アビスパ福岡は16日、金明輝氏の新監督就任会見を実施した。
クラブに史上初となる国内3大タイトルのルヴァンカップをもたらした長谷部茂利監督が、今シーズン限りで退任したアビスパ福岡。その後任として、FC町田ゼルビアでヘッドコーチを務めていた金明輝氏を招へいした。しかし同氏は、かつて指揮したサガン鳥栖時代の2021年に、トップチームの選手やU-18所属の選手、チームスタッフに対する暴言・暴力行為がパワーハラスメント行為にあたると認定され、S級ライセンスからA級ジェネラルコーチングライセンスへの降格処分を科されていた。
今年2月にS級ライセンスを再取得したものの、金明輝氏の就任を巡っては、公式でアナウンスされる前から、アビスパ福岡のサポーター団体である『ウルトラオブリ』が声明を発表するなど、大きな騒動に発展していた。
こうした状況も踏まえたアビスパ福岡は16日、金明輝氏の新監督就任会見を実施。出席したクラブ代表取締役会長の川森敬史氏は、招へいについて「クラブとしては、過去の過ちは決して容認できるものではありませんが、反省して再出発しようとしている金明輝新監督を信じ、チームがさらに進化し、一体感を持って次のステップを目指し挑戦していくことについて、来シーズンともに歩むことを決断しました」とコメントした。
また、クラブが基本理念として掲げている『子供達に夢と感動を。地域に誇りと活力を』に触れ、「監督自身が過去をしっかりと反省し、努力を重ねてきています。過去の間違いを乗り越える過程も、また子供達にとって大切な学びや刺激になると信じています。チームスポーツであるサッカーを通じて、チーム全体が新たなことに挑戦し、前進し続ける姿勢を子供達に見てもらい、何かを感じてもらうことも大事なことだと確信しております」とした上で、パワーハラスメント行為の再発防止の取り組みについては以下のように続けている。
「コンプライアンスの問題が発生した場合に、迅速に対応する姿勢は何も変わっておりません。パワーハラスメントが起きないように、権限の集中や過度な責任追及ではなく、クラブに所属する誰もが自らのミッションを遂行する上で、業務に集中できる環境に向けて、体系的に取り組んでいきます。弁護事務所を窓口とした外部通報制度も2020年から導入しています。職員はもちろん、トップチームの選手も利用できるものです」
加えて、チーム強化部長の柳田伸明氏も「強化部の仕事は、練習やミーティング、遠征時にチームに帯同することで、そこで監督やスタッフ、選手とコミュニケーションを取りながら、問題なりそうなことがあれば、その都度、素早く対応してきたと思っています。今までやっていたことをそれ以上の意識でやっていくことが大切」とコミュニケーションの重要性を強調した。
一方、S級ライセンス再取得後初の監督就任となる金氏は「さまざまな意見を見聞きし、そういったものを真摯に受け止め、チーム、選手、クラブスタッフさんとの一体感を大事にしながら、選手やスタッフをリスペクトしながら、長谷部前監督が築き上げたチームにより良いものを上乗せてして、J1の上位で戦っていけるように、精進したいと思います」と決意を固めた。
さらに、「自分が指導したタイミングでそのような行為が認定され、自分自身の過ちはしっかりと受け止めてます」と改めて反省を述べつつ、「監督の復帰に際して、さまざまな意見、見解があると思いますが、それも真摯に受け止めて、これからの言動で信頼を取り戻していければと思います。選手たちも、このような中でもチームに残ってくれたり、新しく来てくださる選手もいるので、彼らと一体感を持って、より強いチームを構築していきたいです」と意気込みを口にしている。