マイナビの調査で、2024年4月に入社した新入社員が現在、どのような心境になっているかが判明しました。同調査では、入社の前後で勤務先に対する満足度の変化や、転職についての考えなどについても聞いています。
今回は、2024年春の新入社員が入社して半年が経過した現在、勤務先や仕事についてどのように感じているかを確認していきます。
就活生から新社会人へ。「楽」から「学」へ心境が変化し、自身の成長を実感
2024年卒の学生を対象に昨年実施した調査で、「自分の就職活動を漢字一文字で表すと何か」を聞いています。
1位となった漢字は「楽」で、2位に「苦」、3位に「耐」が入っています。苦しい時期があったとしても、就職活動そのものに楽しさを見出して活動を終えた学生が多いことがわかる結果でした。
そんな彼らが新社会人となって仕事を始めてすでに半年が経過。あらためて現在の心境を漢字一文字で表してもらうと、1位が「学」で、2位が「楽」、3位が「忙」となりました。
この漢字を選んだ理由としては、「様々なことを学んで成長していると感じるから」、「一年目は様々なことを吸収して学び続けなければならないと考えるから」などがあげられています。
新しい環境で、忙しさや大変さを実感しながらも、自身の成長を実感しながら生き生きと仕事に取り組んでいる状況がうかがえます。
入社前の企業理解が勤務先満足度の低下を防ぐ
この調査では、就活時の入社予定先企業に対する満足度と、入社半年が経過した時点(10月)の勤務先企業に対する満足度を比較しています。
2024年卒の結果を見ると、入社前より「満足度が上昇した割合」(18.6%)、「変化なし」(41.3%)で、「下降した割合」(40.1%)となっています。
2023年卒と比較すると、下降した割合に差はありませんが、上昇した割合が8.8%から18.6%へ、約10ポイント上昇。その要因として考えられるのがインターンシップでの就業体験です。
同調査では、現在の勤務先のインターンシップに参加したかどうかを聞いていますが、2024年卒は2023年卒よりインターンシップ・仕事体験の参加率が6.5ポイント上昇しています。
今回の調査では、勤務先満足度を5段階で聞いていますが、インターンシップ・仕事体験参加者と不参加者で比較すると、満足度4と5の合計が不参加者の場合は合計が77.2%なのに対して、参加者の場合は81.4%と、不参加者より4.2ポイント高くなっています。
インターンシップ参加日数や体験内容も勤務先満足度に影響
インターンシップ・仕事体験の参加経験と勤務先満足度の関係については、参加日数やプログラム内容も影響するようです。
まず、現在の勤務先満足度を参加日数別に整理してみると、満足度4と5の合計が、2日以上が83.1%、1日が78.7%、不参加が77.2%となっており、2日間以上の日程で参加した方の満足度が高い結果となっています。
また、勤務先満足度をプログラム内容別に整理すると、満足度5については、グループワーク(企画立案、課題解決、プレゼンなど)が第1位で、人事や社員・職員からの講義・レクチャー、若手社員・職員との交流会と続きます。
各項目とも、満足度5と満足度4や3以下でそれほど大きな差はありませんが、「実際の仕事のシミュレーション体験」については、満足度5と3以下の差が23.9ポイントあり、大きな差がついています。
実際の業務に近い仕事を体験することで、企業理解が深まり、勤務先満足度の向上にもプラスの効果があると言えそうです。
新社会人の過半数は転職意向ありと回答
最後に、新社会人が現時点で将来的な転職についてどのように考えているかも確認しましょう。
1年以内の転職を考えている人の割合が5.2%、3年以内の転職を考えている人の割合が9.7%で、「10年以内」と「いつかは」の割合と合わせると、全体の54.2%は、転職の意向があると答えています。
転職を考える直接的な理由について調査しているわけではありませんが、仕事を対して「疲れた」とか「つらい」と感じているかどうかが転職意向に少なからず影響を及ぼしていると考えられそうです。
「仕事に疲れた、つらいと感じる」頻度が、転職意向がある人の場合は、「常に感じる」と「時々感じる」の合計が81.1%なのに対し、転職意向がない人の場合は57.2%と、23.9ポイントの差がついています。
今回は、入社後半年が経過した時点で、新社会人が会社や仕事に対してどのような印象を持っているかを確認しました。
理想と現実のギャップに衝撃を受けて戸惑いや不安を抱く現象をリアリティショックと表現しますが、インターンシップで中身の濃い就業体験をしておくことで、リアリティショックを感じたり、理想と現実のギャップに悩んだりするリスクが低減できるかもしれません。