AlbaLinkは12月11日、「地方移住でしたいことに関する意識調査」の結果を発表した。調査は2024年11月8日~22日、地方移住に興味がある地方移住に興味がある306人を対象にインターネットで行われた。

地方移住に興味をもったきっかけは「住居費・生活費の負担が大きい」

  • 地方移住に興味をもったきっかけ

地方移住に興味をもったきっかけとしても最も多かった回答は、「住居費・生活費の負担が大きい(19.0%)」だった。2位「都会や人混みに疲れた(16.7%)」、3位「自然豊かな環境への憧れ(14.4%)」、4位「ゆったりとした生活への憧れ(11.8%)」と続く。

具体的には「全てにお金がかかることに嫌気がさしたから」(30代 男性)、「地方の方が家賃や物価が安く、経済的に楽になれる」(40代 男性)、「都会のせかせかした生活にストレスを感じるようになったから」(50代 男性)、「人に疲れるので、時間の流れをゆっくり感じながら過ごしたいから。最近地方移住している人の記事などを見て」(30代 女性)、「リモートワークが普及してきたここ数年のうちに地方に移住した人が職場に何人かおり、話を聞くうちに興味をもつようになりました」(30代 女性)といった回答が寄せられている。

「生活にコストがかかる」「人が多い」「せかせかしている」といった都会特有の心理的・金銭的なストレスから解放されたいという気持ちが、地方移住に興味をもつきっかけになっていることがわかる。またリモートワークの普及により、働き盛りの世代が都市部から地方へ移住することが現実的な選択肢となったことも、理由の1つと言える。

地方移住でしたいこと1位は「農作物の栽培」

  • 地方移住でしたいこと

地方移住でしたいことのダントツは「農作物の栽培(53.6%)」で、全体の半数以上を占めた。「自宅で野菜を育てて自分で育てた野菜を食べたい」(20代 男性)、「どこまで自給自足できるか、菜園をやってみたいです」(50代 女性)、「自分の畑を作ってみたい」(50代 男性)といった声が寄せられている。回答者のなかには、現在も家庭菜園やプランターでの野菜栽培をしている人もいたが、「もっと広い敷地で本格的に育てたい」という声が多く寄せられた。また「食費を抑えたい」という理由から、自給自足生活に挑戦したいという人も多数いた。

2位は「自然を満喫できる暮らし(8.2%)」だった。「自然に囲まれた場所で毎日散歩したい」(20代 男性)、「山や川や海に接することができる活動を日々やってみたいです」(60代以上 男性)、「日々の生活の中で自然を感じながらゆったりしたいです」(30代 男性)など、自然を満喫できる暮らしがしたいという声が多数。現在は、都会でも緑地化が進み、緑豊かな広々とした公園も増えている。しかし地方にある「人工的に整備されたものではない自然」の魅力はまた別物だ。緑の多い場所にわざわざ足を運ばなくても、日常の生活空間が自然で満たされている地方に憧れをもつ人は多いようだ。また、「子どもたちを自然いっぱいのところで遊ばせたい」(30代 女性)など、子どもを自然のなかでのびのびと育てたいという親御さんの声も多く寄せられた。

3位は「アウトドア活動(7.8%)」で、「ウォーキング、キャンプ等を楽しみたい」(50代 女性)、「釣り三昧」(20代 男性)、「海の近くでマリンスポーツにチャレンジしてみたいです」(50代 男性)といった声が寄せられた。都市部に住んでいると、海や山などでアウトドア活動を楽しむためには、「移動」や「金銭面」でのハードルがある。遠方であれば、交通費や宿泊費がかかり、日帰りできない場所であれば仕事の休みを調整する必要もある。一方、海・山・川などが近い地方であれば、日常生活の延長として気軽にアウトドア活動が楽しめる。

同率3位には「庭を活かした暮らし」がランクイン。「広い庭でゴルフのアプローチ練習をしたい」(30代 男性)、「庭を自然いっぱいにして夕方庭を見ながらお茶したい」(20代 女性)など、広い庭だからこそできることをやってみたいという人も。とくに、「自分の家の庭でバーべキューをしてみたい」(50代 男性)など、バーベキューをしたいという声が目立った。都市部では、たとえ自宅の庭であっても隣家との距離が近く、煙やニオイの問題があるため、バーベキューは近隣住人に嫌がられる可能性が高い。また、都市部の一般的な戸建てやマンションの庭はそれほど大きくないため、ガーデニングや家庭菜園なども小規模なものしかできないケースも。庭を活かせる暮らしは、都会に住む人の憧れになっているようだ。

他にも、「夜は星を眺められるような庭の大きな家に住みたい」(30代 女性)、「地方からでも在宅でできるリモートワークをしながら、野菜やフルーツなどの栽培がしたい」(30代 女性)、「そこでしか飼えない動物を飼育したいです」(40代 男性)などの声が寄せられている。

地方移住する際に譲れない条件1位は「買い物に不便がない」

  • 地方移住する際に譲れない条件

「地方移住する際に譲れない条件」を聞いたところ、1位は「買い物に不便がない(33.3%)」だった。「車が運転できないので、自転車で行ける範囲にスーパーなど生活に必要なものが揃う店舗があるといい」(40代 女性)、「独り身で車がないので、日常生活品を配達してくれるスーパーなどがほしいです」(40代 男性)など、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、食料品や日用品を買える店舗が近くにあることを条件に挙げる人が多くいた。自給自足を希望している人でも、すべての食材を自分でまかなうことは難しく、またトイレットペーパーや洗剤などの生活必需品を購入する機会は少なくない。そのため、最低限の買い物ができる環境は必要と感じているようだ。「近く」の定義は人それぞれだが、「徒歩圏内」「自転車で行ける範囲」と回答した人が目立った。

2位は「医療機関が充実・近い(19.6%)」だった。「医療関連の充実。年齢を重ねていくうえで非常に重要」(60代以上 女性)、「高度な医療が受けられる大きい総合病院があること」(20代 女性)、「病院が充実していること。やはり、高齢者になると病院は必要なので」(50代 女性)といった意見が寄せられている。当アンケートでは「医療機関の充実」を条件に挙げた人の7割近くが40代以上だったことから、とくに中高年層で医療環境を重視する傾向が強いとわかる。年齢を経るほど健康面での不安が増すため、医療機関の必要性を感じるのかもしれない。また、「家族でかかれる病院」「大きい病院」「総合病院」などを希望する声も多いことから、幅広い診療科や高度な医療が受けられる医療機関を求めていることも伺える。

3位は「教育施設が整っている(10.8%)」。「子どもの学校が徒歩あるいは自転車で通える範囲内にあること」(40代 男性)、「最低限、高校までは子どもの学校が揃っていること」(30代 女性)など、子どもがいる人からは、小学校、中学校、高校といった教育施設が整っていることを条件に挙げている人が目立った。学校が遠いと、通学に時間がかかるため子どもに負担がかかり、親にとっても通学中の安全面に関する不安や、送迎が必要になる手間といった問題が生じる可能性があるためだと思われる。

4位は「交通インフラが整っている(7.5%)」で、「車がなくてもある程度の生活ができる、交通機関が充実している」(50代 女性)、「子どもが自分で気軽に移動できる手段があること。バスや電車など公共のもの」(20代 女性)、「車の運転をする必要がない環境なこと」(40代 女性)といった条件が挙げられた。

買い物や医療機関、交通インフラなど、日常生活が不便にならない環境は最低限必要と考える人が多いとわかる。都会とは異なる環境を求めて地方移住を検討しているものの、生活の利便性を犠牲にすることは難しいと感じていることが伺える。

地方移住したい都道府県1位は「長野県」

  • 地方移住したい都道府県

具体的に移住したい都道府県を聞いたところ、1位は「長野県(18.0%)」、2位「沖縄県(11.1%)」、3位「静岡県(9.5%)」という結果になった。全体として、自然環境の良さと暮らしやすさが両立できるエリアがランクインしている。

1位の長野県は「移住支援金」などが充実していることも、移住先として選ばれる理由の1つと考えられる。また、沖縄県や静岡県などは温暖なことから、「気候がいい場所に移住したい」という人に人気だった。自然を満喫できることに加え、快適な生活環境も移住先選びのポイントになっているようだ。