観客席から投げ込まれたライターがGKの頭に直撃 [写真]=Getty Images

 14日に行われたブンデスリーガ第14節ウニオン・ベルリン対ボーフム戦で、観客席から投げ込まれたライターがボーフムのドイツ人GKパトリック・ドレヴェスの頭に直撃する事件が起こった。同日にドイツ誌『kicker』などが報じた。

 同試合では13分にボーフムのMF三好康児が一発レッドカードで退場すると、両チームが1点ずつを奪い合って試合終盤に突入する。

 迎えた後半アディショナルタイム1分、ゴールキックを蹴ろうとボールをセットしたドレヴェスの背後からライターが投げ込まれ、ドレヴェスの頭に直撃。ピッチにうずくまったドレヴェスはピッチ上で治療を受けたもののプレー続行不可能となり、メディカルスタッフの肩を借りながらピッチを後にした。

 観客の蛮行を受けて、主審は試合を一時中断し、約15分後に再開。交代枠を使い切っていたボーフムはドイツ人FWフィリップ・ホフマンが急きょGKを務めたものの、両チームはパス回しだけで時計の針を進め、試合は1-1のドローに終わった。

 急造GKを務めたホフマンは試合後、「ボールを前後にパスすることで合意した」と、両チーム間で紳士協定を結んだことを明らかに。また、同選手によると、ピッチには他にもライターが投げ込まれていたという。

 ただ、ボーフムのイルヤ・ケーンツィヒMD(マネージング・ディレクター)は、試合再開の判断に納得していない様子。「我々からすれば、レフェリーは試合を止めるべきだったが、そうはならなかった。我々は抗議の意を表して試合を終了すると表明していた。月曜日に異議申し立てをするつもりだ。試合を放棄できるのはレフェリーだけだが、彼はそうしなかったので、両チームが再び出てくることが不可欠だった。このようなことが起こるのは、サッカー全体にとって不幸なことだ。そして、我々のチームが情熱的な試合をしたという事実に泥を塗ることになる」と語り、暴力を拒絶するアクションを取るべきだったと主張した。

 ドレヴェスは試合後に病院へ向かい、精密検査を受けたとのこと。同選手の意識が朦朧としていたことを明かしたディーター・ヘッキング監督は、「ケガの度合いで判断すべきではない。ルールは非常に明確だ。我々は交代枠を使い果たしており、競技面での不利はすでにあった」とコメントした。

 なお、ウニオン・ベルリンのホルスト・ヘルト専務理事によると、すでに犯人は特定されて警察へ引き渡されている模様。「残念ながら、このようなことになってしまい、私たちはただ謝罪するしかありません」と安全管理を謝罪した一方、「しかし、スタジアムにはチームを応援する多くの人々がいましたし、この犯罪を犯した個人もいました。しかし、スタンド全体を非難するようなことがあってはなりません」と、あくまで一個人の暴走であることを強調している。