15年間の海外挑戦を終えたGKランゲラック [写真]=兼子愼一郎

 名古屋グランパスを退団したGKランゲラックが、加入が決定しているメルボルン・ビクトリーでのプレーを前に、15年間・3カ国に渡った海外挑戦を振り返った。

 2010年夏にプロキャリアを始めたオーストラリアを出発した“ミッチ”の旅は、ドイツとスペイン、名古屋グランパスを経て、今冬に新章へと突入する。1988年8月22日生まれのランゲラックは現在36歳。これまでにメルボルン・ビクトリー、サウス・メルボルン、ドルトムント、シュトゥットガルト、レバンテ、名古屋グランパスと計6クラブに在籍。ユルゲン・クロップ氏に師事したドルトムント時代には、ブンデスリーガやDFBポカール優勝を経験した他、チャンピオンズリーグの舞台にも立ち、2012-13シーズンの同大会決勝戦ではベンチ入りを果たしていた。

 そして2018年夏、ロッソジャッロのゴールを守りに来日した。欧州トップレベルのシュートストップで数々のピンチを防ぎ、2021シーズンには連続無失点時間(823分)と、1シーズンにおける無失点試合数のJ1記録を“ダブル更新”。在籍7年間で公式戦通算287試合出場は、クラブの外国籍選手歴代最多記録に。また、ルヴァンカップを2度優勝、ベストイレブンを1度受賞、固定性の背番号『1』の3代目継承者、クラブ史上初となる外国籍選手としてのキャプテン就任…。ランゲラックは、偉大なるレジェンドとして名古屋グランパスを去ったのだ。

 年が明ければ、“古巣”メルボルン・ビクトリーに復帰するランゲラック。15年ぶりとなる国内リーグでのプレーを控える中、同選手は15日に自身の公式Instagramにて、心境を綴っている。

「今日は、オーストラリアに戻ってきた日。約15年前、英語からドイツ語への翻訳辞書だけを持って、単身ドイツに渡った。1シーズンだけ頑張ろうという気持ちでね。だけど、それはいつの間にか、1シーズンから15シーズンになっていたんだ。旅の途中でスペイン、そして日本も訪ねた」

「どうなるかなんて想像もつかなかったけど、夢にも思わなかったことの連続だった。その旅路で、僕の人生に関わってくれたすべての方々に感謝したい。またいつか、どこかで再会できることを楽しみにしている」

「今、僕は妻と3人の子供たちと一緒に、決して色あせることのない思い出の詰まったスーツケースを片手に帰国する。またすぐに戻ってくるまで、ありがとう!」

 36歳と、プロキャリアの終盤に差し掛かったのは確かだが、パフォーマンスが衰えていないことはJリーグで証明済み。名古屋グランパスとACLで再会すると誓った約束に向け、ランゲラックの新章が幕を開ける。