「後輪駆動で手頃な価格帯、気分が乗ったときにはハードに走れる」マツダRX-8|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。ベン・バリーの2007年マツダRX-8がこの連載に初登場。ベンがポルシェ996カレラとの2台体制から、RX-8だけの1台にすることに決めた理由とは?

【画像】ポルシェ996カレラを手放して、手元に残ったマツダRX-8(写真5点)

ポルシェ996カレラが去ることになり、マツダRX-8が私の元に残った。どちらもエンジントラブルの代名詞のような車であるが、それがお値打ちな理由のひとつなのだ。しかし、かなり誇張されていることも多いように思う。

ポルシェ初の水冷911の名誉のために、売約済みになった996のことも含めて話そう。というのも、私は13万9000マイルで購入してから7年間で15万マイルに達するまで、1万1000マイルを走ったが、最小限の問題しか起きなかったからだ。思うに、それは私の買い方がうまかったからだろう。前オーナーは4年間で7万マイルを走っていて、ポルシェ側の言う通り、メンテナンスはオートファーム社に任せていた。売却前には整備を施し、新しいクラッチとアップグレードされた中間シャフトベアリングを装備した状態で私の元にやってきた(このベアリングは、フラットシックスにとって時折、前触れなく壊滅的な結果をもたらす可能性のある部品だ)

走りは素晴らしく(エンジンの躍動感、ステアリングの良いフィーリング、バランスの取れたシャシー、3.4リッターで300bhp近く発揮する十分な速さ)、昨年度の保険料は走行距離限定の契約で138ポンドに満たず、税金は345ポンドだった。最大の出費となった2点は、ステアリングラックの漏れの修理と清掃で約1100ポンド、購入時のしっかりした整備に約700ポンドがかかった。その後は年に1度か2度の頻度で300ポンド程度をかけていた。

ポルシェを売ることに完全に納得していたわけではなかった。しかし、雨の日はほとんど外に出さない、冬は使わない、ガレージに入れっぱなしのことが少なくない、という感じで、大切にし過ぎていたようだ。ようやく迷うことを止めて手放すことを決めた途端、2週間も経たずに売れてしまった。

3年前にわが屋にRX-8がやってきたのは、まさに私がポルシェを大切にしすぎたからだった。後輪駆動で手頃な価格帯、気分が乗ったときにはハードに走れる車が欲しかったのだ。それに、このマツダの最後のロータリーエンジンは、技術的に面白いだけでなく、運転しても楽しい。

軽量のヴァンケル・エンジンは、フロント・ミドマウントのレイアウト(1350kgを前後50:50に分割)のためにシャシーの奥に押し込まれている。また、軽量コンポジットのプロペラシャフトに加え、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアにはマルチリンクが採用されている。さらに私の車には、ビルシュタイン製のダンパーとアイバッハ製のスプリングを採用した、プロドライブ製RX-8 PZからアップグレードされたセットアップも装備されている。これは本当に最高だ。そしてRX-8には、911よりもはるかに実用的なものが備わっている。巧みに設計された特徴的なリアの「フリースタイルドア」ドアだ。センターピラーレスに観音開きのリアドアを組み合わせた4シーターなのだ。

RX-8は、ツインターボチャージャーを搭載した先代のFD RX-7ほどパワフルではないが、はるかに手頃な価格だ。RX-8の価格が1000ポンドから1万ポンドであるのに対し、RX-7は通常で2万ポンド以上、場合によってはもっと高額だ。私のモデルは、よりパワフルな228bhpのモデルで、エントリーレベルの189bhpのRX-8よりもわずかとはいえ優れているだけでなく、レブリミットが9000rpmとはるかに高く、6速ギアボックスを装備している。ベースモデルは、7500rpmで5速だ。今年の保険料は168ポンドだったが、税金は735ポンドと恐ろしい額になった。

この「レネシス」エンジンは、一般ドライバーにはあまりにも繊細だ。コールドスタート後に素早くエンジンを止めると、再び始動できなくなることがある。実際にマツダは、そのためのオフィシャルな手順を公開しているほどだ。それにロータリーエンジンは、オイルも大量に消費する。マツダはオイルレベルについて、ガソリンを満タン給油するごとにチェックするよう勧めている。 1マイル20ガロンとすると、かなり頻繁だ。また、一度暖まると、街中を走り回るよりも、定期的に回転数を上げることが好ましい。5500rpmでも156ポンドのトルクしか出ないので、扱いやすくはある。

私のRX-8は現在、オリジナルのエンジンで5万マイルを走行しているが、この時点でリビルドが必要になることも珍しくない。リビルドには通常2000~3500ポンドの費用がかかるが、”最悪”のシナリオとまではいかないだろう。

この車ではまだあまり走っていないが、少し運転しただけでもとても楽しい。うまくいけば、今年は初めてサーキットを走ることができるかもしれない。

文:Ben Barry