なら日経平均株価やTOPIX、米国ならS&P500やNYダウなどがあります。また、国内・海外の債券指数に連動したものもあります。

特に、インデックスファンドには株価指数との連動を目指す商品が数多く揃っています。ニュースや新聞、インターネットから手軽に情報を得たい人には、株価指数に連動したインデックスファンドがおすすめです。

2.コスト

次に考えたいのが、「コスト(手数料)」です。投資信託の主なコストには、「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つがあります。このうち信託財産留保額は、投資信託を売却(解約)する際に徴収されますが、投資信託によって差し引かれるものと差し引かれないものがあります。

購入時手数料とは、投資信託を購入する時に支払う手数料です。申込価額の数%をその費用として支払います(まれに換金時に支払うこともある)。中には、購入時手数料の支払いがない「ノーロード」と呼ばれる投資信託もありますので、費用を抑えたい場合は検討してみましょう。

投資信託の保有中にかかる信託報酬は、投資信託ごとに年率〇%のように料率が定められており、それを日割換算した金額が日々差し引かれています。日々の負担は少額ですが、長期で運用するほど信託報酬による負担は大きくなるため、商品を選ぶ際は注目しましょう。

目標にする指数が同じ商品でも、ファンドによってかかる手数料は異なります。特に、長期運用の場合はコストによる影響が大きくなりますので、手数料をきちんと比較して選ぶことが大切です。

3.純資産総額の規模

純資産総額とは、ファンド全体の資産規模を表すもので、金額が大きいほど投資家からの資金が集まり、支持を得ているファンドと考えられます。純資産総額が大きいファンドは、充分な分散投資ができる、より充実した運用体制が取られている可能性が高いなど、他のファンドに比べて何かしら優れた点がある場合が多いため、おすすめです。

■自分の投資スタイルに合う投資信託を選ぼう

インデックスファンドはコストを抑えながら市場に幅広く投資でき、値動きがわかりやすいというメリットがあります。一方のアクティブファンドは、指数を上回るリターンを得られる可能性がある、個性豊かなファンドの中から好みのものを選べるといった利点があります。どちらが優れているということはありませんので、自分の投資スタイルに合う投資信託を選びましょう。

ただし、投資初心者の方にはインデックスファンドがおすすめです。インデックスファンドを選ぶ際にもポイントがありますので、ぜひこの記事を参考に選択してみてください。