スコラ・コンサルトは12月16日、「組織に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は2024年10月18日~10月22日および11月14日~18日、全国の社員100名以上の企業の一般職・管理職・役員6,186人を対象にインターネットで行われた。
若手社員と40代~60代との「年代の壁」が浮き彫りに
「あなたの仕事に対する価値観について、あなたの考えに当てはまる選択肢をすべて選んでください」と質問したところ、20代が他の年代より比較的多く回答した項目は、「上司からのフィードバックは頻繁に受けたい」(14.4%)、「転職を視野に入れたキャリアアップを考えている」(14.5%)、「対面や電話より、オンラインやチャットの方がコミュニケーションしやすい」(9.8%)だった。
若い年代ほど回答が少ない項目は、「コミュニケーションスタイル」「仕事や組織への貢献意識」「柔軟性や失敗を恐れない姿勢」の3種類に分類できる。
コミュニケーションスタイル
若い年代ほど、仕事に関する人と対等に・積極的にコミュニケーションをとり、積極的な発言の割合や、懇親の機会の意義を認める割合が低い。
仕事や組織への貢献意識
若い年代ほど、組織や顧客への貢献意識が低く、プライベートの時間も仕事に費やす割合が低い。
柔軟性や失敗を恐れない姿勢
若い年代ほど、効率の良いやり方を柔軟にとる割合、失敗を恐れずチャレンジする割合が低い。
これらは若い世代ほど割合が低くなっているため、40代~60代の価値観と、20代・30代の若手世代の価値観の違いが「年代の壁」として表れている。
管理職・役員が20代社員のマネジメントで感じる困難は?
40代~60代の管理職に、「あなたは、現在、20代の若手社員をマネジメントする際に、どのような困難を感じたことがありますか」と質問したところ、「『パワハラ』にならないよう、部下と接する際に気を遣うことがある」(37.0%)、「『セクハラ』にならないよう、部下と接する際に気を遣うことがある」(25.9%)、「部下の中でも価値観が多様であり、一律の対応が難しい」(25.4%)、「仕事のプレッシャーに対してストレスを感じやすい部下がいる」(24.7%)、「モチベーションを高めることが難しい部下がいる」(23.7%)という結果になった。
40代~60代の管理職・役員が20代の頃に体験したこと
40代~60代の管理職に「20代だった頃、職場で体験したこと」を尋ねた。結果は、「上司や職場の人とお酒を飲みに行く機会が頻繁にあった」(46.7%)、「職場では残業や休日出勤が当たり前だった」(46.7%)、「喫煙所で雑談している人がよくいた」(45.0%)、「困難な仕事を乗り越えて成長できた」(40.7%)、「上司や先輩の『パワハラ』が当たり前にあった」(35.8%)となった。
「40代~60代の管理職・役員が20代の若手社員をマネジメントする際に感じる困難」と、「40代~60代の管理職・役員が20代の頃に職場で体験したこと」を対比した。40代~60代の管理職・役員が20代の頃と現在とでは、職場環境や社員の価値観には大きなギャップがあることが分かった。
40代~60代の管理職・役員が20代社員をマネジメントする際に感じる困難
「モチベーションを高めることが難しい部下がいる」(23.7%)
「論理的な説明をしないと納得しない部下がいる」(10.4%)
「『セクハラ』にならないよう、部下と接する際に気を遣うことがある」(25.9%)
「仕事のプレッシャーに対してストレスを感じやすい部下がいる」(24.7%)
「ワークライフバランスの風潮により部下に残業や休日出勤を命じにくい」(13.7%)
40代~60代の管理職・役員が20代の頃に職場で体験したこと
「上司から一方的に指示・命令が下され、部下は口を挟めなかった」(21.0%)
「上司や先輩の『パワハラ』が当たり前にあった」(35.8%)
「職場に女性社員が少なかった」(25.9%)
「上司から仕事で厳しいこと・難しいことを要求されたことがある」(31.3%)
「職場では残業や休日出勤が当たり前だった」(46.7%)
世代が違う人と接して驚いた・困った経験
「あなたが仕事をしていて、世代が違う人と接する中で最も驚いたこと・困ったことは、どのようなことですか」と質問した。下記コメントの右にある「(20代→50代)」は、20代の回答者が50代の人と接する中で驚いたこと・困ったことであることを表す。
各年代が40代~60代と接して驚いた・困った経験
「自分の意見を押し付けてくることに困った」(20代→50代)
「タイパが悪い資料作りを要求される」(20代→50代)
「管理職にリモートワークはサボる人がやるものと言われて驚いた」(40代→50代以上)
「電話をとらない。女性の仕事と思っているようで、出ない」(40代→60代)
「会社に忠誠を尽くせや会社のお陰とか言う言動にはひく」(30代→50代)
「仕事とプライベートを分けない、休みの日でも仕事を優先する」(20代→50代)
「20代の女性職員に個人的な連絡や、食事の誘い、性的な発言」(20代→40代・50代)
「Excelの使い方が分からず、数式を使わずにすべて入力していた」(20代→50代)
40代~60代へのポジティブな評価
「作業効率・生産性がアップするアドバイスをくれた」(30代→40代)
「精神的な安定性に驚いた」(30代→50代)
各年代から20代・30代と接して驚いた・困った経験
「先輩に仕事を押し付けて自分は定時で帰る姿に驚いた」(20代→20代前半)
「先輩との会話の最中の相槌として『うん』という子が多い」(20代→20代前半)
「無断欠勤、欠勤連絡をLINEでする」(40代→20代)
「社内のルール上決められている手続きを『タイパが悪いからやりたくない』と拒否」(30代→20代)
「きびしくすると直ぐやめてしまう」(50代→20代)
「責任者になることを極力避けようとする傾向がある」(50代→30代)
「新人が突然退職代行で会社を辞めた」(50代→20代)
「指示待ちで自分の考えで業務を進めようとする姿勢がない」(40代→20代)
「カラコン、ネイルアートで出社するのは、どうなんだろう」(50代→20代)
「新入社員が会社の飲み会に参加しない」(60代→20代)
20代・30代へのポジティブな評価
「自身のキャリアプランをしっかり考えているんだと驚いた」(50代→20代)
「自分の頃よりもはるかにスマートに人と付き合おうとしている」(60代→20代)