12月11日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル 上席執行役員の宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「最高値を更新中の“ビットコイン”と“2024年のクリスマス商戦”」というテーマでお話を伺いました。
◆ビットコインが最高値を更新中 その理由は
浜崎:宗さまには、「最高値を更新中の“ビットコイン”と“2024年のクリスマス商戦”」についてお話していただきます。
やしろ:まずはビットコインについてですが、本当にずっと上がり続けていますね。
宗正:先月のこの番組でも、「ビットコインが上がりそうだ」という話をしましたよね。そう話した理由は、アメリカ大統領に再選したトランプ氏がビットコイン推進派だからです。その後、史上最高値を更新中なのですが、実は大統領選以降に4割強も上昇しているんです。アメリカ株の動きと並び、「トランプトレード」とも呼ばれる動きになっています。
トランプ氏は、選挙期間中に「アメリカをビットコインの超大国にする」と宣言しました。例えば金(ゴールド)は、数多くの国々で資産として備蓄されていますが、アメリカでもビットコインにそうした資産としての役割を担わせたいという意味です。
やしろ:実際の金と同等の扱いにするということですか。でも、金とビットコインの間には紙幣が存在していますよね?
宗正:紙幣は国や中央銀行がその価値を保障して流通するものなので、備蓄する資産とは異なります。紙幣や硬貨と違って、金(ゴールド)自体は流通しませんが、どこの国でも交換できますし、金そのものに価値がありますよね。
それと同じ役割を担わせたいと、トランプ氏は言っています。しかもアメリカが始めると、その影響は世界中に波及しますからね。
やしろ:宗さまは1ヵ月前からビットコインが上がると言っていましたが、実際にそうなった、そうなっている……という話ですね。暗号資産の代表格である「ビットコイン」。名前は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。ちなみに以前は「仮想通貨」と言っていたと思うのですが、「仮想通貨」という言い方は、もう一般的じゃないのでしょうか?
宗正:今は「暗号資産」という呼び方をしますね。「仮想通貨」と呼んでいた時代に、金融当局から「あれは通貨じゃないだろう」との指摘が入って変わりました。呼び方が変わっただけで、もの自体は同じです。
やしろ:それでは、暗号資産の特徴を教えていただけますか?
宗正:大きく4つあります。
1つ目の特徴はデジタル通貨であること。分かりやすいので「通貨」という言葉を敢えて使いますが、デジタルデータに変換された通貨です。似ているものに「電子マネー」がありますが、電子マネーは日本円という(価値の)裏付けがありますし、暗号資産のような価格変動はありません。
2つ目の特徴は、暗号資産には国や中央銀行のような公的な保証がありません。例えば1万円紙幣は、紙切れに「1万円」と印刷されているだけで、あくまでもただの紙なんですよね。ただその価値を国や中央銀行が保証しているので信用力があります。暗号資産には、この公的な保証がありません。
3つ目の特徴は、暗号資産はインターネット上で分散管理されている点です。誰がどれくらいの暗号資産を保有しているのかという情報は、インターネット上の不特定多数の端末に分散して記録されています。つまり仮に誰かが一部を改ざんしても、分散管理をしているのですぐに分かります。これが暗号資産の信頼性につながっています。
逆に、大金が入った金庫があるとしますよね。誰かがその金庫を盗んで持っていってしまったとして、見つからなかったら終わりです。ところが暗号資産は分散管理されているため、見つかる。安全性は高いということです。
4つ目の特徴は、「ブロックチェーン」という仕組みです。暗号資産の情報をいくつかのブロック(塊)にしてチェーン(鎖)でつないでいる。塊が仮に移動しても位置が特定できる。改ざんされてもすぐに見つかるという話です。ブロックチェーンは暗号資産特有の技術です。
◆暗号資産が日本で普及しないのはなぜ?
やしろ:アメリカをはじめとして諸外国で広がりを見せる暗号資産ですが、日本では今ひとつ普及していないように感じます。出始めた頃には「数年後にはどのお店でも暗号資産が使える」というような話だったのが、ちょっとストップした感じがあります。これについては、実際のところどうなのでしょうか?
宗正:まず暗号資産にはデメリットがあるんです。価格変動が大きい、即時決済が困難、そしてハッキングや紛失のリスクがある。ただこの3つのデメリットは万国共通です。日本固有の問題として、暗号資産の売買益が雑所得として扱われる点があります。最高で55%の税金が課せられます。株式や投資信託などの売買益は、一律で20.315%課税されます。金融所得課税のお話は以前もさせていただきましたが、株や投資信託と比べるとあまりにも税負担が大きい。
そしてこれも意外に影響があると思うのですが、売買益が20万円を超えたときには確定申告が必要なんです。暗号資産がどれくらい日本で普及していないかというと、日本の人口に占める暗号資産の保有割合はまだ4%程度です。
やしろ:25人に1人ぐらいなんですね。
宗正:はい。数で言えば、保有上位のインドや中国、アメリカの約10分の1です。12月に入ってすぐの衆議院本会議で、暗号資産の申告分離課税導入の是非について議論がありました。株や投資信託と同様の税制導入の是非についての議論なのですが、石破首相は「国民の理解が得られるのか丁寧に検討する必要がある」と答弁しました。石破さんらしいですよね。
やしろ:どういう意味に取ったらいいんでしょうかね、これは。
宗正:暗号資産の税制が変わるのか、変わらないのか不明。変わるとしても、これはかなり時間がかかりそうだなという気がしますよね
やしろ:じゃあしばらくは、今のままなのかもしれないですね。トランプ氏は「アメリカをビットコイン超大国にする」と言っていますし、アメリカは税率を今よりも下げる方向なのでしょうか?
宗正:普及のために一番いい形にしていくでしょう。トランプ氏は来年の1月から再び大統領に就任しますけど、彼が信頼されているのは「有言実行」だからです。言ったことは絶対にやる。どこかの国の政治家とはかなり違います。
◆みんな今年は何を贈り合っている? クリスマス商戦に注目
やしろ:そして、今の時期はクリスマス商戦の真っ只中です。経済活動や景気に与える影響は、やはり大きいのでしょうか?
宗正:大きいですね。クリスマス商戦は、11月の第4木曜日の感謝祭(サンクスギビング)あたりから大々的なセールが始まり、「ブラック・フライデー」「サイバー・マンデー」などを経て、クリスマス本番……と続きます。1年のなかで一番ものが売れる時期ですし、パーティーなどの飲食も盛大ですよね。
日本の景気は半分以上が個人消費で決まるという話を何度かしてきましたが、特にアメリカの場合はその動きが顕著で、クリスマス商戦の前後を含めた2ヵ月間で、年間の小売売上のおよそ6割を占めるといったデータもあります。
アメリカのGDP、国内総生産は世界全体のGDPのおよそ2割を占めます。私が若い頃、ファンドマネージャーやアナリストとして運用の現場にいた頃は、今の時期はクリスマス商戦の動きしか追っていませんでした。それくらい世界経済には影響があります。
やしろ:なるほど。今年のクリスマスプレゼントに見られる傾向などは、あったりするのでしょうか?
宗正:さまざまな調査がありますが、全体的な傾向として、子ども世代、小学生くらいまでは知育玩具が流行っていますね。音声クイズに答える絵本、プログラミングができるロボットなどです。
それからティーンエイジャー層は、個性重視のファッションや最新ガジェットです。ガジェットは、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチですね。20代から30代は、実用性とトレンドを兼ね備えたファッションアイテム。例えば今のようなキャッシュレスの時代だと現金を持ち歩かないので、財布にしても薄型で小型、でも上質なレザー製で……などです。そこから上の層になると、暮らしをサポートするギフト。心地よさ重視ですね。高機能マッサージガンなども人気です。
やしろ:なるほど。巨大なぬいぐるみを贈るとか、そういう時代じゃないんですね。子育てにしても、実用性があるものをプレゼントしたり、他の世代もみんなが使うものを……という贈り物が人気なんですね。
やしろ;クリスマスの経済効果は、金額にするとどれくらいなのでしょうか。
宗正:プレゼント代やパーティーなどの飲食費といった直接効果のほか、クリスマス旅行にかかった費用やイベント参加費などの間接効果を加えると、ざっくり1兆円くらいです。バレンタインデーやホワイトデー、ハロウィンなどのおよそ10倍です。
そして年末年始、お正月の初詣効果もクリスマスの経済効果の次くらいに大きいんです。年末年始は経済効果的にも、大型イベントが続く時期なんですよね。
やしろ:公務員の方のボーナスがけっこうよかったというニュースもありましたし、ぜひ余裕のある方はたくさん使っていただいて、経済を回していただきたいですね。僕らも他の方の給料が上がったと聞くと、「うらやましい」という気持ちが生まれちゃうこともありますけれど、やっぱり儲かった人たちに使ってもらって、お金が回れば回るほど自分たちも景気がよくなりますから。
宗正:この10月からは最低賃金も上がりましたからね。時給換算で、全国加重平均1,055円になりました。過去最高額です。
やしろ:いいですね。「得手に帆を揚げる」じゃないですけれど、いい風が吹き始めているときに景気がよくなるような話をしていきたいですね。
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もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/