東京商工リサーチは2024年12月13日、自社の企業データベース(約430万社)から、2025年に創業(創立)100周年などの「周年」を迎える企業(個人・各種法人を含む)を抽出、分析した。50周年以外は、100年単位でまとめた。

  • 100周年売上上位企業

2025年に周年(50周年および100年単位)を迎える企業は、全国で2万8,743社ある。最古の周年企業は、1125年に源義国により創建されたと伝えられる神社で、婚礼の冠稲荷神社(群馬)の900周年。


次いで、1225年に始まる祇園祭の代表鉾で、祭事運営を行う長刀鉾保存会(京都)が800周年を迎える。400周年は、金沢の酒蔵「福光屋」(石川)、味噌製造「青源味噌」(栃木)など7社がある。


300周年は、化学品製造「竹本油脂」(愛知)など8社。200周年は、化粧品製造の「伊勢半」(東京)など7社。

  • 周年企業数・周年別

周年企業の産業別では、創業50周年は建設業が1万38社(構成比37.5%)で最多。次いで、サービス業他4,826社(同18.0%)、卸売業3,147社(同11.7%)の順。


100周年の最多は、製造業の480社(同24.0%)で、卸売業の395社(同19.7%)、小売業の376社(同18.8%)、建設業の321社(同16.0%)と続く。200周年は、製造業が3社(同42.8%)で最多。300周年は製造業3社(同37.5%)が最多で、ものづくり企業が老舗に多い。


地区別では、50周年は関東の8,929社が最多。次いで、近畿が4,089社、九州が3,515社と続く。各地区の企業数に対する50周年企業の割合(構成比)は最多が東北の0.985%で、最低は関東の0.470%だった。


100周年も最多は、関東の679社だった。次いで、近畿の361社、中部が291社の順。各地区の企業数に対する100周年企業の割合(構成比)は最多が四国の0.077%で、最低は関東の0.036%だった。


都道府県別では、50周年は東京都が2,863社、大阪府が1,923社と続く。各都道府県の企業数に対する50周年企業の割合(構成比)は最多が山形県の1.204%だった。100周年は、東京都の313社が最多で、大阪府161社、愛知県115社、北海道95社の順だった。各都道府県の企業数に対する100周年企業の割合(構成比)は最多が福井県の0.100%だった。

  • 都道府県別周年企業

2025年の創業100年超の老舗企業は、100周年を迎える2,000社が加わり、4万6,601社にのぼる。宗教法人などを除く最古は、社寺建築を手がける578年創業の金剛組(大阪)が業歴1446年で、現存する企業では世界最古といわれる。


次いで、587年創業で華道の名門である「池坊」の池坊華道会(京都)、705年に開湯されギネスにも世界最古の宿と認定された西山温泉慶雲館(山梨)、717年創業の温泉旅館の古まん(兵庫)、718年創業の旅館の善吾楼(石川)と温泉宿が続く。

2025年に周年を迎える企業は、激変の時代を耐え、柔軟に対応しながら幹となる柱がしっかりしている企業だ。戦後復興からグローバル経済に巻き込まれながらも50周年を迎える企業は2万6,719社。60周年は2万4,906社、70周年は1万6,291社と減少していく。第二次世界大戦終結の年に創業された80周年は6,425社と社数は少ない。

業歴100年超の4万6,601社は、二度にわたる世界大戦、不況、関東大震災、オイルショック、バブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルス、物価高騰など、100年に一度の歴史的な不況や災害を乗り越えた老舗企業だ。今、問題になっている事業承継、事業展開などをいち早く乗り越え、名実ともに「老舗企業」を名乗ることができている。

2024年は、コロナ禍が収束し、経済活動も活発化したが、円安や物価高、人手不足などの問題が深刻化した1年だった。2025年の干支である蛇は、脱皮をすることから「復活と再生」を司り縁起が良いとされる。