みなさんから寄せられた新NISAに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。今回は「株価下落によって、個別株で25%ほどマイナスが出ている場合、売却するべきか迷っている」という女性からの質問です。
◆Q. 保有している個別株が、株価下落で約25%のマイナスになっていて、どうしようか悩んでいます
「投資を始めたばかりの頃に買った個別株が、10年ほどで約25%のマイナスになっています。保有し続ける余力があり、配当も約4%出ているので、売却せずになんとなくそのまま持っています。深野先生なら、どうしますか? また、旧NISAで購入した個別株がまもなく非課税期間を終了します。利益がある程度出ている場合、その銘柄を特定口座に移管して保有し続けるか、それとも売却するか迷っています」(みちさん/53歳/女性)
◾️金融資産の内訳:現金預金350万円/リスク資産9700万円
◆A. 「配当でマイナス分をカバーできているのであれば、売却を考えてみてもよいのでは」(深野さん)
10年で約25%のマイナスですよね。もしその間、配当が年4%出ていたのであれば、トータルでは15%のプラスになっています。
少なくとも、配当で損失分をカバーできていて、これ以上の上昇が見込めないのであれば、売るという選択もありだと思います。まずはこの10年間の配当金を計算し、マイナス分をカバーできているかどうか、確認してみてください。
また、旧NISAで購入した個別株の非課税期間が終了する場合、そこそこの利益が出ているのであれば、旧NISAで非課税期間が終了するまでに売るか、それとも売らずに特定口座に移すかの選択になります。
例えば、旧NISAで100万円で買った個別株が、現在120万円になっているとします。非課税期間が終わるまでに売却した場合、20万円の利益に対して税金はかかりません。
一方、売却しない場合は、非課税期間が終了すると自動的に特定口座に移管されます。この場合、実際に100万円で購入していても、特定口座における取得価格は120万円(移管された時点の価格)になります。そして、120万円から値上がりした分にだけ、税金がかかります。
要するに、これまでの含み益に対して課税されないわけです。ですので、保有している銘柄の株価が今後も上がると見込んでいるのであれば、特定口座に移して保有してもいいと思います。逆に、あまり株価が上がる見込みがないと感じるのであれば、旧NISAの非課税期間が終了する前に、売ってしまうのも一策ではないでしょうか。その銘柄の将来性を踏まえて、どうするか決めるのがよいと思います。
あとは余計なことかもしれませんが、金融資産の内訳が少しリスク過多になっているのが気になります。現預金の割合をもう少し増やしても、よいかもしれませんね。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
文=All About 編集部