「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える。」をパーパスに、国内最大規模の総合デジタルファームを誇る電通デジタル。

そんな同社で、昨今、注目されているのが2018年より実施されている「DD Career Jump!」制度です。これは「社員の成長」と「会社の成長」というコンセプトに基づき、本人の意思を尊重した自律的なキャリア形成を目的とし、導入された“社内公募制度"。年間で、約20~30人が利用しているそうです。

実際に「DD Career Jump!」制度を利用した社員の声を聞くため、ストラテジー部門のプランニング1部に所属する坂内美咲さんにお話を伺いました。

  • 電通デジタル ストラテジー部門 プランニング1部 第1グループの坂内美咲さん

■社内公募制度「DD Career Jump!」を利用したきっかけ

──坂内さんの現在の部署での業務内容を教えてください。

ストラテジックプランナーとして、担当クライアントにおけるコミュニケーションの全体戦略の提案をしております。3年ほど前に現部署に異動し、1年前から本格的に取り組んでいます。当時29才のタイミングでした。

具体的には、たとえば商品を売る時に、“誰をターゲットにして、どんなメッセージを発信することで、どう気持ちを動かすか”について、電通グループが持っている膨大な生活者データや知見を使い、最適な策をロジカルに導いていくプランニング業務を担当しています。

──「DD Career Jump!」制度を利用してみようと思ったきっかけは何でしたか?

新卒で入社し、メディアプランナーという職種を4~5年ほど経験しました。年齢で言えば26歳から27歳くらい、いわゆるアラサーに入ってきたタイミングで、キャリアへの漠然としたモヤモヤを感じたことがきっかけです。何か不満があったというわけではありません。ですが、このままでいいのかな? と考える時間が増えるなかで、新卒社員のトレーナーを任され、目の前で毎日着実に成長していく姿を目の前で見たとき、自分と比べてしまったことが大きかったと思います。

そしてもう一つのきっかけは、優秀なストラテジックプランナーとの出会いでした。

──どのような場面で、優秀だと感じたのでしょうか。

当時はコロナ禍ということもあり、打ち合わせもリモートで行われていたのですが、他のグループ会社含め20人近くいるような規模の大きい案件での出来事でした。

どのようにプロジェクトを進めていこうかという段階で、そのプランナーの「こんなものを考えてきました」という提案に感銘を受けたんです。わかりやすく綺麗に、誰が見ても理解できるだけでなく、納得せざるを得ない提案でした。打ち合わせの空気がパッと変わるのを目の当たりにしました。

  • あるプランナーの提案に心が動いたという

──その出会いから、実際に「DD Career Jump!」制度を利用して部署異動を希望されたんですね。転職ではなく、社内で部署異動を選んだ一番の理由はなんでしたか?

社員である私が言うと少し胡散臭くなってしまうかもしれませんが、電通デジタルという会社が好きだったから……でしょうか。それに尽きると思います。

──具体的に、お好きだと思う電通デジタルの魅力をお聞きしていいですか?

仕事を楽しみながらこなす尊敬できる人がたくさんいること、新卒も中途も、若手もベテランも伸び伸びと働くことができる環境、出会える案件の豊富さ、提供できるサービスレベルの高さなど、挙げたらたくさん浮かびます。

私は、人の数だけある働き方に対する考えの違いに、なるべく寄り添おうとしてくれる空気を感じることができます。ここだったら、長く自分らしくキャリアを積んでいけるのかなと思えたことが、一番大きいです。

■未経験から新しい職種にチャレンジ

──坂内さんはもともとのメディアプランナーから、ストラテジックプランナーになったわけですが、未経験からのチャレンジには勇気が必要だったと思います。

おっしゃる通りで、ある程度、年次が経ってからのチャレンジだったのでハードルが高いのかなと思っていました。しかし「DD Career Jump!」制度を知っていくなかで、未経験であっても、行動を起こしたい人に対してしっかり機会があることはすごくいいなと思ったんです。人事の方のサポート体制が充実していることで安心できましたね。

希望部署とのマッチングもよく見ていただきました。さまざまな部署の募集要項を見ていると、楽しそうな部署はたくさんあるし、自分の知らなかったような会社のカバー領域も再認識できたので、すごくいい経験だったと思っています。

──では、現在所属するストラテジー部門のサポート体制を教えていただけますか?

先輩プランナーとペアを組み、1年間かけて独り立ちを目指していくことを目標にサポートを受けています。四半期ごとの目標設定や振り返り、実案件を通じた指導もしていただけます。

もっとも安心できたのは、業務上の不明点の質問をしやすい環境を作っていただけることです。経験豊富な先輩からの、日々の細やかな指導は非常にありがたいですし、最終的に目指したい姿が可視化されている点も、安心して目の前の業務に集中することができ良い点だと感じています。

──ペアを組む先輩トレーナー以外の方との部署内交流はありますか?

部署の中でも、業務上いろんな方と組むことは積極的に行われています。トレーナーの方以外からも、いろいろなスキルを学んだり、メンタル的なサポートをしていただいていますね。いろんな方に教えてもらえる環境はありますが、私が個人的にいいなと思っているのは、“いざという時には誰に聞いたらいいんだろう?”という場面で、絶対的に相談できるトレーナーがいることです。親身になってくれる人が必ずいる、その安心感はすごくありますね。

実際に、抽象度の高い与件に対して何をどんなストーリーで持って行ったら良いか、なかなか思い浮かばず作業に煮詰まっていた際、参考になる具体事例も交えながら思考のステップのヒントをいただき、突破口を見つけることができたことが度々ありました。すべてを教えてもらうのではなく、あえて自分で考える余白を残してもらうことで、ストラテジックプランナーとして成長ができるよう見守ってくれていると感じています。

──とても充実している様子が伺えます。「DD Career Jump!」制度を利用する前に思い描いていたような働き方はできていますか?

そうですね。私も、この部署に異動して約3年が経ちます。当時はまた1からのスタートになるということが、思っていた以上にスキル面・精神面、双方で大変ではありましたが、今は自分がやりたかった分野のスキルを身につけられる喜びや楽しさはあります。

──ちなみに、印象に残っている提案などはありますか?

とあるブランド様への提案で、実施できることが限られていたのですが、代理店の価値をどう出すか? 非常に悩みながら取り組みました。生活者の気持ちや市場の動きを丁寧に掘り下げ、目の前のプロモーションにすぐ活かすことだけをゴールにするのではなく、中長期視点(難しいことは重々承知しているが、将来的にこうあるべき、そのために理想としてはこういうことができるとよい)を意識した内容を持って行ったところ、クライアントから非常に喜んでいただけて、嬉しかったです。

現在は本格的にコミュニケーションプランニングを任されるようになり、憧れていた姿に少しずつ近づいている実感を感じることができているので、思い切って飛び込んでよかったです。

■今後の未来像

──今後はどのようなスキルを伸ばしていきたいと思っていますか? 働き方についての未来像や、現在の考えを教えてください。

常に、自分が今求められているものは何かということを考え、クライアント、その向こうにいる生活者に寄り添ったコミュニケーション提案をできるようになることです。ストラテジックプランナーという職種は、答えのないことにひたすら向き合い続けるタフさが求められていると思っています。

そのため食わず嫌いをせず、引き続き視野を広く持ちながら働いていきたいですね。どうせ仕事をするなら、楽しくワクワクすることをやりたい……。もしかしたら明日には嫌になっているかもしれませんが(笑)、何事にも面白がる気持ちは忘れずにいたいですし、それが誰かのためになったら、それ以上に嬉しいことはありません。

──最後に、坂内さんの興味がある分野や、好きなことをお聞きしたいです。

現在はコスメやスキンケア業界を担当させていただくことが多いですが、今までの人生を振り返ると、私は推し活に支えられてきたと思っていて。エンタメや推しに関わる業務ができたら嬉しいです。

「車をやりたい」「飲料をやりたい」と言って、実際に任された方もいますし、上司からも「やりたいことは口に出して言ったほうがいい」と言われるんです。もちろんクライアントさんあっての私たちなので、スキルやクオリティは重視したうえで、ですが。私もいつか自分の好きなものに携わり、それが少しでも世の中や誰かためになったらいいなと思います。

(撮影/曳野若菜)