年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金以外に受けられる給付金についてです。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

今回は、年金以外に受けられる給付金についてです。

◆Q:81歳の障害のある母が年金以外に受けられる給付金はありますか?

「昭和18年生まれ81歳の母についてです。父はもともと公務員だったので年金は普通にもらっていますが、母は障害等級1級でも、今は障害者年金はなく、国民年金をほんの少しもらっています。昔は世帯主が公務員でも、妻の年金はなにもなく、国民年金すらもかかっていない時期があったそうで、かなり後から任意の国民年金に加入し、その後第3号被保険者となったようです。

本人は60歳の時に、障害年金と国民年金のどちらかを選んだ記憶はないようなのですが、今は雀の涙ほどの国民年金をもらっています。

しかし、父も母も高齢になり、難病や病気をいくつも抱えて、母も障害が進み等級1級となり、介護サービスや生活面、通院など、かなりお金がかかるようになってきました。これから施設に入るにしても、父は介護サービスでは自己負担額が2割なので、かなりの金額を支払うことになります。そうなれば母の雀の涙の年金でどうやって生活をするべきなのか、不安しかありません。このような場合、他に受けられる給付金などの仕組みはないものでしょうか?」(こうたろうさん)

◆A:「特別障害者手当」を申請してみましょう

現在はお母さまは国民年金を少額受給しているとのことですね。お母さまのご年齢を考えると昔からの持病が悪化し、障害の状態が悪くなったという理由で障害年金を請求することは難しいでしょう。

お母さまは障害等級1級とのことですが、障害が重く、在宅での常時介護が必要な状態で、施設に入所していない、病院・診療所に3カ月超えて入院していないなら、「特別障害者手当」を申請できるでしょう。申請には所定の診断書や戸籍謄本などが必要です。審査があり、重度障害が認定されれば、申請の翌月から「特別障害者手当」が支給されるでしょう。重度障害が認定されても本人、配偶者・扶養義務者の所得が上限額を超えている場合は支給停止になります。

医療費や介護費用については、上限額を超えた費用は「高額医療・高額介護合算療養費制度」で取り戻せます。また、もし指定難病なら医療費負担を軽減する制度もあります。市区町村役場の障害担当課や保険年金課などに、まずは相談してみましょう。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。

文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)